比較実験

85℃ 骨まで柔らかくなる?いわし 比較実験

0
(0)


日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。

最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

煮魚を低温調理で骨まで食べられるようにできるのか?
以前紹介した「65℃ 生活習慣病予防◎風味豊か さばの味噌煮」ではBONIQ65℃ 1:20(1時間20分)。これは身が柔らかく仕上がりとても美味しいと自負しているが、骨は硬くて食べられない。

今まで、“骨まで食べられるさばの味噌煮”を目指して幾度となくトライしてみたが未だ成功していない。例えば87℃で24時間BONIQした場合では、身がまるで“サバ缶”のようになり美味しいには美味しいが、骨まで食べられるようにはならなかった。

そこで、より骨が細くて柔らかくなりやすいであろうイワシを使い煮つけを作る。
酸が骨を柔らかくする効果があるということで、梅干しと一緒に煮る“梅煮”にする。
従来法の鍋でコトコト“イワシの梅煮”を作る場合、短時間でさっと煮るものもあれば、数時間煮るものまでさまざまレシピがある。
より美味しい仕上がりを目指して、時間ごとに比較してみる。
小さいイワシであれば元々骨まで柔らかいが、今回は約22cmの大振りで骨もしっかりしているものを使った。
さて、骨まで食べられるものは出来るのか?

BONIQ設定
①85℃ 30分
②85℃ 2時間
③85℃ 5時間
④85℃ 8時間

これに成功すれば、“骨まで食べられるさばの味噌煮”の足掛かりとなるかもしれない。

BONIQ設定

85℃
30分、2時間、5時間、8時間

材料


・イワシ(頭~尾まで約22cmの大ぶりのもの)
・塩(振り塩用)
・調味液(しょうゆ、酒、みりん同量ずつ)
※酒、みりんは煮切りを使用
・しょうが(スライス)
・梅干し

当レシピの栄養素

栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量
低糖質レベル (一食:糖質5g以下)
カロリー  238 kcal -
糖質  3.6 g -
タンパク質  20.2 g  体重 x 1.2g ~ 1.5 g
脂質  13.9 g -
食物繊維  0 g 20 g 以上
カリウム  330 mg  3500 mg 以上
カルシウム 72 mg 650 mg 以上
マグネシウム  37 mg 350 mg 以上
鉄分  1.9 mg 7.5 mg 以上
亜鉛  1.1 mg  10 mg 以上

《手順》

イワシの梅煮を作る

イワシのうろこ・頭・内臓を取り、水洗いする。
振り塩をして30分置き、流水で洗ってペーパーで水気を拭く。
調味液・しょうが・梅干しと共にイワシをフリーザーバッグに入れ、BONIQで低温調理する。
BONIQの設定時間が終了したら、あら熱を取りながら味を煮含ませる。

フリーザーバッグの密封方法:https://youtu.be/N-t1ox7mox0

比較実験結果

それぞれ、以下のような結果となった。

《まとめ》
まず始めに、「①85℃で30分」から実食。身がふわっと仕上がり、とても美味しい。しかし背骨はおろか、小骨も硬くて全く食べられなかった。

順に、「②2時間」「③5時間」「④8時間」と食べ進めたところ、どれも小骨も背骨も硬くて食べられない。③と④は頑張れば小骨をかみ砕けるが、喉にひっかかったりして危険である!

梅の酸が骨を柔らかくしてくれるであろう効果を狙ったが、まったく作用しなかったのか?今回イワシ2尾につき梅干し(中振り)1/2個を使ったが、梅の量をもっと増やせば少しは柔らかくなるだろうか?
もし小さいイワシを使えば早い段階で骨まで柔らかくなるであろうが、最終的には“骨まで食べられるさばの味噌煮”を完成させたいので、ここはイワシのサイズを小さくすることは選ばない。
また①→④へと時間が増えるにつれ、身がどんどん引き締まり、イワシの風味が飛んでしまった。

骨を食べない通常の「魚の煮付け」として食べるなら、断然「①30分」のものが一番美味しく感じた。身がふわっとしていて臭みもなく、イワシ本来の風味や旨みがじゅわっとひろがる。

今後さらなる研究が必要である。




《作った感想》
以前、あるお店の3日間かけてつくる”骨まで食べられるさばの味噌煮“のことを知りました。
長時間調理を簡単にできるBONIQなら実現出来るかもしれないと思い、何度となく骨まで食べられる煮魚(小魚やししゃも以外で)を目指してきました。
手間暇かけて作られるお店のものをおうちでできるようになればと考えています。でも、まだ一度も成功していません。
骨まで柔らかく身もふわふわで、圧力鍋やサバ缶ではないクオリティを目指して、さらなる研究に取り組みます。

BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

いわしは魚油特有の脂肪酸であるDHAとEPAの含有量が魚類の中でもトップクラス!DHA・EPAには細胞の酸化防止や血管を丈夫にしなやかにする効果が期待できます。

いわしを骨ごと食べる利点は、骨を取り除く手間がなくなるほか、骨に含まれているカルシウムまで丸ごと摂取できるということもポイントですね。

分かりやすく、骨ごと食べられるいわしの缶詰に含まれているカルシウムと、身だけ食べたときに摂取できるカルシウムを比較してみましょう。
缶詰は360㎎(/100g)、身だけ食べた場合は65㎎(/100g)と、なんと5倍以上のカルシウムが缶詰で摂取できます。

栄養面においても、何とか骨まで食べられるようになるとうれしいですがまだBONIQで骨ごと食べられるようなレシピはみつかっていないそうです。
これからに期待ですね!

<いわしの低温調理 比較実験>
骨まで柔らかくなるか?いわし 時間比較実験

<比較実験の結果を元に、究極のいわしレシピ>
70℃ 細胞の老化を防止◎ふわとろ いわしの梅煮

質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^

レシピ動画もご覧ください

【骨まで柔らかくなるか?いわし 時間比較実験】BONIQ設定 - 85℃ 30分、2時間、5時間、8時間

【リクエスト随時募集中!】「こんなレシピ欲しい!」リクエスト投稿








【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

The following two tabs change content below.
小野寺 桂子
大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・アスリートフードマイスター3級・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。
小野寺 桂子

最新記事 by 小野寺 桂子 (全て見る)

このレシピを評価しませんか?

星をクリックして下さい!(評価は1回限りです)

現在の平均:0 (評価数:0 件)

評価がまだ1件もありません。

コメント

    • 西嶌徹
    • 2019.06.10

    貴重な実験です。時間を延ばせばよくなるとは限らないことが分かり、素晴らしいと思いました。

    • BONIQ
      • boniq
      • 2019.06.11

      ありがとうございます!
      今後も、浮かんだ疑問を実験して行きたいと思います。

    • 河合 大介
    • 2024.01.10

    貴重な実験をありがとうございます。
    下 坂 智 惠氏の論文「魚骨の調理による軟化」においても、甘露煮、高温加圧調理、茶煎液による調理などが検討されていましたが、いずれも調理温度帯は高く、本項実験の結果を鑑みても、加熱による骨の軟化には高温調理が必須と結論付けせざるを得ません。

    したがって、取るべき手段は薬剤処理一択となるわけです。
    酢につけるだけでは味噌煮とは全く別物の味になってしまうため、酢酸液に浸漬して骨を軟化したのち、塩基性溶液に浸漬して酸を中和する というのが基本の手順になるようです。
    ですが、こうなると低温調理の手法というよりは、事前の下処理の話となってきますね。

    ざっくりした手順でまとめますと
    1:酸性液に浸漬し骨の軟化を図る
    2:塩基性液に浸漬し、酸を中和する
    3:低温調理によってたんぱく質の熱変性を最小限におさえる
    といったところでしょうか。
    酸性、塩基性の各溶液の必要pH、浸漬時間、溶液浸漬による身質の変化など課題山積ですね。
    砂肝の銀皮ていどなら85度くらいで軟化してくれるのですが・・・
    魚の骨は手ごわいですね。

    • BONIQ

      コメント、また、情報をありがとうございます。
      下 坂 智 惠氏の論文「魚骨の調理による軟化」でも高圧加熱(=圧力鍋)で魚の骨が柔らかくなるとされていますね。
      確かに85℃では長時間調理でも骨までは食べれるようにはなりませんでした。

      本実験には続きがありまして、「95℃ 骨まで柔らかくなる?さんま 比較実験」
      https://boniq.jp/recipe/?post_type=recipe&p=15927
      では95℃7時間以上でサンマの骨がじゅうぶん食べられるようになりました。
      この温度帯であれば圧力鍋でなくても骨が柔らかくなり、臭みなども全く出ませんでした。
      いわしの場合はこれよりもう少し時間が短くても骨まで柔らかくなるはずです。
      鯖などもっと骨の大きな魚も食べられるように検証する予定です。
      ぜひまたご確認いただけましたら幸いでございます^^

BONIQ設定

  • 85℃
  • 30分、2時間、5時間、8時間

材料一覧

  • ・イワシ(頭~尾まで約22cmの大ぶりのもの)
  • ・塩(振り塩用)
  • ・調味液(しょうゆ、酒、みりん同量ずつ)
  • ※酒、みりんは煮切りを使用
  • ・しょうが(スライス)
  • ・梅干し

新着レシピ

  1. 60℃ にんにく塩麹:常備必須の万能発酵調味料

  2. 65℃ ヒレカツ巻き弁当:しっとり、やわらか!

  3. 95℃ ほうれん草としめじ 低温調理スープパスタ

  4. 95℃ パスタ&ソースの同時調理 比較実験 Vo.2

  5. 95℃ パスタ&ソースの同時調理 比較実験 Vo.1