比較実験

80℃〜 クロテッドクリーム温度比較実験 決定版

5
(1)


BONIQ設定
材料
比較実験
比較実験結果
作った感想

BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。

70℃〜 クロテッドクリーム 温度・時間比較実験」に続く第二弾。

先の実験は「70℃ 12時間」「80℃ 12時間」「90℃ 12時間」「90℃ 1時間」を低温調理したものを比較したが、この中では「80℃ 12時間」がベストであった。

クラスト(表面にできるタンパク質と乳脂肪分の黄色い膜)が程よくあり、これぞクロテッドクリーム!という見た目。乳脂肪分と液体に分離しており、クリーム(固体)の部分は程よくバターのような生クリームのような風味を感じる。これらの4つの中で一番甘みを感じ、味わいや香り全てにおいてバランスが良かった。

ただ、「90℃ 12時間」は「80℃ 12時間」より甘みが減ってしまったものの、一番バターの風味を強く感じた。これが焦がしバターのようで、ナッツのように香ばしい。

80℃より高温になればバターやナッツの香りが出てくるということは、その中間であれば、「甘み」と「香り」を両立したクロテッドクリームになるのではないか? 

ということで80℃〜85℃あたりがクロテッドクリームのベスト温度の有力候補ということで、次のように温度を設定し、王者決定戦を行いたいと思う。

・実験1. 80℃ 12:00(12時間)
・実験2. 82℃ 12:00(12時間)
・実験3. 85℃ 12:00(12時間)

番外編として、ホーロー容器ではなく“耐熱袋”に入れてクロテッドクリームができるのか?

・実験4. 耐熱袋に入れて 80℃ 12:00(12時間)

表面のクラストは表面が空気に触れることでできるので、袋の中ではクラストは出来ないと予想されるが、それでもなめらかな生クリームが固まるのなら便利である。

果たして結果はいかに。

BONIQ設定

<実験1、4>
80℃ 12:00(12時間)

<実験2>
82℃ 12:00(12時間)

<実験3>
85℃ 12:00(12時間)

材料


<BONIQする材料>
・生クリーム(乳脂肪分47%)  各200ml

<ほか、調理器具など>
・ホーロー容器(約15 × 10 × 高さ6cm、実験1~3用)
・キッチンペーパー(実験1~3用)
・耐熱袋(実験4用)

《手順》


比較実験(1)実験1〜3

・実験1. 80℃ 12:00(12時間)
・実験2. 82℃ 12:00(12時間)
・実験3. 85℃ 12:00(12時間)

ホーロー容器に生クリームを入れる。
コンテナラックにメッシュトレーを2枚セットし、その間に容器を入れる。
セットしたコンテナラックを湯せんに入れ、水滴が容器の中に落ちないようペーパーを被せる。
保温ルーフ(フタ)を被せ、それぞれの設定時間・温度で低温調理をする。
この時、湯量を容器の8割の高さまで浸かるようにする。

<BONIQセット時>
※肉、魚(生食用を除く)は種類と厚みに応じて加熱設定を変更する。参照:「低温調理 加熱時間基準表
※食材全体がきちんと湯せんに浸かるよう、十分な水量を用意する。
※容器の8割の高さまで浸かるようにする。下限水位に足りない場合は底上げをする。
BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナラック、トレーを使用する。
:耐熱性のココットなどを逆さに置く。

<BONIQ投入時>
※容器の8割の高さまで湯せんに浸かるようにする。
※高温・長時間調理時は、湯せんにカバーをして水位減少を防ぐ。
BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナルーフを使用する。
:ラップを使用する。

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比較実験(1)実験4

・実験4. 耐熱袋に入れて 80℃ 12:00(12時間)

耐熱袋に生クリームを入れる。
BONIQが設定温度に達したら袋を湯せんに入れ、低温調理をする。

<BONIQセット時>
※肉、魚(生食用を除く)は種類と厚みに応じて加熱設定を変更する。参照:「低温調理 加熱時間基準表
※食材全体がきちんと湯せんに浸かるよう、十分な水量を用意する。
※高温・長時間調理時は蒸発による水位減少を防ぐため、最大水量を用意する。

<BONIQ投入時>
※袋内に気泡が残らないよう湯せんに入れながらしっかり空気を抜き、密封する。(参考:動画「低温調理用バッグの密封方法」記事「ベストなバッグ密封の仕方 比較実験」
※食材全体が湯せんに浸かるようにする。浮いてくる場合は、
BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナラック、トレーを使用して完全に沈める。
:耐熱性の瓶や重しを乗せて完全に沈める。
※高温・長時間調理時は、湯せんにカバーをして水位減少を防ぐ。
BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナルーフを使用する。
:ラップを使用する。

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比較実験(2)実験1〜4

BONIQの設定時間終了タイマーが鳴ったら容器、袋を引き上げ、粗熱を取って冷蔵庫で1日冷やす。
その後それぞれを比較する。


比較実験結果

結果は・・・

「実験1. 80℃ 12時間」と「実験2. 82℃ 12時間」は、ほぼ違いがわからない。
クラスト(表面にできるタンパク質と乳脂肪分の黄色い膜)が実験2の方がわずかに色濃いが、なめらかさ、生クリーム由来の甘みや風味はほぼ変わらない。どちらもバランスが良く、クロテッドクリームとして間違いなく素晴らしい。

「実験3. 85℃ 12時間」は表面のクラストの部分がさらに色濃くなっている。
前回行った「70℃〜 クロテッドクリーム 温度・時間比較実験」では「90℃ 12時間」は、甘みは減ってしまったものの、 “焦がしバターのようで、ナッツのような香ばしさ”が出た。この魅力的な風味は捨てがたい。
そこで80℃と90℃の間を取って良いとこ取りができないかと今回の「実験3. 85℃」を試みたわけだが、思惑はハズレ!
「実験1. 80℃」「実験2. 82℃」より甘みは減り、香ばしく魅力的な風味は獲得できなかった。“良いとこ取り”ではなく“中途半端”に終わってしまったというわけである。

また、番外編の「実験4. 耐熱袋に入れて 80℃ 12時間」は、全く固まっていない。元々の生クリームと変化が全くない。クロテッドクリームを作る際は容器を動かしてはいけないと言われるが、袋での低温調理では湯せんで水の対流が起こり、袋の中身が混ぜられてしまうからではないだろうか。

まとめると、
「実験1. 80℃ 12時間」と「実験2. 82℃ 12時間」はどちらも相違なく、一番バランスが良い王道のクロテッドクリームである。ベストの温度を一つ決めるつもりであったが、どちらも王者。

他のBONIQレシピは80℃も82℃も多くあるので他と同時調理できなくもないが、クロテッドクリームを作る際に容器を動かすと、乳脂肪と液体部分の分離が起こらず失敗になる可能性があるため、あまり他のものを湯せんから出したり入れたりしない方が良いと思う。(ただし、クロテッドクリームに影響ないようにそっと行えるのならOK。)
「実験3. 85℃ 12時間」のメリットは少ないと思う。

《作った感想》
クロテッドクリームはイギリスでスコーンを食べる際には絶対欠かせない、私にとっては思い入れがあるものでしたが、日本ではマイナーで知られていない or 忘れられた(!)食べ物だと思っていました。しかし前回の「70℃〜 クロテッドクリーム 温度・時間比較実験」ではたくさん反響をいただき、驚きました。本当にありがとうございます!

クロテッドクリームはなかなか一般的なスーパーでは手に入らず、輸入食材店では決して安くなく、開封したら賞味期限は5日程。せっかく買ってきたのに食べきれない、ということが起こりがちです。そうなると買わなくなり、スコーンには添えるのはジャムだけになるか、頑張ってホイップクリームを添えるか、ということになります。

BONIQの低温調理で作ったクロテッドクリームはいつでも作れるのが良いところ。こちらも1週間以内に食べ切っていただくことをおすすめしますが、余った場合の活用法は今後研究したいと思います。

<クロテッドクリーム 比較実験シリーズ>
70℃〜 クロテッドクリーム 温度・時間比較実験
80℃〜 クロテッドクリーム温度比較実験 決定版

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

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小野寺 桂子
大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・アスリートフードマイスター3級・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。
小野寺 桂子

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BONIQ設定

  • <実験1、4>
  • 80℃ 12:00(12時間)
  • <実験2>
  • 82℃ 12:00(12時間)
  • <実験3>
  • 85℃ 12:00(12時間)

材料一覧

  • <BONIQする材料>
  • ・生クリーム(乳脂肪分47%)  各200ml
  • <ほか、調理器具など>
  • ・ホーロー容器(約15 × 10 × 高さ6cm、実験1~3用)
  • ・キッチンペーパー(実験1~3用)
  • ・耐熱袋(実験4用)

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