比較実験

95℃ ほうれん草のアク抜きは可能?比較実験

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BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。

日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

ほうれん草は食べる際にアク抜きが必要な野菜であり、このアクの主成分はシュウ酸と呼ばれる物質で“エグみ”の元となると言われている。アクの抜けていないほうれん草を食べると、エグくて歯の裏ががギシギシする。
また、シュウ酸を摂取し過ぎるとカルシウムの吸収を妨げたり、体質によっては結石などを引き起こす原因となる可能性があるようだ。(ほうれん草を1日1㎏ほど食べない限り問題ではないという説もある。)

BONIQでほうれん草を低温調理をする場合、アクがきちんと抜けてエグくなく、しかもきれいな緑色で美味しく仕上げることが出来るのか?
次の3つの方法で比較実験を行う。
ほうれん草を・・・

①鍋で塩茹で → 冷水にさらす(従来法)
②BONIQ 95℃ 2分 → 冷水にさらす
③サラダほうれん草 BONIQ 95℃ 2分 → バッグのまま冷却

※サラダほうれん草:品種改良によってシュウ酸(アクの成分)を少なくした生食用のほうれん草
※①は約1%の塩水、②③はほうれん草の重さの1%の塩を入れてBONIQ

従来法①は「塩ゆで」と「水にさらす」ので2回水にくぐらせるが、②はBONIQ後に「水にさらす」の1回のみ水にくぐらせる。それでアクが抜けるのか?また、元からアクの少ないサラダほうれん草③の場合、アク抜きしなくても良いのか?

BONIQ設定

95℃
2min

材料


・ほうれん草(スーパーで一番見かける交配種。根元に十字に切り込みを入れ、よく洗う)
・サラダほうれん草(品種改良によってシュウ酸を少なくした生食用。洗う)
・塩

当レシピの栄養素

栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量
低糖質レベル (一食:糖質5g以下)
カロリー  25 kcal -
糖質  0.4 g -
タンパク質  2.6 g  体重 x 1.2g ~ 1.5 g
脂質  0.5 g -
食物繊維  3.6 g 20 g 以上
カリウム  490 mg  3500 mg 以上
カルシウム 69 mg 650 mg 以上
マグネシウム  40 mg 350 mg 以上
鉄分  0.9 mg 7.5 mg 以上
亜鉛  0.7 mg  10 mg 以上

《手順》

①鍋で塩茹で → 冷水にさらす

鍋に1.5リットルの湯を沸かし、15gの塩を入れて混ぜる。(約1%の塩水)
沸騰した塩水にほうれん草を茎の方から入れ、15秒したら葉の部分も入れて20秒茹でる。ほうれん草を裏返してさらに20秒茹でる。
引き揚げて氷水に落とし、3分したら引き揚げて水気を絞る。

②BONIQ 95℃ 2分 → 冷水にさらす

フリーザーバッグにほうれん草100gと塩1gを入れ、空気を抜いて密封する。
BONIQ 95℃ 2分 で低温調理する。
引き揚げて氷水に落とし、3分したら引き揚げて水気を絞る。

フリーザーバッグの密封方法:https://youtu.be/N-t1ox7mox0

③サラダほうれん草 BONIQ 95℃ 2分 → フリーザーバッグのまま冷却

フリーザーバッグにサラダほうれん草100gと塩1gを入れ、空気を抜いて密封する。
BONIQ 95℃ 2分で低温調理する。
引き揚げてフリーザーバッグごと氷水に落とし、3分したら引き揚げる。水気を絞る。

比較実験結果

それぞれ、以下のような結果となった。



調理前の生の状態では、一般的なほうれん草(スーパーで一番見かける交配種)はサラダほうれん草に比べ強いエグみを感じたが、それぞれ調理後は・・・

①②③どれも同じくらいエグみは気にならなかった。
「②BONIQ 95℃ 2分」もきちんとアク抜き出来ていたことになる。

「①鍋で塩茹で」のものは普通に美味しいが、②と比較するとやや水っぽさを感じた。塩の浸透の仕方に違いがあるのかもしれない。②は塩が甘さと旨みを引き出している。
「③サラダほうれん草 BONIQ 95℃ 2分」はアク抜きの必要がないので水にさらさないで使えるというメリットがあるが、一般的なほうれん草に比べ味が薄く、歯ごたえがなくなってしまった。用途通りに生食するのが一番美味しく食べる方法のようである。一般的なほうれん草より割高でもあるので、加熱調理する場合の代用品としては向いていないと考えられる。

つまり、「②BONIQ 95℃ 2分」はBONIQ後に冷水にさらせばアク抜きが可能であり、水にさらした後もほうれん草に塩が浸透しており、本来の旨みを引き出していた。
また塩と共に調理すれば変色することもなかった。

《作った感想》
低温調理はフリーザーバッグの中で調理するので、野菜や肉のアク抜きをどうするか?をクリアしなければなりませんでした。
しかし今回はBONIQ後にほうれん草を水にさらすことでアク抜きがきちんとできるばかりか、従来法よりも素材に塩を浸透させられて旨みを引き出し、より美味しく仕上げることができました。また葉物は変色しやすいのが難点でしたが、今回は塩がクロロフィルの緑を安定させ、調理時間を短くすることで変色を防ぐことができました。
これは新たな低温調理の可能性の発見です。
早速、他の料理に応用したいと思います!

BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

ほうれん草は野菜の中でも鉄分をトップクラスに含んでいる野菜です。野菜の鉄分は吸収率が低いのですが、鉄の吸収を助けるビタミンCも多く含んでおり、理にかなった野菜です。
他にも、葉酸やカロテン、食物繊維なども豊富で栄養価が非常に高い野菜と言えます。

スーパーでも1年中手にすることができるほうれん草ですが、季節によって栄養価が違うことはご存知でしょうか?夏と冬のほうれんそうでは、冬に収穫されたほうれん草のほうがビタミンCの含有量が3倍近く多くなります。
ほうれん草は冬に育てると、自分自身が凍らないように糖やビタミンの濃度を高くして防御する性質があります。このため、糖やビタミンCの含有量が増えて味が濃く美味しいほうれん草が育つのです。

水でグツグツ茹でてしまうと栄養素が壊れてしまったりお湯の中に溶けだす心配がありますが、BONIQで低温調理した後に氷水にさらす方法ならば栄養素の損失も最小限に抑えることができます。

最近のほうれん草は品種改良が進んでおり、昔のほうれん草に比べてシュウ酸の含有量も下がっているのでシュウ酸のことは気にしなくても大丈夫ですよ。

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

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小野寺 桂子
大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・アスリートフードマイスター3級・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。
小野寺 桂子

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  • ・ほうれん草(スーパーで一番見かける交配種。根元に十字に切り込みを入れ、よく洗う)
  • ・サラダほうれん草(品種改良によってシュウ酸を少なくした生食用。洗う)
  • ・塩

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