鶏肉レシピ

62℃ 鶏もも カットタイミング比較実験(後塩)

5
(2)


BONIQ設定
材料
一食あたりの栄養素
比較実験
比較実験結果
作った感想
BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

62℃ 鶏もも カットタイミング比較実験(前塩)」の続編。

鶏もも肉を低温調理する際、カットせずに1枚のまま低温調理をした場合と、カットしてから低温調理をした場合で、その仕上がりに違いはあるのか?

前編「62℃ 鶏もも低温調理 カットタイミング比較実験(前塩)」で、以下の2つの方法からカットのタイミングによる仕上がりの違いを探った。

①カットしない1枚のままの鶏もも+塩をBONIQ
②食べやすい大きさにカットした鶏もも+塩をBONIQ

その結果、「ジューシーさを取る(優先する)なら①」、「味の染み込み具合を取るなら②」、という結果になった。
(「62℃ 鶏もも カットタイミング比較実験(前塩)」参照)

この実験では「鶏もも+塩を低温調理し、その違いを比較」したが、今回は「鶏もものみを低温調理し、低温調理後バッグに塩を加える」という〝後塩〟の方法で、「カットせずに1枚のまま低温調理をした場合」と「カットしてから低温調理をした場合」でその仕上がりに違いはあるのかを探る。
(「58℃ ローストビーフ低温調理 塩投入比較」参照:「低温調理後、塩をバッグに入れて含ませる」が一番歯切れがよく、ジューシーであるという結果になった。※)

以下の2パターンでそれぞれの仕上がりの違いを比べてみる。

①カットしない1枚のままの鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる
②食べやすい大きさにカットした鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる

前編の結果も合わせた総括として、鶏もも肉を低温調理する際、以下の4つの方法のうちどれがベストな仕上がりになるのか?それぞれの違いから、向いている料理は見い出せるのか?まで検証してみる。

A. カットしない1枚のままの鶏もも+塩をBONIQ
B. 食べやすい大きさにカットした鶏もも+塩をBONIQ
C. カットしない1枚のままの鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる
D. 食べやすい大きさにカットした鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる

※「58℃ ローストビーフ低温調理 塩投入比較」では「低温調理後バッグに塩を入れ、1時間置いて含ませる」こととしているが、今回の実験では便宜上「低温調理後バッグに塩・こしょうを入れ、5分間置いて含ませた後実食」とする。

BONIQ設定

62℃
1:45(1時間45分)
※参照:「低温調理 加熱時間基準表(鶏肉)

材料


<実験①、②>
・鶏もも肉  2枚(280g/枚。厚み3cm)
・塩  2.8g(肉の重量の1%)

当レシピの栄養素

栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量
低糖質レベル (一食:糖質5g 以下)
カロリー 231.6 kcal -
糖質 0 g -
タンパク質 16.6 g 体重 x 1.2g ~ 1.5 g
脂質 17.2 g -
食物繊維 0 g 20 g 以上
カリウム 290 mg 3500 mg 以上
カルシウム 5 mg 650 mg 以上
マグネシウム 21 mg 350 mg 以上
鉄分 0.6 mg 7.5 mg 以上
亜鉛 1.6 mg 10 mg 以上
塩分 1.2 g -

※上記はレシピの100gあたりの栄養価を計算しています。

《手順》


比較実験①カットしない1枚のままの鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる

筋と余分な脂を切り落とした鶏ももをフリーザーバッグに入れ、BONIQ(62℃ 1時間45分)で低温調理をする。
BONIQの終了タイマーが鳴ったらバッグを開けて塩を入れ、肉に含ませる(5分間)。
その後比較試食を行う。

比較実験②食べやすい大きさにカットした鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる

筋と余分な脂を切り落とし、適度な大きさにカットした鶏ももをフリーザーバッグに入れ、BONIQ(62℃ 1時間45分)で低温調理をする。
BONIQの終了タイマーが鳴ったらバッグを開けて塩を入れ、肉に含ませる(5分間)。
その後比較試食を行う。




比較実験結果

まずドリップの量を見てみると「①カットしない1枚のままの鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる」と「②食べやすい大きさにカットした鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる」で大差はなく、実際に肉汁の量を測ってみると10g程度の差となった。

前編の「62℃ 鶏もも カットタイミング比較実験(前塩)」では、「①カットしない1枚のままの鶏もも+塩をBONIQ」の肉汁量が40gに対して、「②食べやすい大きさにカットした鶏もも+塩をBONIQ」は160gと、②の方が①の4倍もドリップ量が多く、その差は歴然だった。

このことからも、「〝後塩〟であれば、カットした後に低温調理をしてもジューシーさを保つことができる」ことが分かる。

次に実食してみると、①(1枚のままの鶏もも)よりも②(カットした鶏もも)の方が味の染み込み具合は断然良く、しっかり肉に味がついている。
塩の味も肉の味もダイレクトに感じることができ、ぷりっとした歯応えもしっかり楽しめる。
(実食の際は①の1枚のままの鶏ももも適度な大きさにカットし、実食~比較を行なった。)

どちらも〝低温調理ならではのやわらかジューシーな仕上がり〟でその美味しさは間違いないが、どちらの方がベストかというと「②食べやすい大きさにカットした鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる」の方だと言える。

前編の結果も合わせた総括として、以下4つの方法での違いを検証してみる。

A. カットしない1枚のままの鶏もも+塩をBONIQ
B. 食べやすい大きさにカットした鶏もも+塩をBONIQ
C. カットしない1枚のままの鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる
D. 食べやすい大きさにカットした鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる

一番おいしいと感じたのは「D. 食べやすい大きさにカットした鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる」である。
カットしてから低温調理をすることで適度に水分が抜け、肉が塩に当たる表面積が増えることで、旨味と塩味がよりしっかり感じられるようになったことがその理由と考えられる。

「A.」「C.」のように低温調理後肉をカットすると、ある程度の量肉汁が流れ出てしまうため、低温調理後すぐに食べる場合はカットした上で低温調理をした方が、よりジューシーな鶏肉を楽しめるだろう。

一番おいしいと感じた「D. 食べやすい大きさにカットした鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる」という方法は和えものにしたり、たれに絡める料理に良さそうだ。
よだれ鶏やみぞれ和え、エビマヨの鶏肉バージョンなんかに使うと面白そうだと思う。

「C. カットしない1枚のままの鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる」方法は鶏ステーキ向きと言える。ただし、上記のように低温調理後すぐにカットすると肉汁があふれ出してくるため、あら熱を取ってから表面に焼き色をつけて加熱、もしくは一度急冷し肉汁を閉じ込めた後に再加熱、などが良いだろう。

「B. 食べやすい大きさにカットした鶏もも+塩をBONIQ」の方法は鶏肉に味を染み込ませて、さらに鶏肉から出た肉汁もスープやソースとして使用したい場合などに向いている。トマト煮やパスタソース、鶏出汁スープなどにすると良さそうだ。

「A. カットしない1枚のままの鶏もも+塩をBONIQ」する方法は、例えばカオマンガイなど調理後の肉汁をご飯に炊き込むような料理に活用するとマッチするだろう。

《作った感想》
前編に合わせて、4つの方法で鶏ももの低温調理におけるカットタイミングの比較実験を行いました。
どれももちろんおいしく、また、細かな方法の違いではありますが、いざ比べてみると〝明らか〟な結果が見つけられました。
ぜひこの結果を元に、作る料理に合わせて鶏もものカットのタイミングと塩をするタイミングを選択して、お好みの仕上がりを見つけてみてくださいね。

BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

鶏もも肉(皮付き)は100gあたり204kcal、100g中にタンパク質16.6g、脂質14.2gを含みます。
ヘルシーな印象が強い輸入牛のもも肉の赤身で100gは253kcal、タンパク質を28g、脂質を14.1g含むため、皮付きの鶏もも肉でも牛の赤身より低脂質でカロリーが低いと言えます。鶏の皮が脂質を多く含むので、脂質が気になる方は皮を取り除けば、より高タンパク質・低脂質な食材となります。

鶏もも肉にはビタミンKが多く含まれます。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」*ではビタミンKは成人で1日150μgの摂取が推奨されていますが、鶏もも肉100gで53μgと1日の1/3以上を満たすことができます。

ビタミンKは「止血ビタミン」とも呼ばれており、傷ができた時のかさぶたの生成に関わる栄養素です。ビタミンKが不足すると、ちょっとのけがでも血が止まらなくなってしまったり、打ち身で起きる内出血が止まらず大事につながることもあります。
他にもカルシウムの骨への定着を高める働きや、骨の質を改善する働きもあるため、骨粗しょう症の予防にも役立つ栄養素です。

本来ビタミンKは人体の腸内細菌が生成してくれる分もあり不足しにくい栄養素ではあるのですが、加齢によりその働きが弱まります。止血も、骨の強度を高めることも高齢になるほど重要な働きになるため、ビタミンKは若いうちから習慣的に補うようにしましょう。

*厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

<鶏もも肉の低温調理 比較実験シリーズ>
60℃~ 鶏もも肉の火入れ 温度時間比較実験
65℃ 鶏ももステーキ 皮の焼き方比較実験
62℃ 鶏もも カットタイミング比較実験(前塩)
62℃ 鶏もも カットタイミング比較実験(後塩)

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

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井澤 綾華

井澤 綾華

北海道の田舎で2児を育てながらフリーランスで働く管理栄養士。食で地域を盛り上げることが大好き。健康的で簡単に作れるレシピの開発や、栄養価計算を行う。BONIQで作る料理は高齢の家族からも好評。
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  • <実験①、②>
  • ・鶏もも肉  2枚(280g/枚。厚み3cm)
  • ・塩  2.8g(肉の重量の1%)

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