・BONIQ設定
・材料
・比較実験
・比較実験結果
・作った感想
魚の臭み取りの下処理方法はいろいろある。
・酒で洗う:身に酒をかけてしばらくおき、水分を拭き取る。
・振り塩:身に塩を振って出てきた水分を拭き取る、または、洗い流して水気を拭き取る。
・霜ふり:身を約80℃のお湯にくぐらせる、または、お湯をかける。冷水に取り、水気を拭き取る。簡単なのは「酒洗い」か「振り塩」であり、「霜ふり」となるとお湯を沸かす必要もあるし、冷水に取る時にはボウルも必要である。
「霜ふり」は手間がかかる分、臭みなどが一番取れるのではと予想できるが、できれば下処理は簡単に済ませたい。照り焼きのように甘辛い味付けにすれば、多少の臭みなどは気にならなくなるのでは?とも考えられる。3つの下処理の方法でどのような違いが出るのか?
鮮度が落ちると臭みが出やすい「ぶり」を使用し、照り焼きにしてその違いを検証する。
ぶりの切り身を、
実験1. 酒で洗い、水分を拭き取る。
実験2. 振り塩をして20分置き、洗い流して水気を拭き取る。
実験3. 霜ふり(お湯にくぐらせ冷水に入れる)をし、水気を拭き取る。その後、薄力粉をまぶしてフライパンで表面を焼き、煮詰めた調味料と共にBONIQで60℃ 1時間20分低温調理を行い、比較検証する。
番外編として、もっと手間を省きたく、「酒洗いのみ」で「焼きなし」の状態で調味料と共にBONIQすればどうか?
実験4. 酒で洗い、水分を拭き取り、煮詰めた調味料と共にBONIQで60℃ 1時間20分低温調理を行う。
BONIQ設定
60℃
1:20(1時間20分)※参照:「低温調理 加熱時間基準表(魚)」
材料
<実験1(酒洗い)>
・ぶりの切り身 1切れ(厚さ2cm、100g)
・酒(下処理用) 大さじ1/2
・小麦粉 小さじ1
・サラダ油 小さじ1<実験2(振り塩)>
・ぶりの切り身 1切れ(厚さ2cm、100g)
・塩(下処理用) 1g
・小麦粉 小さじ1
・サラダ油 小さじ1<実験3(霜ふり)>
・ぶりの切り身 1切れ(厚さ2cm、100g)
・小麦粉 小さじ1
・サラダ油 小さじ1<実験4(酒洗い、焼きなし)>
・ぶりの切り身 1切れ(厚さ2cm、100g)
・酒(下処理用) 大さじ1/2《実験1〜4:調味料》
・酒 各大さじ1
・みりん 各大さじ1
・しょうゆ 各大さじ1
・しょうが(すりおろし) 各小さじ1/4<ほか、調理器具など>
・キッチンペーパー
・フライパン
《手順》
比較実験
<実験1>
酒洗いをする。酒を振って20分おく。
<実験2>
振り塩をする。塩を振って20分おき、洗い流す。
※塩を洗い流さず出来てた水分を拭き取るだけの方法もあるが、ここでは調味料が塩辛くならいないよう、塩は洗い流すこととする。
<実験3>
霜ふりをする。80℃のお湯に5秒くぐらせ、冷水に入れぬめりを落とす。
<実験1〜3共通>
ぶりの水気をペーパーで拭き取り、小麦粉をまぶす。
フライパンにサラダ油を熱し、ぶりの表面と皮目を焼く。
《調味料》(酒、みりん、しょうゆ、しょうが)は煮詰める。耐熱袋にぶりと煮詰めた調味料を入れる。
BONIQで60℃ 1時間20分低温調理する。
<実験4>
酒洗いをする。酒を振って20分おく。
袋にぶりと煮詰めた調味料を入れ、BONIQで60℃ 1時間20分を低温調理する。
<BONIQセット時>
※肉、魚(生食用を除く)は種類と厚みに応じて加熱設定を変更する。参照:「低温調理 加熱時間基準表」
※食材全体がきちんと湯せんに浸かるよう、十分な水量を用意する。
※高温・長時間調理時は蒸発による水位減少を防ぐため、最大水量を用意する。
<BONIQ投入時>
※袋内に気泡が残らないよう湯せんに入れながらしっかり空気を抜き、密封する。(参考:動画「低温調理用バッグの密封方法」、記事「ベストなバッグ密封の仕方 比較実験」)
※食材全体が湯せんに浸かるようにする。浮いてくる場合は、
・BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナラック、トレーを使用して完全に沈める。
・鍋:耐熱性の瓶や重しを乗せて完全に沈める。
※高温・長時間調理時は、湯せんにカバーをして水位減少を防ぐ。
・BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナルーフを使用する。
・鍋:ラップを使用する。
・BONIQ 低温調理用耐熱袋「BONI BAG」(湯せん、冷凍、冷蔵可能)はこちら
・BONIQ 低温調理コンテナ&コンテナアクセサリー(ラック、トレー、フタ、ジャケット)はこちら
・BONIQ 深型ホーロー鍋はこちら
比較実験結果
「実験1:酒洗い」「実験2:振り塩」「実験3:霜ふり」は見た目はほとんど変わらない。
実際に食べてみると、
「実験1:酒洗い」「実験2:振り塩」はどちらもさほど臭みは感じられず、とても似ている。「実験2:振り塩」では塩は洗い流したものの若干身に入ったのか、旨みがはっきりした感じがする。だたし微妙な差なので食べ比べて初めてわかるレベルである。どちらも間違いなくふっくらした身に甘辛いタレが絡んで、かなり上級の美味しいぶりの照り焼きである。
「実験3:霜ふり」は臭みはほとんどなく、味わいが上品でクリアで雑味がない。「実験1:酒洗い」「実験2:振り塩」もかなり美味しいので、すごく差があるわけではないが、「実験3:霜ふり」はふっくらした身に甘辛いタレが「美しい」。味の表現として「美しい」は間違っているが、そう言いたくなるような上品さがある。
お店で食べるような、“完璧”なぶりの照り焼きである。
魚の下処理方法としての「酒洗い」「振り塩」「霜ふり」はどれも全て臭みを取り除くことができるが、この3つでは「霜ふり」が一番臭みを取り除くことができると感じた。
「霜ふり」には煮崩れを防止する効果もあるとされるが、耐熱袋に入れて行うBONIQの低温調理では、どんな方法でも煮崩れしない。また、照り焼きや煮魚がパサつく原因は「加熱のし過ぎ」にあるが、BONIQでは加熱し過ぎは絶対に起こらないので、パサついたり硬くなったりという失敗は絶対に起こらない。
「実験4:酒洗いのみ(焼きなし)」は一番手間を省いた方法である。
「実験1〜3」は小麦粉をまぶして焼いているので、タレがぶりによく絡んでいるが、「実験4」はあまり絡んではいない。「照り焼き」というより「煮魚」に近い。
また「実験1〜3」と比べるとやや臭みは残っている。焼いていない分、皮が硬くぶよっとしているが、臭みは皮の部分に多く残るということがわかった。
仕上げに皮目をバーナーで炙れば、皮が香ばしくなり、臭みも半減した。
これらは他の実験と比べてということなので、「実験4」の方法でもふっくら仕上がり、十分美味しい。
おもてなしなど、料理の味の完璧さを求める場合は間違いなく「実験3:霜ふり」バージョンを作りたい。「実験1:酒洗い」「実験2:振り塩」でももちろん良いが、鍋にお湯を沸かす手間さえ惜しまなければさらに完璧になれる。
それよりも利便性を求める場合は「実験4:酒洗いのみ(焼きなし)」でも十分アリだと思う。
《作った感想》
魚の下処理方法はいろいろあり、どんな方法が良いのかが疑問でしたが、今回の実験で、臭みがある魚には「霜ふり」が有効ということがわかりました。タイやヒラメなど、元々臭みの少ない魚の場合は「振り塩」や「酒洗い」が良いのではと思います。
料理の下ごしらえには全て意味があり、“時短”や“手間なし”には惹かれますが、省いてはいけない手間もある、と感じています。
それにしても「実験3:霜ふり」の方法で作った「ぶりの照り焼き」、完璧な味わいです。
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防
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- 低温調理のルール 〜6つのポイント〜 - 2020年6月3日
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