比較実験

38℃〜 サーモンの火入れ温度比較実験

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BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。

日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

サーモンの火入れは何度が良いのか?
例えばサバであれば味噌煮にしてもサラダフィッシュにしても、だいたい65℃~70℃で低温調理を行うことが多い。(参照:「風味豊かな さばの味噌煮」「サラダフィッシュ ~スモークさば~」)
ところがサーモンとなると40℃のレシピもあれば50℃や55℃もある。
一体何度でどのような状態になるのか?
目安となる加熱チャートがあれば、今後理想の状態に仕上げやすくなる。

サーモンの全面に振り塩をして10分置いたのち、BONIQで

①38℃ 
②40℃ 
③45℃ 
④50℃ 
⑤55℃ 
⑥60℃ 
⑦65℃ 
⑧70℃ 

それぞれの温度で30分、低温調理を行った。

魚を加熱した場合のタンパク質の凝固温度はおよそ40~50℃と言われているが、もっと低い温度(38℃)からタンパク質の凝固が始まるという説もある。そこで最低温度を38℃とし、加熱したサーモンの状態がどのように変化していくのかを見る。
サーモンは生食可のアトランティックサーモンを使用する。

時間については、今回は各100g・厚さ3cmの背側の身を使い、芯温計を刺しながら調理行ったが、全ての温度帯にて25分経過時点で設定温度の-0.2~-0.5℃、30分で-0.1~-0.4℃に到達したことを確認している。

BONIQ設定

①38℃ 0:30(30分)
②40℃ 0:30(30分)
③45℃ 0:30(30分)
④50℃ 0:30(30分)
⑤55℃ 0:30(30分)
⑥60℃ 0:30(30分)
⑦65℃ 0:30(30分)
⑧70℃ 0:30(30分)

材料



・アトランティックサーモン(生食可)  各100g(厚さ3cm)
※火通りにかたよりがないよう、全て背側からカットしたものを使用
・塩  各0.9g(サーモンの重量の0.9%)

当レシピの栄養素

栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量
低糖質レベル (一食:糖質5g以下)
カロリー 237 kcal -
糖質 0.1 g -
タンパク質 20.1 g  体重 x 1.2g ~ 1.5 g
脂質 16.1 g -
食物繊維 0 g 20 g 以上
カリウム 360 mg  3500 mg 以上
カルシウム 8 mg 650 mg 以上
マグネシウム 28 mg 350 mg 以上
鉄分 0.3 mg 7.5 mg 以上
亜鉛 0.4 mg 10 mg 以上

《手順》

比較実験

サーモンの全面に振り塩をし、10分おく。
出てきた水気をキッチンペーパーで押さえる。(臭みが抜けると共に塩味が付く)
フリーザーバッグにサーモンを入れ、空気を抜いて密封する。
BONIQ終了タイマーが鳴ったらバッグを取り出し、氷水で急冷する。(余熱で火が入るのを防ぐため)

フリーザーバッグの密封方法:https://youtu.be/N-t1ox7mox0

比較実験結果まとめ

それぞれ、以下のような結果となった。


上記画像からわかるように「①38℃~④50℃」と「⑤55℃~70℃」で、前者はオレンジがかった色であるのに対し、後者はピンクがかって”火が入った”要素が強い。

①38℃ 生ではないが生寄りの食感 →新食感の刺身
②40℃ 生の要素残る とろりと崩れやすい  
③45℃ なんとか生の要素残る ほろりと崩れやすい 
④50℃ ギリギリ火が入っているか →ミ・キュイ
⑤55℃ ここから火が入った感 しっとり柔らかい 
⑥60℃ きちんと火が入っている 十分柔らかい
⑦65℃ きちんと火が入っている まだ柔らかい
⑧70℃ まだ柔らかいが、ややパサつきも これ以上の温度は低温調理の意味ないか

①38℃と②40℃を比べると、たった2℃の違いにもかかわらず状態が全く違っている。①は包丁でカットしても崩れにくいが、②は繊維がほろほろとほぐれて崩れそうになる。①は新しい食感の”刺身”として提供できるが、②の食感はもはや刺身ではない。
また①は完全な”生”よりも歯切れが良いのでとても食べやすく、口の中で旨みをダイレクトに感じられる。
③45℃と④50℃までは、まだ生の要素が残っており、身が柔らかくとろけるような食感が残る。
⑤55℃から歯ごたえが増し、”火が入った”と感じるようになる。 
以上、①~⑤までは低温調理にしか出すのが難しい食感と言える。

⑥60℃と⑦65℃も火がきちんと入っているが、十分柔らかい。
⑧70℃でも焼き魚の食感としては柔らかい方であるがややパサつきが出てきたので、低温調理のメリットがあるのはこの辺までであろう。

本レシピは「生食」となりますので、保存ができません。必ず「低温調理のルール ~6つのポイント~」をお守りいただき、すぐにお召し上がりください。
(生食=「低温調理 加熱時間基準表(魚)」を満たしていない、低温で加熱調理したもの。)

《作った感想》
まず驚いたのが①38℃と②40℃の違いです。たった2℃の差ですが、食感が全く違う仕上がりになりました。③~⑧は5℃差ずつですがそれよりも①②の差の方が、より大きく感じたくらいです。
そして①38℃は新しい食感の刺身として、何か面白い料理ができそうでワクワクします。
今回の比較実験を一つの目安として、理想の状態を見つけてみてください。

BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

サーモンにはDHA・EPAと呼ばれる不飽和脂肪酸が多く含まれています。
魚介類の中でも脂が乗っている魚や、その部位に多く含まれているのがこのDHA・EPA。
動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防等にも役立つといわれており、最近ではサプリメントでも気軽に摂取できるようになってきています。

DHA・EPAをより効率的に吸収するためには、タンパク質との摂取が効果的です。つまり、高たんぱくである魚に含まれているDHA・EPAは吸収率が良いということです。
肉や大豆では摂取できないこの不飽和脂肪酸、ぜひ日ごろからサーモンをはじめとした魚類も食事に積極的に取り入れるようにしてください。

<サーモンの低温調理 比較実験シリーズ>
50℃ ブライニングは有効?比較実験 サーモン編
38℃~ サーモンの火入れ温度比較実験
36℃ 生 v.s. 低温調理サーモン 比較実験

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

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小野寺 桂子
大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・アスリートフードマイスター3級・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。
小野寺 桂子

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  • ②40℃ 0:30(30分)
  • ③45℃ 0:30(30分)
  • ④50℃ 0:30(30分)
  • ⑤55℃ 0:30(30分)
  • ⑥60℃ 0:30(30分)
  • ⑦65℃ 0:30(30分)
  • ⑧70℃ 0:30(30分)

材料一覧

  • ・アトランティックサーモン(生食可)  各100g(厚さ3cm)
  • ※火通りにかたよりがないよう、全て背側からカットしたものを使用
  • ・塩  各0.9g(サーモンの重量の0.9%)

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