BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。
日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。“飲むヨーグルト”は低温調理でできるのか?
できるとすれば間違いなく時間がかかるはずであるが、それに見合うメリットがあるものなのか?
量産できてコストパフォーマンスが良いか、もしくは究極に美味しい自分好みのものができるのか?以下の3つの方法で“飲むヨーグルト”を作るベストな方法を探る。
実験①:固形ヨーグルト+牛乳+砂糖 → 撹拌
実験②:牛乳+固形ヨーグルト+砂糖 → 発酵(BONIQ 43℃で固まるまで)→ 固形ヨーグルトができる → 撹拌
実験③:牛乳+固形ヨーグルト+砂糖 → 発酵(BONIQ 30℃で固まるまで)“飲むヨーグルト”の作り方を調べてみると、家庭では固形ヨーグルトに牛乳を混ぜる簡易的なものが主流であるようだ→①混ぜるだけのタイプ。
市販の飲むヨーグルトは固形のヨーグルトを撹拌させて製造されているようである(出典:株式会社明治 明治ブルガリアヨーグルト倶楽部)。→③プレーンの固形のヨーグルトを作り、撹拌するタイプ。
ヨーグルトメーカーを使う場合は、牛乳にスターター(種菌)として飲むヨーグルトを入れ30℃で発酵させというものがある(出典:アイリスオーヤマ)→②低温で発酵させるタイプ。※今回はスターターによる味の違いをなくすため、①②③の全てで明治ブルガリアヨーグルト(固形)を使う。
※砂糖は全て2.7%加える。それぞれの仕上がりの違いを比べてみる。
BONIQ設定
②43℃ (設定時間は固まるまで)
③30℃ (設定時間は固まるまで)材料
<実験①>
・牛乳 275ml
・明治ブルガリアヨーグルト 275g
・砂糖 15g<実験②>
・牛乳 500ml
・明治ブルガリアヨーグルト 50g
・砂糖 15g<実験③>
・牛乳 500ml
・明治ブルガリアヨーグルト 50g
・砂糖 15g当レシピの栄養素
栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量 低糖質レベル ★★☆(一食:糖質20g以下) カロリー ① = 137.5 kcal
②③ = 141 kcal- 糖質 ① = 13.9 g
②③ = 13.8 g- タンパク質 ① = 6.3 g
②③ = 6.1 g体重 x 1.2g ~ 1.5g 脂質 ① = 6.2 g
②③ = 6.8 g- 食物繊維 ① = 0 g
②③ = 0 g20 g 以上 カリウム ① = 293 g
②③ = 278 g3500 mg 以上 カルシウム ① = 211 g
②③ = 203 g650 mg 以上 マグネシウム ① = 20 g
②③ = 19 g350 mg 以上 鉄分 ① = 0 g
②③ = 0 g7.5 mg 以上 亜鉛 ① = 1 g
②③ = 1 g10 mg 以上 ※上記はそれぞれレシピ1/3分の栄養価を計算しています。
《手順》
比較実験①
明治ブルガリアヨーグルトに牛乳と砂糖を加え、ブレンダーで混ぜる。
比較実験②
熱湯を沸かし、使用する耐熱性フタつき容器とゴムベラを熱湯消毒する。
消毒した器具はキッチンペーパーで完全に水滴を拭き、あら熱を取る。
容器にゴムベラで明治ブルガリアヨーグルトを入れ、少量(ヨーグルトと同量くらい)の牛乳を加えて完全に混ぜる。
混ざり切ったら残りの牛乳を全て加え、よく混ぜる。さらに砂糖を加えてよく混ぜる。
フタをして容器を湯せんに入れ、BONIQ 43℃で固まるまで低温調理をする。
(水位が低すぎるとBONIQの最低水位に満たず止まってしまうため、ココットなどの耐熱容器の下に置いて高さを調節する。)
BONIQの終了タイマーが鳴って固形のヨーグルトが出来たら、湯せんから容器を取り出し冷蔵庫で完全に冷やす。(3時間~)
冷えたらブレンダーで撹拌する。
比較実験③
実験②と同じ手順でヨーグルト・牛乳・砂糖をよく混ぜ、BONIQ 30℃ で固まるまで低温調理をする。
BONIQの終了タイマーが鳴ったら湯せんから容器を取り出し、冷蔵庫で完全に冷やす。(3時間~)
※実験②と違うのは、BONIQ温度と時間、出来上がりに撹拌しない点。
さてその結果は・・・
比較実験結果
まず、実験①「固形ヨーグルト+牛乳+砂糖 →撹拌」は、まさにヨーグルトを牛乳で割った想像通りの味。今回は一般的なレシピ通りヨーグルトと同量の牛乳を混ぜたが、かなりさらっとしている。ヨーグルトの酸味が牛乳で緩和されるので酸味が弱くまろやかである。混ぜるだけなので本当に手軽で早く出来る。家庭で楽しむはじゅうぶん美味しい。他にフルーツなどを入れてミックスジュースにすれば良さそうである。
実験②「牛乳+固形ヨーグルト+砂糖 →発酵(BONIQ 43℃ 3時間)→ 撹拌」は3時間でできた固形ヨーグルトは、スターターとして使った明治ブルガリアヨーグルトのようにしっかりと固まった。それをブレンダーで撹拌すると、一瞬でさらっとした液体になった。実験①のものよりは濃度がある。かなり酸味がしっかりしている。筆者自身、”固形ヨーグルト”はしっかり酸味がある方が好みであり普段は無糖のものを食べるが、”飲むヨーグルト”とした場合、この酸味であればもっと砂糖を加えた方が“飲むヨーグルト”の味としてはバランスが良いのではと感じた。“固形ヨーグルト”と”飲むヨーグルト”で、味の感じ方が違うというのは新しい発見である。
実験③「牛乳+固形ヨーグルト+砂糖 →発酵(BONIQ 30℃ 5時間30分)」でできたヨーグルトは表面はプルプルするがきちんと固まっている。ところがスプーンですくってみるとトロトロと流れる。ドロドロと言って良いかもしれないくらい、一番濃度がある。酸味は実験②より穏やかで、口当たりがとてもクリーミー。これは完成度が高い!市販品で言えば、“ヤスダヨーグルト”のドリンクタイプにとても近い。やや濃度が高すぎると感じたので、ブレンダーで少し撹拌してみたらちょうど良い硬さになった。濃度は撹拌することで調整できるようである。
まとめると、
手軽さ ①>③≒② ※所要時間は②の方が短いが、工程は③が少ない。
酸味 ②>③>①
クリーミーさ ③>②>①
完成度 ③>②>①
①は家庭で楽しむにはじゅうぶん美味しく、②は筆者のように普段からBONIQで固形ヨーグルトを作って常備しているなら、飲むヨーグルトにアレンジするのが簡単である。③は時間はかかるがBONIQに入れてほっておくだけである。家庭のクオリティを超えた完成度の高い飲むヨーグルトが出来た。
それぞれの良さがあるのでどれとは決めにくいが、味のクオリティだけで選ぶなら③がベストであり、これだけ時間をかけてもBONIQで作る価値があるのではないだろうか。
《作った感想》
今回の実験③の30℃で発酵させた飲むヨーグルトのクオリティの高さには本当に驚きでした。口当たりクリーミーで酸味が程よく、間違いなく美味しいです。
今回はスターターとして明治ブルガリアヨーグルトを使いましたが、他のヨーグルトやR1などの飲むヨーグルトを使うと仕上がりも変わるかもしれません。また、使う牛乳でも違ってくると思います。
使うスターターと牛乳の組み合わせをさらに研究し、究極の飲むヨーグルトを探りたいと思います。
BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
ヨーグルトはもともと牛乳からできています。
牛乳に乳酸菌を入れ、発酵させることで酸が発生して牛乳のたんぱく質が固まりヨーグルトになるのです。
よって、牛乳の栄養素もヨーグルトの栄養素もこれと言って違いはありません。
ただ、乳酸菌は牛乳を体の中で消化吸収しやすくたんぱく質を変性させてくれます。
また、乳酸菌は善玉の腸内細菌のえさになり、よりよい腸内環境をととのえるために必要です。
牛乳でカルシウムやたんぱく質を摂取するよりもヨーグルトで補給したほうが少しお得と言えますね。
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防
最新記事 by 小野寺 桂子 (全て見る)
- 低温調理のルール 〜6つのポイント〜 - 2020年6月3日
コメント