65℃ 鶏ももステーキ 皮の焼き方比較実験

BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。

日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

「鶏もも肉」、それは最も身近な食材の一つであるが、低温調理において筆者自身がまだ仲良くなり切れていない食材の一つでもある。そこで前回「60℃~ 鶏もも肉の火入れ 温度時間比較実験」を行い、鶏ももの身が一番美味しくなる温度を比較した(煮込みなどではなく、ステーキを想定)。その結果、60℃や63℃の低温はとてもジューシーではあるが”ぐにゃっとした食感”が残ってしまい歯切れが良くない。65℃がジューシーで歯切れが良く、かといってパサつかない最高の仕上がりとなった。(それ以上の温度でもパサついたりはせず好みによるところがあると思うが、筆者個人的には65℃が最も良いと感じた。)

鶏ももの最適温度は”65℃”とクリアしたが、次に「皮問題」がある。
「鶏もものステーキ」と名乗るからには、“皮が黄金色かつパリパリで香ばしい”ことがマストであると考えている。
例えば「(皮つきの)蒸し鶏」のように、蒸された鶏皮のぷりぷりしたゼラチン質の旨みを味わう料理もあるが、「鶏もものステーキ」となると、皮がきちんとパリッと香ばしく焼けていないものは残念である。

皮をいつ焼くか。またどのように焼くか。
生の鶏ももを少量の油でじっくり皮目を焼くと、皮全体がパリッと黄金色に焼ける。この段階で皮の脂や臭みが落ちる。しかしその後低温調理をすると、せっかくパリッと焼いた皮がフニャフニャになってしまう。
はたまた低温調理後に皮目はパリッと焼けるのか。じっくりパリッと焼こうとすると、せっかく低温調理して完璧に仕上げた身に火が入ってしまわないだろうか?

そこで一番最適な皮目を焼くタイミングと方法を探るべく、比較実験を行う。

①生をフライパンで(少量の油)焼く → BONIQ
②BONIQ → フライパン(少量の油)で焼く
③BONIQ → バーナーで炙る
④BONIQ → コンロのグリルで焼く

③バーナーは焦げ目や香ばしさをプラスするのに優れているが、皮目をパリッとさせることはできるのか?
④コンロのグリルについて、レストランだと食材の皮目や表面を炙ったりパリッとさせたりする時に「サラマンダー」という上から火が出る機器を使ったりする。これに一番似ているのが家庭のコンロについてるグリルではないか。

注1)先の「60℃~ 鶏もも肉の火入れ 温度時間比較実験」の結果に従って、BONIQ設定は65℃ 55分で行う。設定時間は2cmの鶏肉を低温調理する上で、必要な加熱殺菌時間(芯温が設定温度に達するのにかかる時間+殺菌時間)に基づいている。
※参照:加熱時間基準表「鶏肉の加熱温度時間

注2)塩をするタイミングは「60℃ 鶏胸肉 低温調理 塩タイミング比較実験」や「57℃ ローストビーフ低温調理 塩投入比較」に従って、それぞれ低温調理後に塩を肉に含ませる方法を取る。(実験では初めから塩をして低温調理すると、上記方法の場合よりも肉が硬くなることを証明した。)

BONIQ設定

65℃
0:55(55分)

材料


・国産若どり 鶏もも肉(一番厚みのある箇所で2cm)  各1枚(約260g)
・塩  各1.2g(肉の重量の0.9%)

当レシピの栄養素

栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量
低糖質レベル (一食:糖質5g以下)
カロリー 520 kcal
糖質 0 g
タンパク質 42.1 g 体重 x 1.2g ~ 1.5 g
脂質 36.4 g
食物繊維 0 g 20 g 以上
カリウム 702 mg 3500 mg 以上
カルシウム 13 mg 650 mg 以上
マグネシウム 49 mg 350 mg 以上
鉄分 1 mg 7.5 mg 以上
亜鉛 4.2 mg 0.5 mg 以上

《手順》

比較実験①

鶏もも肉の筋と余分な脂を切り落とす。(火通りが不平等にならないよう、厚さをそろえ重さは同じにする。)

①フライパンに少量の油を熱し、生のとりもも肉の皮目をパリッと黄金色になるまで焼く。
BONIQ(65℃ 55分)で低温調理を行う。
バッグに塩を入れて再び口を閉じ、バッグごと氷水で冷却する。
実食前にバッグごと65℃に温める。

フリーザーバッグの密封方法:https://youtu.be/N-t1ox7mox0

比較実験②③④

鶏もも肉の筋と余分な脂を切り落とす。(火通りが不平等にならないよう、厚さをそろえ重さは同じにする。)

②③④BONIQ(65℃ 55分)で低温調理を行った後、バッグに塩を入れて再び口を閉じ、バッグごと氷水で冷却する。再びバッグごと65℃に温め、

②フライパンに少量の油を熱し、とりもも肉の皮目をパリッと黄金色になるまで焼く。(身側は焼かない)
③バーナーで皮目を炙る。
④コンロのグリルで焼く。

※①~④全てBONIQ後にバッグに塩を投入して肉に塩を含ませ、バッグごと氷水で冷却している。(冷却するのは衛生的に肉に塩を含ませるためと、それぞれの仕上がり時間差の調整のため。)

比較実験結果

結果は・・・

まず1番目の画像のように、それぞれの仕上げ方によって肉自体が何℃になっているのかを比較した。
以前に行った「60℃~ 鶏もも肉の火入れ 温度時間比較実験」では“65℃”がジューシーで歯切れが良く、かといってパサつかない最高の仕上がりとなったが、湯せんから出してそのままの「①フライパン → BONIQ」以外では仕上げ時の皮の加熱によって肉の温度が上昇している。
「②BONIQ → フライパン」 約73℃。皮付近~肉真ん中の温度が上昇。(皮から遠い部分は約63℃。)
「③BONIQ → バーナー」 約69℃。表面的にのみ温度が高くなっている。(皮から遠い部分は約63℃。)
「④BONIQ → コンロのグリル」 約83℃。焼き色が付くまで10分かかり、肉全体の温度が上昇。

②と④は皮付近と皮から遠い部分で温度差があるものの、理想の65℃からは上昇した。
④に至っては肉全体がかなり加熱されている。

実食してみると、
「①フライパン → BONIQ」 当然皮が柔らかくフニャフニャになっているが、肉のジューシーさでは一番勝っている。また、塩の入り具合も②③④よりもしっかりと感じられて美味しい。
「②BONIQ → フライパン」 皮が一番パリパリで香ばしい。しばらく時間が経ってもパリパリさを保っている。肉もじゅうぶんジューシーである。
「③BONIQ → バーナー」 皮がパリパリになっておらず、焦げて色づいただけであった。肉自体はとてもジューシーだが、皮が苦すぎて肉の美味しさをかき消している。これはNG。
「④BONIQ → コンロのグリル」 皮表面はパリッとしているが、皮の下層は柔らかい。肉のジューシーさがやや失われており、時間が経つにつれドリップが流れ出た。

そこで
仕上げ時に肉まで加熱されてしまった②④について、実食前に温めず冷却したままの状態(約8℃)で仕上げを行えば、一緒に加熱された肉が理想の65℃付近まで上がらないかと考えた。
「⑤BONIQ → 冷却したままフライパン」
「⑥BONIQ → 冷却したままコンロのグリル」

すると、フライパンで仕上げた⑤は皮がパリパリになった時に肉はまだ約30℃でぬるく、理想の状態からはかけ離れてしまったのでNG。
コンロのグリルで仕上げた⑥の肉は約75℃であり、やはり皮表面だけがパリッとしており、皮の下層は柔らかいままであった。また、ジューシーさはそこまで失われなかった。12分ほどかかってこの状態になったので、さらに加熱を続けると皮はもっとパリッとするかもしれないが、肉が加熱され過ぎてしまうであろう。

以上、
「③BONIQ → バーナー」は皮の苦味が尖っており、全く美味しくないのでNG
「⑤BONIQ → 冷却したままフライパン」は肉の温度が上がりきらなかったのでNG 
として除外することとし、他をまとめると

皮のパリパリさ ②>④⑥>①  
肉ジューシーさ ①>②>⑥>④
総合 ②>⑥>④>①

皮がパリパリで食欲をそそる黄金色で美しい「②BONIQ → フライパン」に軍配。やや皮側半分の肉の温度は理想より上がってしまうが、それでも皮から遠い部分は理想の温度に保たれておりジューシーさも失わず、美味しさは間違いない。
次の候補は「⑥BONIQ → 冷却したままコンロのグリル」。肉全体の温度が理想より上がってしまうものの、ジューシーさを失ってはいない。ほどほどにパリッとした皮も楽しめるし、BONIQ後に冷却してから再度湯せんで温める手間が省けるのが良い。
①は間違いなく美味しいが“ステーキ”ではない。調味料と絡める“照り焼き”や“煮込み”などには最適であると思う。
   
ちなみに、②をもっと低い60℃なりでBONIQし、その後皮をフライパンで焼けばちょうど65℃に近づくのでは?という声もあるかもしれないが、そうなると皮から遠い部分の肉が60℃のままであり、やはりぐにゃっとした食感が残ってしまう。それを避けるためには肉側も焼けばいいが、そうなると理想の65℃に仕上げるために火加減と時間の調整が必要となり、作り手の力量が問われる。“誰にでも一定の仕上がりにできる”という低温調理の意味合いは薄れるが、最低限中が生ということは絶対に起こらないので、一つの方法としてはありだと思う。

《作った感想》
“鶏もものステーキ”。身近で簡単な料理のようですが、理想の状態に仕上げるにはいくつかハードルがありました。
今回の比較実験により、65℃でBONIQした鶏ももをフライパンで皮目をパリッと焼き上げるのが今のところベストの方法です。しかしこれからも、肉全体が理想の65℃になりさらに皮がパリパリになる方法を探したいと思います。
BONIQでさらに美味しく簡単に料理を楽しんでいただけるよう、今後も研究に取り組みます。

BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

鶏もも肉は皮つきと皮なしを比べると、皮つきの方が皮を取った肉よりも100gあたり約200kcal熱量が高いです。
これは、鶏皮肉が脂質を多く含む部位であることが起因しています。
この脂質量から、鶏皮はダイエット中には敬遠されがちな食材ですがカロリーが高いだけではありませんよ。

鶏皮は肌の弾力をキープしたり筋を健康に保つために必要な「コラーゲン」というたんぱく質も含んでいます。
つまり、綺麗を保ちながら減量したり、トレーニングするためにはうってつけのお肉です。食べすぎは禁物ですが、鶏肉についている分くらいならそれほどカロリーを気にせずに召し上がっても良いでしょう。

質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照下さいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

 

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小野寺 桂子

小野寺 桂子

大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。

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コメント

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  • コメント (2)

    • いでひろ
    • 2020年 3月 25日

    ちょうど気になっていた鶏モモの皮パリパリ問題!
    大変参考になりました。ありがとうございます。
    自分でも試行錯誤しているのですが、フライパンで焼く時に適当な火加減が分からず上手く全体がパリパリになりません。
    火加減と焼き時間を教えていただけますと幸いです。

    • boniq
      • boniq
      • 2020年 3月 26日

      お問い合わせありがとうございます!
      鶏ももの焼き加減ですが、家庭用のコンロであれば中強火(中火と強火の間くらい)で上から押さえながら焼くと、4分くらいで(皮面だけ焼く)綺麗なパリパリになると思います。
      焼く前に一度皮側をペーパーなどで拭いた方が焼き色が付くのが早いです。
      ご参考くださいませ。

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