比較実験

90℃~ うずら卵で半熟&ゆで卵 低温調理 火入れ比較実験

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BONIQ設定
材料
比較実験
比較実験結果
作った感想

うずら卵はただの小さい卵だろうか?

鶏卵のMサイズがだいたい60gとして、うずら卵はその1/6の大きさしかない。だったら鶏卵の方が安価だし、普通の鶏卵で良いのでは?

現在、うずら卵の生産現場では餌代や輸送費の高騰などを受けて、販売価格が上昇している。さらに学校給食での事故によって、自治体ではうずら卵の使用を学校給食から外す、という措置が実施され、うずら卵の消費量が減っているという。

うずら卵の栄養素は、良質なタンパク質を豊富に含んでいる。さらに赤血球を作るのに欠かせないビタミンB12や葉酸が鶏卵と比べてもより豊富に含まれており、鉄分も豊富。これらが不足すると赤血球が上手く作れなくなるため貧血の原因になる。アスリートはもちろん、妊娠・授乳期や妊娠を希望している女性にも必須な栄養素である。このように、大切な栄養が豊富に含まれた、優秀な食材なのである。

うずら卵は約10gの一口サイズであるがゆえに、お弁当に入れやすい。特に小さな子供が食べるお弁当の場合は、鶏卵の半割りではボロボロこぼしやすいが、うずら卵は見栄えも良いし食べやすい。また、子供のおやつとしては駄菓子やチョコレートや飴などは心の栄養としては良いかもしれないが、できるだけ体の栄養となるものを食べてもらいたい。
「うずら卵」なら良質なタンパク質を摂取できるし、大きさ的にも食べやすい。(小さい子の場合は半割りにするなど注意が必要。)
おつまみとしてもちょうど良い大きさで、丸ごと味付けもしやすい。

そのうずら卵が食べられなくなっているのは残念なことである。

さて、BONIQでうずら卵をどの温度で何分低温調理したら、どのような状態に仕上がるのか?
他の料理と同時調理ができる便利な温度、「90℃」と「95℃」でそれぞれの時間うずら卵を低温調理し、仕上がりを比較検証する。

実験1. 90℃ 4分
実験2. 90℃ 5分
実験3. 90℃ 6分
実験4. 90℃ 7分

実験5. 95℃ 2分
実験6. 95℃ 3分
実験7. 95℃ 4分
実験8. 95℃ 5分

※実験1〜8の実施後、実験結果をもとに実験9、10を実施。
実験9. 90℃ 4分45秒(設定は「90℃ 5分」)
実験10. 95℃ 3分45秒(設定は「95℃ 4分」)

※鶏卵と違い、小さいうずら卵を湯せんに直接投入すると取り出すのが大変になり、複数入れると取り出す順番で時間差ができてしまうため、耐熱袋に入れての低温調理とする。

※袋に水を入れるのは、「うずら卵同士の間に隙間をなくすため」と「うずら卵を湯せんに浸けた時に、温度差で割れるのを防ぐため」。少ない個数だと卵の間に隙間はあまりできないが、通常うずら卵を低温調理する場合は10個ほど(1パック)を同時調理することを想定しており、卵同士に隙間が生じる。また、通常の鍋で茹でる場合はうずら卵が温度差で割れることも防ぐため、「卵を常温に戻す」というのが通例だが、BONIQでの低温調理の場合は袋に水を入れることで急激な温度差にさらされず、割れることがない。

BONIQ設定

<実験1〜4>
90℃
0:04~0:07(4分~7分)

<実験5〜8>
95℃
0:02~0:05(2分~5分)

※<実験1〜8>の後、さらに
<実験9>
90℃
0:05(5分)
※設定温度に達したら、15秒後に入れる。→4分45秒

<実験10>
95℃
0:04(4分)
※設定温度に達したら、15秒後に入れる。→3分45秒

材料


・うずら卵  各1個(重さ10〜11g)
※冷蔵庫から出したてのもの。
・水(常温)  各1カップ(200ml)

<ほか、調理器具など>
・氷
・タイマー(実験9、10)

《手順》


比較実験:実験1~8

耐熱袋に水(常温)とうずら卵を入れ、BONIQが設定温度に達したら、袋を湯せんに入れ、それぞれの温度、時間で低温調理する。

実験1. 90℃ 4分
実験2. 90℃ 5分
実験3. 90℃ 6分
実験4. 90℃ 7分

実験5. 95℃ 2分
実験6. 95℃ 3分
実験7. 95℃ 4分
実験8. 95℃ 5分

低温調理後、すぐに氷水に浸けて急冷する。皮をむき、それぞれを比較検証する。

※便宜上、設定温度別に4個ずつ一緒に低温調理を行い、1分ごとにうずら卵を引き上げていく。

<BONIQセット時>
※肉、魚(生食用を除く)は種類と厚みに応じて加熱設定を変更する。参照:「低温調理 加熱時間基準表
※食材全体がきちんと湯せんに浸かるよう、十分な水量を用意する。
※高温・長時間調理時は蒸発による水位減少を防ぐため、最大水量を用意する。

<BONIQ投入時>
※袋内に気泡が残らないよう湯せんに入れながらしっかり空気を抜き、密封する。(参考:動画「低温調理用バッグの密封方法」記事「ベストなバッグ密封の仕方 比較実験」
※食材全体が湯せんに浸かるようにする。浮いてくる場合は、
BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナラック、トレーを使用して完全に沈める。
:耐熱性の瓶や重しを乗せて完全に沈める。
※高温・長時間調理時は、湯せんにカバーをして水位減少を防ぐ。
BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナルーフを使用する。
:ラップを使用する。

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比較実験:実験9、10

BONIQ設定時間は1分単位であるので、実際はそれぞれ「90℃ 5分」「95℃ 4分」に設定し、設定温度に達してタイマーがスタートしてから15秒後に袋を湯せんに入れることとする。


比較実験結果

「実験1. 90℃ 4分」は白身が固まり切れてない部分があり、殻をきれいにむけない。黄身はほぼ生。
「実験2. 90℃ 5分」は白身はやわらかいが、殻は丁寧にむけばきちんとむける。やや半熟感が残っている。黄身はねっとり濃厚。
「実験3. 90℃ 6分」はしっかり火が入っているが、固くはない。黄身はしっとり濃厚。
「実験4. 90℃ 7分」はもっとしっかり火が入っているが、固くはない。黄身がほくっと濃厚。

「実験5. 95℃ 2分」は白身が固まり始めてはいるが、ほぼ生。
「実験6. 95℃ 3分」は白身が固まり切れてない部分があり、殻をきれいにむけない。黄身はほぼ生。
「実験7. 95℃ 4分」はやわらかいが殻はきちんとむける。黄身はちょうど良い感じに半熟でねっとり濃厚。
「実験8. 95℃ 5分」はしっかり火が入っているが、固くはない。黄身はしっとり濃厚。

「実験1. 90℃ 4分」、「実験5. 95℃ 2分」「実験6. 95℃ 3分」は殻がきちんとむけず、原型をとどめないので「ゆで卵」とは言えない。
半熟卵と言えるのは90℃なら「実験2. 90℃ 5分」、95℃なら「実験7. 95℃ 4分」、固ゆで卵なら「実験3. 90℃ 6分」「実験4. 90℃ 7分」、95℃なら「実験8. 95℃ 5分」であった。

鶏卵とは違い、設定時間「1分」の違いで火入れがかなり変わる。秒単位で火入れが変わっていくということである。
そこで考えたのは、良い感じの半熟に仕上がった「実験2. 90℃ 5分」、「実験7. 95℃ 4分」より“もっと半熟”に仕上げることはできるだろうか?

ということで、15秒短くして

実験9. 90℃ 4分45秒
実験10. 95℃ 3分45秒

を行うことにした。
BONIQ設定時間は1分単位であるので、実際はそれぞれ「90℃ 5分」「95℃ 4分」に設定し、設定温度に達してタイマーがスタートしてから15秒後に耐熱袋を湯せんに入れることとした。

その結果は・・・

実験9. 90℃ 4分45秒
実験10. 95℃ 3分45秒

どちらも美しい半熟に仕上がった。“やわらかい白身とねっとりしたなめらかな黄身の濃厚な美味しさ”が感じられる。ただ、殻をむく際は丁寧にやらないと白身が剥がれそうになるので、これ以上調理時間を短くするのは難しい。

市販品の「うずら卵水煮」とも比べてみた。市販品はかなり固く弾力がすごい。丸ごとの状態でつまみ上げると、まるでゴムボールのような弾力がある(噛めば簡単に崩れるが)。多くの商品が「レトルトパウチ」または「缶詰」であり、「中心部温度を120℃で4分間加熱(またはこれと同等以上の方法)」されている。(参照:厚生労働省「我が国の容器包装詰加圧加熱殺菌食品の規格基準」)保存性を高めるために、かなりの高熱で加熱されるため、相当固くなる。その分常温で保存できて利便性は高い。しかし、その食感はややボソボソし、味わいはせっかくのうずら卵本来の美味しさが半減している。誤解のないよう伝えると、市販の水煮もきちんと美味しいが、BONIQで仕上げた“やわらかい白身とねっとりなめらかで濃厚な黄身の、極上の美味しさ”のうずら卵とはやはり比べられない。

以上をまとめると、BONIQでは

半熟卵:「90℃ 4分45秒〜5分」、「95℃ 3分45秒〜4分」
固ゆで卵:「90℃ 6分〜7分」、「95℃ 5分」

がおすすめ、という結果となった。
※卵を直接湯せんに投入した場合とは、結果は異なる可能性がある。(直接湯せんに投入するには、割れるのを防ぐためうずら卵を常温に戻す必要がある。)

参考文献
・飯田薫子・寺本あい、一生役立つ きちんとわかる栄養学、西東社、2022、p.106-109
・カロリーSlism、「うずらの卵」「卵」、2025/2/15参照
https://calorie.slism.jp/112002/
・株式会社日本経済新聞社、ウズラ卵、最高値圏 餌代・輸送費高に供給力も懸念、日本経済新聞、2024/4/11、2025/2/15参照
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB277YR0X20C24A3000000/
・厚生労働省、我が国の容器包装詰加圧加熱殺菌食品の規格基準、2025/2/15参照
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0626-8h.pdf
・文部科学省、学校給食における窒息事故の防止について、文部科学省公式サイト、2025/2/15参照
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1337615.htm
・株式会社日本農業新聞、[農家の特報班]積み上がるウズラ卵在庫 事故で需要減、日本農業新聞、2024/8/14、2025/2/15参照
https://www.agrinews.co.jp/news/index/252235

《作った感想》
BONIQで仕上げたうずら卵、特におすすめしたいのが「半熟」です。黄味がねっとり濃厚で、市販品の水煮とは全く違います。また、一般的な鶏卵よりもかなり味わいが濃厚で卵臭さがありません。鶏卵にもいろいろありますが、ざっくりとした言い方をすると、スーパーで販売されている鶏卵の中でも「特に高級なもの」に近い味わい!
栄養価も高く、お弁当にもおつまみ、おやつとしても食べやすいので本当におすすめです。お弁当に入れるなら「固ゆで卵」の温度・時間に設定ください。
一点、多い個数の殻をむくのは鶏卵よりは大変なので、今後、何かむきやすい方法を調査したいと考えています。

2024年、またそれ以前にも学校給食で児童がうずら卵を喉に詰めて亡くなるという痛ましい事故が起きています。もちろんどんな食品もよく噛まなければ喉に詰まる可能性がありますので、学校現場でよく噛むように指導する、などの対策がされているようですが、事故を受けてうずら卵を給食に使わない自治体が広がっているようです。
今回、BONIQしたうずら卵と市販の水煮と比べてみると、両者は全然別物であり、レトルトのものは丸ごとだとかなり弾力があって味わいが全く違うのも驚きでした。学校など給食の現場であれば利便性が必要なのも理解できますが、おうちでBONIQを使えば「やわらかい白身となめらかで濃厚な黄身の、極上の美味しさのうずら卵」を簡単に作ることできます。

ぜひBONIQをご活用いただき、うずら卵のポテンシャルを知っていただけましたら幸いです。

質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

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小野寺 桂子
大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・アスリートフードマイスター3級・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。
小野寺 桂子

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BONIQ設定

  • <実験1〜4>
  • 90℃
  • 0:04~0:07(4分~7分)
  • <実験5〜8>
  • 95℃
  • 0:02~0:05(2分~5分)
  • ※<実験1〜8>の後、さらに
  • <実験9>
  • 90℃
  • 0:05(5分)
  • ※設定温度に達したら、15秒後に入れる。→4分45秒
  • <実験10>
  • 95℃
  • 0:04(4分)
  • ※設定温度に達したら、15秒後に入れる。→3分45秒

材料一覧

  • ・うずら卵  各1個(重さ10〜11g)
  • ※冷蔵庫から出したてのもの。
  • ・水(常温)  各1カップ(200ml)
  • <ほか、調理器具など>
  • ・氷
  • ・タイマー(実験9、10)

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