60℃ 昆布だし実験Vo.3 – ランク・種類比較

BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。
日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

以前に行った実験「40℃~ 昆布だし実験Vo.1 – 方法&温度比較」では、水出しや従来法(鍋で水に30分浸漬→沸騰直前で取り出す)よりも、60℃で低温調理した昆布だしが一番旨みが抽出されることが分かった。
また、「60℃ 昆布だし実験Vo.2 – 方法&時間比較」では、昆布を水の入ったフリーザーバッグに入れてすぐに低温調理を行い、60℃ 2時間のものがベストだという結果になった。(昆布を水に30分浸漬して低温調理したものは雑味も抽出された。)
これで昆布だしの取り方は「BONIQ 60℃ 2時間」で万事解決したと思われたのだが・・・。

ある日、廉価な昆布を使って60℃ 2時間でダシを取ったところ、旨みが出ているには出ているが、同時に雑味(苦味)も抽出されてしまった。かなり苦い!!
元々の上記2つの実験は日高昆布を使って行ったものであるが、昆布の種類やランクが変わると“60℃ 2時間”は当てはまらないのか?

そこで今回は3種類の昆布を使って

実験①:日高産だし昆布(¥560/100g)60℃ 1時間
実験②:日高産だし昆布(¥560/100g)60℃ 2時間
実験③:日高昆布(¥750/100g)60℃ 1時間 ※上記の実験2つと同じ昆布。
実験④:日高昆布(¥750/100g)60℃ 2時間 ※上記の実験2つと同じ昆布。
実験⑤:利尻昆布(¥1,500/100g)60℃ 1時間
実験⑥:利尻昆布(¥1,500/100g)60℃ 2時間

それぞれ低温調理を行い、旨みと雑味(苦味)の抽出度合いを比較してみる。
昆布の種類によっては「2時間」低温調理をすると、雑味が抽出されるのかもしれないと考え、比較のために「1時間」でも行ってみることとした。

BONIQ設定

①③⑤ 60℃ 1時間
②④⑥ 60℃ 2時間

材料


<実験①②>
・日高産だし昆布(¥560/100g)  各10g
・水  500ml(東京の水道水を浄水器に通したものを使用)

<実験③④>
・日高昆布(¥750/100g)  各10g
・水  500ml(東京の水道水を浄水器に通したものを使用)

<実験⑤⑥>
・利尻昆布(¥1,500/100g)  各10g
・水  500ml(東京の水道水を浄水器に通したものを使用)

《手順》

比較実験

それぞれの昆布を約5㎝に揃える。(だし昆布は元々カットされており、日高昆布と利尻昆布の長さを揃えた。)
フリーザーバッグに水とそれぞれの昆布を入れ、すぐに低温調理を行う。

実験①:だし昆布 60℃ 1時間
実験②:だし昆布 60℃ 2時間
実験③:日高昆布 60℃ 1時間
実験④:日高昆布 60℃ 2時間
実験⑤:利尻昆布 60℃ 1時間
実験⑥:利尻昆布 60℃ 2時間

調理終了後はすぐに昆布を取り出し、テイスティングを行う。

比較実験結果

その結果は・・・

香りを比べると、①②のだし昆布(日高産)③④日高昆布は“磯の香り”が強い。それに対し、⑤⑥の利尻昆布は上品な香りである。

テイスティングでは、
“だし昆布(¥560/100g)”
「①60℃ 1時間」は旨みが薄いが雑味(苦味)が感じられる。「②60℃ 2時間」は旨みが強く出ているが、その分雑味も強くかなり苦い。1時間では物足りないが、2時間では苦すぎる。長く出した分、旨みと同時に雑味も抽出されてしまい、これではもろ刃の剣である。このだし昆布の場合、「60℃ 1時間30分」くらいが妥当かもしれない。汁ものでは雑味をダイレクトに感じてしまうので、味の濃い煮物などに適しているのではないだろうか。

“日高昆布(¥750/100g)”
「③60℃ 1時間」は主張してくる旨みがあるが、やや物足りない。雑味は少し感じられる。「④60℃ 2時間」はさらに強い旨みがしっかりあり、雑味は③よりも感じられる。③④とも雑味は単体ではそこまで気にならない程度であるが、⑤⑥の利尻昆布と比較するとどうしても感じられる。雑味を隠してしっかりした旨みを生かせる料理が良いのではないだろうか。

“利尻昆布(¥1,500/100g)”
「③60℃ 1時間」は上品な旨みがあるが、やや物足りない。雑味はほとんど感じられない。「⑥60℃ 2時間」は上品で柔らかい旨みがしっかり感じられる。雑味はほとんどなく、とてもクリアな味わい。だしそのものを味わうのに最適である。

つまり、廉価な昆布では時間が長くなるほど雑味が抽出されるのに対し、上級の昆布になれば「2時間」で旨みが十分に引き出される上に、雑味も少ないことが分かった。

実験①:だし昆布 60℃ 1時間 磯の香。旨み弱い、雑味ある。
実験②:だし昆布 60℃ 2時間 磯の香。旨み・雑味ともに強い。
実験③:日高昆布 60℃ 1時間 磯の香強い。旨み物足りない、⑤⑥と比較すればやや雑味。
実験④:日高昆布 60℃ 2時間 磯の香強い。鋭い旨み、③よりやや雑味。
実験⑤:利尻昆布 60℃ 1時間 香り上品。旨み物足りない、雑味ほとんどなくクリア。
実験⑥:利尻昆布 60℃ 2時間 香り上品。柔らかくまろやかな旨み、雑味ほとんどなくクリア。

さらに、それぞれスプーン半分程に対してしょうゆ1滴を垂らしてテイスティングしたところ、特に⑥は口の中で旨みの広がり幅がすさまじく、余韻が長く感じられた。驚くほどに美味しく、シンプルなのに贅沢な味わいであった。

つまり、
“だし昆布” →「(予想で)BONIQ 60℃ 1時間半」 味の濃い煮物などに
“日高昆布” →「BONIQ 60℃ 2時間」 素材を生かした煮物などに
“利尻昆布” →「BONIQ 60℃ 2時間」 出汁そのものを味わう吸い物に

が最適と言え、用途に応じて使い分けられることが分かった。

《作った感想》
以前、廉価な昆布を使って「60℃ 2時間」でダシを取ったところ、旨みはしっかりしているけれど同時にかなり苦くてびっくりしたのです。汁ものにしようと考えていたのですが、これでは苦すぎる!
そこで今回の実験に至りました。
そして利尻昆布で「60℃ 2時間」にしょうゆを垂らしたものの美味しさは、大げさではなく衝撃でした。奥ゆかしく上品な旨みがしょうゆと合わさることで、口の中で何倍にも膨らんでいく広がっていく感じです。
このシンプルで贅沢な味わいを生かした料理を絶対作りたい、と考えています。

質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照下さいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

 

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小野寺 桂子

小野寺 桂子

大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。

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