・BONIQ設定
・材料
・比較実験
・比較実験結果
・作った感想
低温調理において「鶏むね肉」は定番中の定番である。
従来の「茹で」「焼き」などの調理法に比べ、圧倒的にやわらかくしっとり仕上がるのは間違いない。
数あるBONIQレシピの中でも「低温調理 鶏むね(=蒸し鶏)」「サラダチキン」と「鶏ハム」などいろいろあり、レシピもさまざまある。
それらの境界は曖昧だが、違いと言えば仕上がりの水分量にあると思う。
「低温調理 鶏むね(=蒸し鶏)」はそのままの鶏むね肉を低温調理する。(調味は耐熱袋に入れて低温調理と同時に行うか、調理後に味を含ませる。)
「サラダチキン」と「鶏ハム」は調味料であらかじめ漬け込んで脱水させてから加熱する。
脱水させるのは「サラダチキン」もと「鶏ハム」どちらも同じだが、「鶏ハム」の方がより多く脱水させ、形状も丸く成形することもあり、より“ハム”の食感になる。
つまり一番加工を加えず水分量が多いのが「低温調理 鶏むね(=蒸し鶏)」で、一番加工が入るのが「鶏ハム」、その間が「サラダチキン」といったイメージである。
今回は「サラダチキン」を作るにあたり、下処理の方法を考察する。
サラダチキンを作る方法は概ね、最初に「塩」、あるいは、「砂糖と塩」で漬け込みをして鶏むね肉を脱水させ、それから低温調理する。
この漬け込みの際、塩だけだとどうなのか?
砂糖を入れるとどうなるのか?
砂糖を入れると甘くならないのか?
を検証する。<漬け込みなし>
実験1. 鶏むね肉を低温料理する → 袋に塩を入れて肉に塩を含ませる“後塩法”
実験2. 鶏むね肉に「塩」を振って低温料理する
<漬け込みあり>
実験3. 鶏むね肉を「塩」で1日漬け込む → 低温調理する
実験4. 鶏むね肉を「砂糖と塩」で1日漬け込む → 低温調理する実験1と2は全くマリネしない「低温調理鶏むね(=蒸し鶏)」で、実験1はBONIQが推奨する“後塩法”。低温調理後に塩を肉に含ませる。
実験2は塩をした鶏むね肉を低温調理する、一般的な方法。
「60℃ 鶏むね肉の低温調理 塩のタイミング比較実験」の結果、「実験1の“後塩法”」の方が「実験2の塩をして低温調理」よりもやわらかく仕上がることがわかっている。
実験3、4の塩、あるいは塩と砂糖でマリネしてから低温調理する方法も低温調理前に塩が入っているので、実験2同様、硬くならないのか?を検証する。
BONIQ設定
60℃
2:05(2時間5分)※参照:低温調理 加熱時間基準表(鶏肉)
材料
<BONIQする材料:実験1〜4>
・鶏むね肉(国産。皮なし) 各300g(厚み3cm)《実験1:低温調理後、鶏むね肉に含ませる》
・塩 3g《実験2:鶏むね肉に塩を振って低温調理》
・塩 3g《実験3:鶏むね肉を下記の材料で1日漬け込む》
・塩 3g《実験4:鶏むね肉を下記の材料で1日漬け込む》
・砂糖 9g
・塩 3g
《手順》

比較実験
鶏むね肉(皮なし、筋や余分な脂は取り除いたもの)にそれぞれの方法で下処理をする。
実験1. 何もしない
実験2. 塩を振る
実験3. 塩振って1日漬け込む
実験4. 砂糖をまぶしてから塩を振り、1日漬け込む。
それぞれペーパーでドリップを拭き取って耐熱袋に入れ、BONIQで60℃ 2時間5分低温調理する。
BONIQ終了のタイマーが鳴ったら全ての袋を取り出す。
実験1の袋に塩を入れる。
全ての袋を氷水に浸けて冷やし、冷蔵庫に移して12時間おく(実験1に十分塩を含ませるため12時間おいた)。
取り出して再びBONIQで60℃ 20分温め、スライスする。


<BONIQセット時>
※肉、魚(生食用を除く)は種類と厚みに応じて加熱設定を変更する。参照:「低温調理 加熱時間基準表」
※食材全体がきちんと湯せんに浸かるよう、十分な水量を用意する。
※高温・長時間調理時は蒸発による水位減少を防ぐため、最大水量を用意する。
<BONIQ投入時>
※袋内に気泡が残らないよう湯せんに入れながらしっかり空気を抜き、密封する。(参考:動画「低温調理用バッグの密封方法」、記事「ベストなバッグ密封の仕方 比較実験」)
※食材全体が湯せんに浸かるようにする。浮いてくる場合は、
・BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナラック、トレーを使用して完全に沈める。
・鍋:耐熱性の瓶や重しを乗せて完全に沈める。
※高温・長時間調理時は、湯せんにカバーをして水位減少を防ぐ。
・BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナルーフを使用する。
・鍋:ラップを使用する。
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比較実験結果


<漬け込みなし>
実験1. 鶏むね肉を低温料理する → 袋に塩を入れて肉に塩を含ませる“後塩法”
実験2. 鶏むね肉に「塩」を振って低温料理する
<漬け込みあり>
実験3. 鶏むね肉を「塩」で1日漬け込む → 低温調理する
実験4. 鶏むね肉を「砂糖と塩」で1日漬け込む → 低温調理する
実験1、2の<漬け込みなし>のものと実験3、4の<漬け込みあり>のものの一番の差は、「臭み」。
実験1、2は袋を取り出した時点から鶏臭が感じられるのに対し、実験3、4は鶏臭さが少ない。実験4の「砂糖+塩」で漬けたものが一番臭みが消えている。
実験1は安定のしっとりジューシーやわらか。身がふわっとしている。
実験2は見た目がもろっとなっている。食感は実験1に比べればやや繊維が固まっていると感じるが、それでもやわらかくジューシーである。
「ジューシーさ」で言うと実験1、2がジューシーであり、実験3、4は「塩」と「砂糖+塩」で脱水している分やや身が引き締まっている。決して固いのではなく、ふわっとはしていないという意味である。
実験4は砂糖の保水効果であると思うが、実験3よりもさらにしっとりしている。
実験4は砂糖のダイレクトな「甘さ」は特に感じない。感じないがやはり実験3と風味は異なり、甘さを感じる一歩手前をなんと表現すれば良いのか?「丸みがある味わい」と言ったところか。砂糖は「きび砂糖」を使ったので、そのかすかな風味が残っている気もする。
実験2の塩を振って低温調理したものよりも、実験3「塩」と実験4「砂糖+塩」で漬け込んだ方がやややわらかく感じる。
どれも塩分が入った状態で低温調理中しているのは同じだが、仕上がりには差が感じられた。
臭みなし 実験4>実験3>実験1 ≒ 実験2
ジューシーさ 実験1>実験2>実験3 ≒ 実験4
やわらかさ 実験1>実験4 ≒ 実験3>実験2
漬け込んでいない実験1、2は、低温調理の際に袋にねぎ(青い部分)やしょうがの皮を一緒に入れて臭み消しをすると良いだろう。
裏を返せば鶏そのもの風味をしっかり感じられるので、ブランド鶏や地鶏などの良質な鶏肉を使えば、ほとばしるようにジューシーで、より鶏本来の良さを味わえると思う。
実験3、4は冷凍鶏やノーブランドの国産鶏でも十分美味しく臭みなく、上質なサラダチキンに仕上げることができるのではないか。
「蒸し鶏」にするなら実験1の塩を袋に入れて肉に含ませる“後塩法”がしっとりジューシーにふわっとやわらかくなり、「サラダチキン」にするなら実験4の「砂糖+塩」が一番臭みなくしっとり仕上げられると思う。
参考文献
日本調理アカデミー「砂糖の調理性」2025/10/22参照
https://www.nihon-chouri.ac.jp/glossary/%E8%8A%8B%E3%81%AE%E8%AA%BF%E7%90%86/
《作った感想》
今までいろいろな低温調理レシピを研究していましたが、一周回ってまた鶏むね肉に戻ってきました。
BONIQのユーザー様には鶏むね肉の低温調理は定番中の定番で、特に健康に気を使う方やダイエット中の方、筋トレ愛好家の方には特に重宝していただいていると思います。
鶏むね肉は良質なタンパク質で低脂質。
栄養価的には文句ない食材ですが、元々味わいが淡白なので飽きやすい味とも言えます。
そこで、毎日でも食べたい、本気で美味しいサラダキチンを追求しようと思ったのが今回の比較実験のきっかけです。
ダイエット中の方や糖質を気にされる方には「砂糖」は避けられがちなのですが、砂糖が悪なのではなく、適量を正しく使うことで食材をさらに美味しくワンランク上のクオリティに昇華させることができる大事な調味料だと私は思います。
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防
最新記事 by 小野寺 桂子 (全て見る)
- 低温調理のルール 〜6つのポイント〜 - 2020年6月3日


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