・BONIQ設定
・材料
・一食あたりの栄養素
・比較実験
・比較実験結果
・作った感想
・BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
本レシピは「生食」となりますので、保存ができません。必ず「低温調理のルール 〜6つのポイント〜」をお守りいただき、すぐにお召し上がりください。
(生食=「低温調理 加熱時間基準表(魚)」を満たしていない、低温で加熱調理したもの。)
BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。
日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。サーモンの火入れは何度が良いのか?
例えばサバであれば味噌煮にしてもサラダフィッシュにしても、だいたい65℃~70℃で低温調理を行うことが多い。(参照:「65℃ 基本の低温調理 さばの味噌煮:味しみ」「65℃ 鉄分摂取◎サラダフィッシュ スモークさば」)
ところがサーモンとなると40℃のレシピもあれば50℃や55℃もある。
一体何度でどのような状態になるのか?
目安となる加熱チャートがあれば、今後理想の状態に仕上げやすくなる。サーモンの全面に振り塩をして10分置いたのち、BONIQで
実験1. 38℃
実験2. 40℃
実験3. 45℃
実験4. 50℃
実験5. 55℃
実験6. 60℃
実験7. 65℃
実験8. 70℃それぞれの温度で30分、低温調理を行った。
魚を加熱した場合のタンパク質の凝固温度はおよそ40~50℃と言われているが、もっと低い温度(38℃)からタンパク質の凝固が始まるという説もある。そこで最低温度を38℃とし、加熱したサーモンの状態がどのように変化していくのかを見る。
サーモンは生食可のアトランティックサーモンを使用する。時間については、今回は各100g・厚さ3cmの背側の身を使い、芯温計を刺しながら調理を行ったが、全ての温度帯にて25分経過時点で設定温度の-0.2~-0.5℃、30分で-0.1~-0.4℃に到達したことを確認している。
BONIQ設定
実験1. 38℃ 0:30(30分)
実験2. 40℃ 0:30(30分)
実験3. 45℃ 0:30(30分)
実験4. 50℃ 0:30(30分)
実験5. 55℃ 0:30(30分)
実験6. 60℃ 0:30(30分)
実験7. 65℃ 0:30(30分)
実験8. 70℃ 0:30(30分)材料
・アトランティックサーモン(生食可) 各100g(厚さ3cm)
※火通りにかたよりがないよう、全て背側からカットしたものを使用
・塩 各0.9g(サーモンの重量の0.9%)<ほか、調理器具など>
・キッチンペーパー
・氷当レシピの栄養素
栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量 低糖質レベル ★★★(一食:糖質5g以下) カロリー 237 kcal - 糖質 0.1 g - タンパク質 20.1 g 体重 x 1.2g ~ 1.5 g 脂質 16.1 g - 食物繊維 0 g 20 g 以上 カリウム 360 mg 3500 mg 以上 カルシウム 8 mg 650 mg 以上 マグネシウム 28 mg 350 mg 以上 鉄分 0.3 mg 7.5 mg 以上 亜鉛 0.4 mg 10 mg 以上
《手順》
比較実験
サーモンの全面に振り塩をし、10分おく。
出てきた水気をペーパーで押さえる。(臭みが抜けると共に塩味が付く)
耐熱袋にサーモンを入れ、空気を抜いて密封する。
BONIQの設定時間終了タイマーが鳴ったら袋を取り出し、氷水で急冷する。(余熱で火が入るのを防ぐため)
<BONIQセット時>
※肉、魚(生食用を除く)は種類と厚みに応じて加熱設定を変更する。参照:「低温調理 加熱時間基準表」
※食材全体がきちんと湯せんに浸かるよう、十分な水量を用意する。
※高温・長時間調理時は蒸発による水位減少を防ぐため、最大水量を用意する。
<BONIQ投入時>
※袋内に気泡が残らないよう湯せんに入れながらしっかり空気を抜き、密封する。(参考:動画「低温調理用バッグの密封方法」、記事「ベストなバッグ密封の仕方 比較実験」)
※食材全体が湯せんに浸かるようにする。浮いてくる場合は耐熱性の瓶や重しを乗せて完全に沈める。
※高温・長時間調理時は湯せんにカバーをする。(鍋:ラップ、コンテナ:フタ)
・BONIQ 低温調理用耐熱袋「BONI BAG」はこちら
・BONIQ 低温調理コンテナ&コンテナアクセサリー(ラック、トレー、フタ、ジャケット)はこちら
・BONIQ 深型ホーロー鍋はこちら
比較実験結果
それぞれ、以下のような結果となった。
上記画像からわかるように「実験1. 38℃~実験4. 50℃」と「実験5. 55℃~実験8. 70℃」で、前者はオレンジがかった色であるのに対し、後者はピンクがかって“火が入った”要素が強い。
実験1. 38℃ 生ではないが生寄りの食感 →新食感の刺身
実験2. 40℃ 生の要素残る とろりと崩れやすい
実験3. 45℃ なんとか生の要素残る ほろりと崩れやすい
実験4. 50℃ ギリギリ火が入っているか →ミ・キュイ(フランス語で「半分火が通った、半生」という意味)
実験5. 55℃ ここから火が入った感 しっとりやわらかい
実験6. 60℃ きちんと火が入っている 十分やわらかい
実験7. 65℃ きちんと火が入っている まだやわらかい
実験8. 70℃ まだやわらかいが、ややパサつきも これ以上の温度は低温調理の意味がないか
「実験1. 38℃」と「実験2. 40℃」を比べると、たった2℃の違いにもかかわらず状態が全く違っている。実験1は包丁でカットしても崩れにくいが、実験2は繊維がほろほろとほぐれて崩れそうになる。実験1は新しい食感の“刺身”として提供できるが、実験2の食感はもはや刺身ではない。
また実験1は完全な“生”よりも歯切れが良いのでとても食べやすく、口の中で旨みをダイレクトに感じられる。
「実験3. 45℃」と「実験4. 50℃」までは、まだ生の要素が残っており、身がやわらかくとろけるような食感が残る。
「実験5. 55℃」から歯ごたえが増し、“火が入った”と感じるようになる。
以上、実験1~5までは低温調理にしか出すのが難しい食感と言える。
「実験6. 60℃」と「実験7. 65℃」も火がきちんと入っているが、十分やわらかい。
「実験8. 70℃」でも焼き魚の食感としてはやわらかい方であるがややパサつきが出てきたので、低温調理のメリットがあるのはこの辺までであろう。
本レシピは「生食」となりますので、保存ができません。必ず「低温調理のルール ~6つのポイント~」をお守りいただき、すぐにお召し上がりください。
(生食=「低温調理 加熱時間基準表(魚)」を満たしていない、低温で加熱調理したもの。)
《作った感想》
まず驚いたのが「実験1. 38℃」と「実験2. 40℃」の違いです。たった2℃の差ですが、食感が全く違う仕上がりになりました。実験3~8は5℃差ずつですがそれよりも実験1、2の差の方が、より大きく感じたくらいです。
そして「実験1. 38℃」は新しい食感の刺身として、何か面白い料理ができそうでワクワクします。
今回の比較実験を一つの目安として、理想の状態を見つけてみてください。
BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
サーモンにはDHA・EPAと呼ばれる不飽和脂肪酸が多く含まれています。
魚介類の中でも脂が乗っている魚や、その部位に多く含まれているのがこのDHA・EPA。
動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防等にも役立つといわれており、最近ではサプリメントでも気軽に摂取できるようになってきています。
DHA・EPAをより効率的に吸収するためには、タンパク質との摂取が効果的です。つまり、高タンパクである魚に含まれているDHA・EPAは吸収率が良いということです。
肉や大豆では摂取できないこの不飽和脂肪酸、ぜひ日ごろからサーモンをはじめとした魚類も食事に積極的に取り入れるようにしてください。
<サーモンの低温調理 比較実験シリーズ>
50℃ ブライニングは有効?比較実験 サーモン編
38℃~ サーモンの火入れ温度比較実験
36℃ 生 v.s. 低温調理サーモン 比較実験
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防
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- 低温調理のルール 〜6つのポイント〜 - 2020年6月3日
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