77℃ “下茹でなし”で豚の角煮 比較実験

BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。

日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

脂がとろとろで身が柔らかく、お箸がスッとはいるような角煮を作るには、“下茹で”がとても大切だと考えている。
2時間ほどかかる“下茹で”で余分な脂やアクを落とす。そこで柔らかくなったバラ肉に味を含ませると、脂と身のバランスがちょうど良くて臭みのない、とろとろで味が染みた極上の豚の角煮が出来上がるという具合である。

しかし下茹での間、ゆで汁が減れば継ぎ足し、再びふつふつの火加減になるまで鍋の前で待ち構え(沸騰させすぎないように)、時々豚肉に竹串を刺してまだかまだかと火の通り具合を確認したりするのは地味に手間がかかる。

この、鍋でコトコト2時間かかる下茹での行程を省いて、BONIQで美味しい角煮が出来ないか?

しかしである。低温調理はフリーザーバッグの中で行うので、アク取りや脂を取り除くことができない。

そこで考えた。
アクが少ない肉であればアクを取らなくても問題ないのではないか?
脂は調理が終わってから取れば良いのではないか?

アクとは、加熱することで肉から出るタンパク質や脂質や血液などが凝固したのもであるが、肉質によっては少ないものがある。アクは体に悪いものではないらしいので、最悪取り除かなくても大丈夫かもしれないが、臭みが出たり美味しくなくなっては本末転倒である。

例えば以前フランスのレストランで働いていた時に“豚足のテリーヌ”を出していたが、豚足の茹でこぼし(一度茹でて沸騰したら湯を捨てて肉を洗う作業)の際、大量の緑のアクがもわもわと鍋の表面に上がってきていた。(この豚足のテリーヌはすごく美味しいものだったので、アクが出るから質が良くないというわけではないはず。)
しかし日本で一般に販売されている豚足を調理すると、とてもアクが少ないことが多い。

このように産地や種類などによってアクの少ない肉ならば、アク取りをする必要がないかもしれない。

そこで次の3つを比較してみる。
豚ばらそれぞれ・・・

①青森県産 下茹で(2時間)→ 調味料と共にBONIQ(77℃ 30分)
②青森県産 下茹でなし → 調味料と共に BONIQ (77℃ 8時間30分) ※のちに時間延長
③アメリカ産 下茹でなし → 調味料と共に BONIQ (77℃ 8時間30分)  ※のちに時間延長

①は「極上!改訂版 豚ばらの角煮」で脂と身のバランス、とろとろ具合、味は間違いないものだと自負している。
②③の温度・時間設定は以前の「豚ばらの低温調理 温度比較実験」で、程よく脂が溶け落ち、脂と身のバランスが良い状態で仕上がった温度・時間設定に従った。
そして②の青森県産の豚ばら(¥238/g)は「四川料理の定番 雲白肉(ウンパイロウ)」で使用し、臭みが少なく美味しい肉質であることを確認している。
③アメリカ産の豚ばら(¥98/g)はややクセのある匂いがあるものが多いが(筆者個人見解)、それでも角煮の甘辛い味付けをすれば気にならなくなるのか?
果たして下茹で(アク取り・脂落とし)なしでも美味しく仕上げられるのか。

BONIQ設定

①77℃ 30min
②77℃ 8hr 30min(のちに11hrまで延長)
③77℃ 8hr 30min(のちに12hr 30minまで延長)

材料


・豚ばら 塊(ブロック)  各200g
・しょうがスライス
・白ねぎの青い部分

<調味料>※豚ばら200gに対して
・酒  大さじ2.5
・みりん  大さじ1
・しょうゆ  大さじ1.5
・砂糖  大さじ0.5
※調味料は小鍋でとろとろになるまで煮詰めておく。

《手順》

①青森県産 下茹で(2時間)→ 調味料と共にBONIQ(77℃ 30分)

4cm幅にカットした豚ばらを、フライパンで全面をこんがり焼く。
鍋に豚ばら、ひたひたの水、しょうが、白ねぎの青い部分を入れて火にかけ、沸騰したらフツフツ沸くくらいの弱火にし(絶対に沸騰させすぎない)アクを取る。
竹串がすっと通るくらい(約2時間)になれば火を消し、茹で汁の中で冷ましておく。
豚ばらを取り出し、煮詰めた調味料と共にフリーザーバッグに入れて密封する。
BONIQ(77℃ 30分)で低温調理する。
終了タイマーが鳴ったらバッグを取り出しておき、あら熱を取って味を煮含ませる。

②青森県産 下茹でなし → 調味料と共に BONIQ (77℃ 8時間30分)

4cm幅にカットした豚ばらを、フライパンで全面こんがり焼く。
豚ばらを煮詰めた調味料、しょうが、白ねぎの青い部分と共にフリーザーバッグに入れて密封する。
BONIQ(77℃ 8時間30分)で低温調理する。
※まだ竹串がスッと通らなかったのでさらに時間を追加し、柔らかくなるまでトータルで11時間行った。

終了タイマーが鳴ったら豚ばらを煮汁ごとボールに移し、氷水に当てて冷やす。
肉と煮汁の表面をぴったり覆うようにラップをし、完全に冷えるまで冷蔵庫に入れる。
取り出してラップを外せば、冷え固まった脂が貼り付いてくるので取り除く。ラップで取り除けなかった脂はスプーンなどで取り除く。

③アメリカ産 下茹でなし → 調味料と共に BONIQ (77℃ 8時間30分)

行程は全て手順②と同じ。
※まだ竹串がスッと通らなかったのでさらに時間を追加し、トータルで12時間30分行った。

比較実験結果

実食の際は77℃の湯せんに10分程浸けて温め、違いを比較した。


実際食べてみると・・・

①はやはり脂が多すぎず少なすぎず、身とのバランスがちょうど良い。とろとろの脂と柔らかな身に味がじゅわっと染みた“極上の”豚の角煮である。上の外観画像では①が一番淡い色をしているが、決して味が薄いのではなく肉の素材の旨みが生きて“上品”。全てのバランスが素晴らしい。

②③では、BONIQにかけて肉が柔らかくなったのが②青森産で11時間、③アメリカ産で12時間半であるので、③は元々硬い肉質であったのであろう。
そしてBONIQの時間が長くなればなるほど、肉が調味料に浸かる時間が長くなるので、それだけ味がこってりする。また③アメリカ産は②青森産に比べて脂身が多い。
つまり③は脂身が多く、味がややこってりしている。どちらも脂はとろとろであるが、やや身(肉)が引き締まっている。
おそらく煮詰めた調味料と共に長時間低温調理をしているので、肉の表面近くの水分が外に出るのだろうか。(きゅうりに塩をかけると水分が出てくる、浸透圧の原理と同じ?)

下茹でをしていないのでアク取りをしていないが、臭みはほとんど気にならない。③のアメリカ産のものは①と同時比較している上にこちらから臭みを探しに行っているので、ほんの少し感じないわけでもないが、おそらくこれ単品で食べればほとんどわからないレベルである。
逆に言えば、長時間調理をして味がしっかり付いたので、臭みが気にならなくなったと言えるのかもしれない。

しかしこれは①と比較した場合であって、②③も充分美味しく、角煮として成功していると言える。

つまり例えるなら・・・
①“料亭の”上品な極上角煮
②“おうちの”美味しい角煮
③“ガッツリ系”美味しい角煮

である。

《作った感想》
“下茹で”が重要な工程であることは分かっていましたが、いかに低温調理を使って手間を省き、クオリティを上げるかを考え今回の実験を行いました。
今回②③は始めから肉と調味料を一緒にBONIQしましたが、「調味料なしでBONIQ→仕上げに調味料を含ませる」ではどうなるのか?また違う結果になるかもしれません。
もっと美味しいものがより簡単にできるように、一つ一つ可能性を探ってみたいと思っています。

質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^

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【注意】食中毒に関しては、下記のサイトをご一読下さい。

特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75度1分以上】の加熱をしてください。

→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

 

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小野寺 桂子

小野寺 桂子

大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させて頂きます。

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