・BONIQ設定
・材料
・比較実験
・比較実験結果
・まとめ
・作った感想
ハンバーグは挽き肉料理の中でも圧倒的に人気が高い。それゆえ惣菜、お弁当やレトルトなど、出来上がった市販のものが簡単に手に入る。
そのハンバーグの“タネ”は「挽き肉」に「調味料」、「玉ねぎ」、「パン粉」を混ぜ合わせたものが一般的である。
つまり、ほとんどのものにつなぎの役割をする“パン粉”が使われている。通常のパン粉は“小麦粉から作られた”パンから出来ているため、グルテンフリー(※)ではない。
一般的に販売されている数多くのハンバーグ商品の中で、グルテンフリーの選択肢はかなり少ない。ならばということで、小麦アレルギーがある方などグルテンフリーを実践する方のためのハンバーグを作りたいと考えた。
ハンバーグをグルテンフリーで仕上げるには、つなぎにパン粉を使用することができない。
そこで「パン粉を入れずに作ったもの」とパン粉の代わりに「米粉を入れて作ったもの」を比較する。また、米粉の混ぜ方によってハンバーグの仕上がりにどのような違いが出るのかを検証する。<実験1>「挽き肉」+「調味料」+「玉ねぎ」
<実験2>「挽き肉」+「調味料」+「玉ねぎ」+「米粉」(炒めた玉ねぎと米粉をそれぞれ加えて混ぜ合わせる)
<実験3>「挽き肉」+「調味料」+「玉ねぎ+米粉」(炒めた玉ねぎに米粉をまぶしたものを混ぜ合わせる)実験1はつなぎを何も入れないで作り、実験2と3はつなぎとして米粉を入れるが入れ方が違う。
実験2は玉ねぎと米粉をそれぞれ挽き肉に混ぜ込むのに対し、実験3は炒めた玉ねぎに米粉をまぶし、パラパラの状態にしたものを挽き肉に混ぜ込む。※グルテンフリー:「グルテン」を含まない食品とその食事法。グルテンは主に小麦粉に含まれる。グルテンを摂取しないことで、アレルギーなどの身体的症状や精神的症状が改善された症例があることから、この考えが広まった。グルテンの影響を受ける人もいれば、それほど受けない人もおり、「グルテン」が一概に悪いとういうわけではない。
BONIQ設定
65℃
2:20(2時間20分)※参照:「低温調理 加熱時間基準表(豚肉)」
材料
<タネ>
・合い挽き肉 300g
・塩 3g
・こしょう 少々
・ナツメグ 少々
※タネのこね具合を同一にするため、実験1〜3の分を一気にこね、3等分(102gずつ)にする。《炒め玉ねぎ》
・玉ねぎ(中) 1/2個(約120g)
・米油 大さじ1/2
※玉ねぎの炒め具合を同一にするため、実験1〜3の分を一気に炒め、3等分(30gずつ)にする。《実験2、3:つなぎとして使用》
・米粉 各大さじ1<ハンバーグを焼く用>
・米油 大さじ1<ほか、調理器具など>
・フライパン
・ボウル/容器
《手順》

比較実験
玉ねぎは3〜5mm大にみじん切りし、フライパンに米油を入れて弱火で熱し、玉ねぎが透き通るまで炒める。
各実験分、30gずつに3等分する。
ボウルに<タネ>の材料(合い挽き肉、塩、こしょう、ナツメグ)を入れてこねる。
粘りが出たら、
<実験1>
炒め玉ねぎを加え、良く混ぜ合わせる。
<実験2>
炒め玉ねぎと米粉を加え、良く混ぜ合わせる。
<実験3>
炒め玉ねぎに米粉をまぶしてパラパラの状態にしたものを加え、良く混ぜ合わせる。
両手で空気を抜きながら厚み3cmになるように丸めて成形し、冷蔵庫で1時間ほど寝かせる。
フライパンを中火で熱し、ハンバーグの両面を1分ずつ焼く。
厚みを確認する。→厚み3.5cm
耐熱袋に各実験のハンバーグをそれぞれ入れ、65℃ 2:20(2時間20分)低温調理する。
BONIQの設定時間終了タイマーが鳴ったら袋を取り出し、それぞれの仕上がりを比較する。


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<BONIQセット時>
※肉、魚(生食用を除く)は種類と厚みに応じて加熱設定を変更する。参照:「低温調理 加熱時間基準表」
※食材全体がきちんと湯せんに浸かるよう、十分な水量を用意する。
※高温・長時間調理時は蒸発による水位減少を防ぐため、最大水量を用意する。
<BONIQ投入時>
※袋内に気泡が残らないよう湯せんに入れながらしっかり空気を抜き、密封する。(参考:動画「低温調理用バッグの密封方法」、記事「ベストなバッグ密封の仕方 比較実験」)
※食材全体が湯せんに浸かるようにする。浮いてくる場合は、
・BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナラック、トレーを使用して完全に沈める。
・鍋:耐熱性の瓶や重しを乗せて完全に沈める。
※高温・長時間調理時は、湯せんにカバーをして水位減少を防ぐ。
・BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナルーフを使用する。
・鍋:ラップを使用する。
・BONIQ 低温調理用耐熱袋「BONI BAG」(湯せん、冷凍、冷蔵可能)はこちら
・BONIQ 低温調理コンテナ&コンテナアクセサリー(ラック、トレー、フタ、ジャケット)はこちら
・BONIQ 深型ホーロー鍋はこちら

比較実験結果:低温調理前
<実験1>
(つなぎの米粉を入れないもの)
タネを成形したところ、合い挽き肉の脂分でつるつるした触感で実験2と3よりやわらかい。玉ねぎの混ざり具合で、満遍なく混ざったことが判断できた。
<実験2>
(玉ねぎと米粉を別々に入れたもの)
タネをこねる際、米粉が満遍なく混ざったかがわかりにくく、混ざり具合は自身の経験から判断した。生地はまとまりやすく成形しやすかった。
<実験3>
(玉ねぎに米粉まぶして入れたもの)
タネをこねる際、米粉をまぶした玉ねぎの混ざり具合で、満遍なく混ざったことが簡単に判断できた。生地はまとまりやすく成形しやすかった。

比較実験結果:低温調理後


<実験1>
(つなぎの米粉を入れないもの)
厚み:4.0cm / 肉汁(耐熱袋に流れ出たもの):20.5g
触感は硬く、食べてみると噛みごたえがあり、実験2と3と比較すると明らかに硬い。
<実験2>
(玉ねぎと米粉を別々に入れたもの)
厚み:4.5cm / 肉汁:15.0g
触感は弾力があり、米粉を入れない実験1よりふっくらしている。実験3とやわらかさはほぼ同じである。食べるとやわらかくジューシーである。
<実験3>
(玉ねぎに米粉まぶして入れたもの)
厚み:4.5cm / 肉汁:15.0g
触感は弾力があり、米粉を入れない実験1よりふっくらしている。実験2とやわらかさはほぼ同じである。食べるとやわらかくジューシーである。

まとめ

膨らみ具合:
実験2 = 実験3 >実験1
耐熱袋に流れ出た肉汁の少なさ=ハンバーグのジューシーさ:
実験2 = 実験3 >実験1
やわらかさ:
実験2 = 実験3 >実験1
この結果から、実験1(つなぎの米粉を入れない)のハンバーグが硬くなり肉汁を失ってしまったように、ハンバーグにとってつなぎは重要な役割を果たすことがわかった。
つなぎを入れた、実験2(玉ねぎと米粉を別々に入れたもの)と実験3(玉ねぎに米粉をまぶして入れたもの)は仕上がりはほぼ同じとなった。
ただ、タネをこねる工程で、実験3の方がつなぎである米粉が満遍なく混ざったのがわかりやすく作りやすかった。つなぎは均等に混ざっていてこそ、どこを食べてもふっくらジューシーなハンバーグとなる。
実験2は均一に米粉が混ざったのかがややわかりにくかったので、もし均一に混ぜられていなければ、一部は肉汁が流出して硬くなることも起こり得る。
炒めた玉ねぎに米粉をまぶして入れるだけで、大して手間が増えるわけではなく、実験3(玉ねぎに米粉をまぶしてから入れる)のやり方が誰にでもわかりやすいと感じた。
《作った感想》
今回の比較実験の結果から、グルテンフリーハンバーグには、つなぎとして米粉を入れた方が、生地がまとまりやすく成形しやすいことがわかりました。
米粉の混ぜ方としては、最終的に満遍なく生地に混ざれば、混ぜ方の違いによらず、ハンバーグは同様の仕上がりになりました。
しかし、米粉を直接タネに加えて混ぜた場合、満遍なく混ざったかどうかがわかりにくく、どの程度混ぜたら良いかの判断基準が曖昧でした。
一方、玉ねぎに米粉をまぶしてからタネに加えて混ぜた場合、生地の中の玉ねぎの混ざり具合で、同時に米粉が満遍なく混ざったことが一目瞭然で判断できました。
低温調理後の仕上がりを比較した結果においても、米粉を入れた方が肉汁の流出を防ぎ、ハンバーグがふっくらやわらかくジューシーに仕上がることがわかりました。
今回の結果を、今後のグルテンフリーレシピにも活用し、さらに発展させて、小麦にアレルギーがあり食に制限のある方にも、低温調理で幅広くお料理を楽しんでいただきたいと思います。
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防


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