鶏肉レシピ

61℃,70℃,80℃ 風味付けにんにく 比較実験

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BONIQマニアにおくる、低温料理の疑問あれこれの検証。
日々低温調理をしていると、肉や魚や野菜がこんなに美味しく柔らかくジューシーになる!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドを記した情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
自分で実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

肉や魚介を低温料理する際ににんにく風味を付けたい時、フリーザーバッグに食材と一緒に“生にんにく”をスライスなり潰したりして使用しているレシピが多数紹介されている。
しかし、低温料理を詳しく紹介する海外のサイト「A Practical Guide to Sous Vide Cooking」によると、“生にんにくは好ましくない香りを発するので、ガーリックパウダーを使うこと”を推奨している。

確かに従来の調理法とは違って低温調理の場合、生にんにくを使用すると火が通りきらないことが予想される。
生にんにくのエッジの効いた風味を付けたい場合は使用しても良いと思うが、そうでない場合はガーリックパウダーもしくは火の通ったにんにく(ここではにんにくのコンフィ。作り方は万能ホクホク!にんにくのコンフィ参照。)を使用する必要があるのではないか?

そこでBONIQ設定別に、

① 61℃ 2時間50分(豚ヒレ)
② 70℃ 20分(真だら)
③ 80℃ 2時間(鶏手羽元)
×
A)ガーリックパウダー
B)生にんにく
C)にんにくのコンフィ

の組み合わせで温度別に検証する。

※食材、時間がそれぞれ異なるのは、同じ食材を61℃でも80℃でも調理することはあまりないため。温度の違いを最優先とし、次にその温度で調理する食材と時間を決定した。
にんにくそのものの作用を検証するため、塩など味つけはしない。

BONIQ設定

① 61℃ 2:50(2時間50分)
② 70℃ 0:20(20分)
③ 80℃ 2:00(2時間)

当レシピの栄養素

栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量
低糖質レベル (一食:糖質5g以下)
カロリー  7 kcal -
糖質  1 g -
タンパク質  0.3 g  体重 x 1.2g ~ 1.5 g
脂質  0.1 g -
食物繊維  0.3 g 20 g 以上
カリウム  27 mg  3500 mg 以上
カルシウム 1 mg 650 mg 以上
マグネシウム  1 mg 350 mg 以上
鉄分  0 mg 7.5 mg 以上
亜鉛  0 mg  10 mg 以上

《手順》

材料


・豚ヒレ
・ガーリックパウダー
・生にんにく 
・にんにくのコンフィ

① BONIQ設定:61℃ 2時間50分

A)豚ヒレ+ガーリックパウダー
B)豚ヒレ+生にんにく
C)豚ヒレ+にんにくのコンフィ
をフリーザーバッグに入れ空気を抜いて密封し、BONIQ(61℃ 2時間50分)で低温調理する。

フリーザーバッグの密封方法:https://youtu.be/N-t1ox7mox0

A)豚ヒレ+ガーリックパウダー
生にんにくのような鋭さがなく、安定したにんにく風味である。

B)豚ヒレ+生にんにく
生にんにくの鋭い風味が突出している。にんにくがシャリシャリしていてまだ“生”である。

C)豚ヒレ+にんにくのコンフィ
一番料理として風味がまとまっており美味しい。にんにく自体も丸みのある味で美味しく食べられる。

Cに軍配。Aも安定感。
Bは生にんにくの風味が強すぎる。ということで、
実験の結果「C>A>B」となった。

材料


・真だら
・ガーリックパウダー
・生にんにく 
・にんにくのコンフィ

② BONIQ設定:70℃ 20分

A)真だら+ガーリックパウダー
B)真だら+生にんにく
C)真だら+にんにくのコンフィ
をフリーザーバッグに入れ空気を抜いて密封し、BONIQ(70℃ 20分)で低温調理する。

A)真だら+ガーリックパウダー
生にんにくのような鋭さがなく、安定したにんにく風味である。

B)真だら+生にんにく
生にんにくの鋭い風味は穏やかになり、真だらにしっかりとしたにんにくの香りを与えている。にんにくは少しシャリシャリしているが、美味しく食べられる。

C)真だら+にんにくのコンフィ
上品なにんにく風味である。にんにく自体も丸みのある味で美味しく食べられる。

ABCどれもアリで好みによる。
しっかりしたにんにく風味を付けたいのならB、上品な香りで料理と一体化させたいのであればC。

材料


・鶏手羽元
・ガーリックパウダー
・生にんにく 
・にんにくのコンフィ

③ BONIQ設定:80℃ 2時間

A)鶏手羽元+ガーリックパウダー
B)鶏手羽元+生にんにく
C)鶏手羽元+にんにくのコンフィ
をフリーザーバッグに入れ空気を抜いて密封し、BONIQ(80℃ 2時間)で低温調理する。

A)鶏手羽元+ガーリックパウダー
生にんにくのような鋭さがなく、安定したにんにく風味である。

B)鶏手羽元+生にんにく
適度なにんにく風味。にんにく自体も美味しく食べられる。

C)鶏手羽元+にんにくのコンフィ
上品なにんにく風味。にんにく自体も丸みのある味で美味しく食べられる。

BCの違いが小さくなり、どちらを使用しても良いと感じた。
Aは良くも悪くもガーリックパウダーの味になる。

《まとめ》
生にんにくに関しては、61℃ 2時間50分の低温調理ではまだ“生”の状態であり、とても鋭い風味になってしまった。
61℃付近やそれ以下の温度で調理するものに関しては、生にんにくの使用は避けた方が良いと考えられる。
70℃では鋭さは消え穏やかな風味になりつつあったので、70℃以上では生にんにくを使用しても良いと思う。61℃~70℃の間ではさらなる検証が必要である。

ガーリックパウダーに関しては、原材料はにんにく100%添加物なしのものを使用したが、良くも悪くも“ガーリックパウダー”の味になった。
しかし、どの温度帯でも生にんにくの鋭い風味になることがない安定感があり、常温で常備できてパパッと振りかければ良いので、非常に便利なのは間違いない。

にんにくのコンフィもどの温度帯でも使用することができるが、こちらは“上品な”にんにくの風味を付けることができた。
食材とにんにく風味を一体化させるのも一番優れている。
一旦仕込んでおけば最低3か月は保存できるので冷蔵庫に常備しておくのをおすすめしたい。(ここではにんにくのコンフィ。作り方は万能ホクホク!にんにくのコンフィ参照。)

《作った感想》
低温調理をしていると、いろんな疑問がわいてきます。
本当にこの温度が良いのか、この時間が良いのか、この方法は正しいのか、もっと美味しくなる方法があるのではないか?と。
従来の調理法ではそれほど問題でなかった細かい点が、低温調理になると気を付けなくてはならないことが出てきます。
BONIQで簡単に安全に、そしてより美味しい料理を作るため、これからも疑問のあれこれを検証したいと思います。

BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

ニンニクの香りには食欲増進作用がありますが、食べ物に風味を与えるだけではありません。

豚肉には糖質の代謝に関わるビタミンB1が豊富に含まれています。このビタミンB1は、豚肉単品を摂取するだけでは吸収率が悪く、本来の力を発揮しきれません。
しかし、ニンニクに含まれるアリシンが水溶性のビタミンB1と結合することにより、脂溶性のアリチアミンという物質に変化することで、ビタミンB1よりも消化管で吸収されやすくなるのです。

また、アリシンが消化される過程でできる物質が人間の交感神経を刺激し、血行を促進して体温を上げ、肩こりや冷えが良くなります。
同じく交感神経が働くと人体は興奮状態になります。この働きが「ニンニクを食べると元気になる!」と言われる所以でもあります。

他にも、ニンニクの香りは魚や肉の生臭さを消す働きもあります。魚介類が苦手な人や、鶏肉の臭みが苦手な人にも役立ってくれる野菜ですね。

質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^

レシピ動画もご覧ください

【風味付けにんにくの低温調理 比較実験】BONIQ設定 - 豚ヒレ(61℃ 2時間50分)、真だら(70℃ 20分)、鶏手羽元(80℃ 2時間)

ASMR(NO MUSIC)

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

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小野寺 桂子
大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・アスリートフードマイスター3級・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。
小野寺 桂子

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コメント

    • だい
    • 2018.11.21

    いつも楽しく見ながら、勉強させていただいてます。

    興味のある実験として、お肉を

    ・常温戻しをしてから
    ・冷蔵庫から直接
    ・冷凍庫から直接

    というのが、気になります。

    できる機会があったら、ぜひお願いします

    • BONIQ
      • boniq
      • 2018.11.22

      ご提案ありがとうございます!

      確かに、加熱開始温度でドリップ量の違いなどが分かれば
      より効率化が出来ますね。

      飲食店さんから稀にいただく質問なので
      条件を考えて実験したいと思います。

      ありがとうございます!

BONIQ設定

  • ① 61℃ 2:50(2時間50分)
  • ② 70℃ 0:20(20分)
  • ③ 80℃ 2:00(2時間)

材料一覧

  • ・豚ヒレ
  • ・ガーリックパウダー
  • ・生にんにく
  • ・にんにくのコンフィ
  • ・真だら
  • ・ガーリックパウダー
  • ・生にんにく
  • ・にんにくのコンフィ
  • ・鶏手羽元
  • ・ガーリックパウダー
  • ・生にんにく
  • ・にんにくのコンフィ

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