牛肉レシピ

58℃ 脱水は有効?低温調理比較実験 牛もも編

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(2)


BONIQ設定
材料
一食あたりの栄養素
比較実験
比較実験結果
作る際のポイント
作った感想
BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

加熱による、肉の脱水。
従来の調理法(焼く、煮るなどの高温調理)と比較して低温調理は、タンパク質を破壊しない低温度帯(55〜67℃付近)で加熱をするので「脱水(食材からの水分流出)」が少ない調理法と言える。
しかし、やはり低温調理後の耐熱袋には肉から出たドリップが溜まる。また、この汁にも旨みが詰まっている。

そこで、あらかじめ食材の水分をある程度抜いてから低温調理をすることによって、一層旨みを閉じ込めることはできるのか?脱水の有無、また脱水時間によって、その仕上がりに違いはあるのか?

食品用脱水シートを使い、以下の3パターンでそれぞれの仕上がりの違いを比べてみる。

実験1. BONIQ58℃→袋に塩を入れて肉に含ませる→焼き色をつける
実験2. 脱水12時間→BONIQ58℃→袋に塩を入れて肉に含ませる→焼き色をつける
実験3. 脱水24時間→BONIQ58℃→袋に塩を入れて肉に含ませる→焼き色をつける

塩を入れるタイミングはすべて低温調理後に袋に塩を入れて肉に含ませることとする。(「58℃ ローストビーフ低温調理 塩投入比較」参照:「低温調理後、塩を袋に入れて肉に含ませる」が一番歯切れがよく、ジューシーであるという結果になった。)

なお、上記実験では「低温調理後、袋に塩を入れ、1時間置いて含ませる」こととしているが、今回の実験では便宜上「低温調理後、袋に塩とこしょうを入れ、5分間置いた後に比較試食」とする。

BONIQ設定

58℃
4:40(4時間40分)

※参照:「低温調理 加熱時間基準表(牛肉)

材料



<BONIQする材料:実験1〜3>
・牛もも肉(厚さ5cm)  各400g

<仕上げ:実験1〜3>
・ピュアオリーブオイル(牛もも肉を焼く用)  大さじ1
・塩  4g
・こしょう  適量

<実験2>
・脱水シート(「ピチット」を使用)  1枚

<実験3>
・脱水シート(「ピチット」を使用)  2枚

当レシピの栄養素

栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量
低糖質レベル (一食:糖質5g 以下)
カロリー 280.6 kcal -
糖質 0.4 g -
タンパク質 28 g 体重 x 1.2g ~ 1.5 g
脂質 17.1 g -
食物繊維 0 g 20 g 以上
カリウム 320 mg 3500 mg 以上
カルシウム 4 mg 650 mg 以上
マグネシウム 23 mg 350 mg 以上
鉄分 3.3 mg 7.5 mg 以上
亜鉛 6.6 mg 10 mg 以上
塩分 0.1 g -

※上記はレシピの100gあたりの栄養価を計算しています。

《手順》


比較実験

実験1. BONIQ58℃→袋に塩を入れて肉に含ませる→焼き色をつける
実験2. 脱水12時間→BONIQ58℃→袋に塩を入れて肉に含ませる→焼き色をつける
実験3. 脱水24時間→BONIQ58℃→袋に塩を入れて肉に含ませる→焼き色をつける

※脱水は牛ももを食品用脱水シート(「ピチット」を使用)で包み、冷蔵庫に保管して行う。
※実験3は脱水12時間経過後、シートを新しいものに交換し、さらに12時間脱水する(脱水シートの給水量には限度があるため)。
※脱水後(低温調理前)の重量はそれぞれ、実験2は「366g(-34g)」実験3.は「350g(-50g)」であった。

BONIQは58℃ 4時間40分行う。
BONIQの設定時間終了タイマーが鳴ったらそれぞれ袋を開けて塩、こしょうを入れ、塩を肉に含ませる。
フライパン(中強火)で牛ももの表面に焼き色をつけてスライスし、比較試食を行う。




比較実験結果

まず袋に残ったドリップの量を比べる。
上記画像ではどれも多く見えるが、脱水を行なっていない実験1に比べて、脱水を行なった実験2(脱水12時間)と実験3(脱水24時間)のドリップ量が明らかに少ない。

実験2、3は脱水後に牛ももの重量が減少(実験2. -34g、実験3. -50g)していたことからも、その分低温調理時に出るドリップの量も減ったと考えられる。

下記画像左から、実験1. 脱水なし、実験2. 脱水12時間、実験3. 脱水24時間

次に比較試食してみると、実験1に比べて実験2は肉の風味や旨みをよりダイレクトに強く感じる。
さらに、実験3は実験2よりも歯切れがよく、しっかりした肉質になっている。

実験2と3に比べて実験1が少し水っぽく感じられるほどである。

ということで、
総合的な美味しさ 実験2 ≒ 実験3 >実験1

間違えてはいけないのは実験2、3と共に実験1の「脱水なし」の3つの方法とも、従来のフライパンやオーブンで焼く調理法に比べて格段にやわらかくジューシーであり、ハイレベルの次元で比べてみたらの話である。
それにしても低温調理前の脱水効果は大きい。

これだけ差が出るのであれば、ぜひ牛ももは「脱水後低温調理」をおすすめしたい。


《作る際のポイント》
脱水シートの給水量には限度があります。使用するシートにもよりますが、長時間脱水を行う際は必要に応じて新しいシートに交換してください。

《作った感想》
牛もも肉は脱水した方がおいしくなる!
実験前に予測をしていた通り(むしろ、それ以上!)の違いが見られました。
今回は塊肉だったため肉の中心まで水分を抜くことは難しかったと思いますが、例えばステーキ肉などであれば、その違いがより鮮明に分かるのではないかと感じます。
今後は部位や厚さを変えて検証してみようと思います。

BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

外国産のもも肉(脂身なし)の栄養価は100gあたり253kcal、タンパク質は28g、脂質は14.1gです。
また、牛肉にはミネラルが豊富に含まれます。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」*から、鉄は100gあたり3.3mgと1日に摂取が推奨されている量の約1/3、亜鉛は6.6mgと1日の推奨量の半分以上をカバーすることができます。

鉄は正常な赤血球を作るために必要不可欠なミネラルです。不足すると体が疲れやすくなったり、血液中のヘモグロビン濃度が下がることにより全身が酸欠状態になり、貧血でめまいや立ち眩みを起こすこともあります。
鉄は日本人の通常の食生活でも不足しがちなミネラルであることから、ダイエット中の人や食が細い人にはより不足しやすい栄養素です。赤血球は衝撃によって壊れやすいため、ランニングの際に足の裏にかかる衝撃で破壊されることもあります。マラソン選手や長距離を走るトレーニングを行っている人の中にはしっかり鉄を摂取していても貧血気味になる方もいます。その場合は鉄の補給量を見直したり、足の裏に負担のかからないトレーニング環境を作ると良いでしょう。

亜鉛は細胞の新陳代謝に関わるミネラルであり、傷の治癒や髪の毛の再生・抜け毛の予防、味覚の維持などに関わります。
亜鉛は鉄よりも不足することが少ないのですが、食品添加物によって吸収率が下がることもあります。加工食品を多く食べる人は味覚の維持のためにも亜鉛の摂取を心がけましょう。知らず知らずのうちに味覚が衰え、塩分の多い食品を選ぶようになっているかもしれません。

*厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

<低温調理 脱水は有効?比較実験シリーズ>
58℃ 脱水は有効?比較実験 牛タンステーキ編

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

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井澤 綾華

井澤 綾華

北海道の田舎で2児を育てながらフリーランスで働く管理栄養士。食で地域を盛り上げることが大好き。健康的で簡単に作れるレシピの開発や、栄養価計算を行う。BONIQで作る料理は高齢の家族からも好評。
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材料一覧

  • <BONIQする材料:実験1〜3>
  • ・牛もも肉(厚さ5cm)  各400g
  • <仕上げ:実験1〜3>
  • ・ピュアオリーブオイル(牛もも肉を焼く用)  大さじ1
  • ・塩  4g
  • ・こしょう  適量
  • <実験2>
  • ・脱水シート(「ピチット」を使用)  1枚
  • <実験3>
  • ・脱水シート(「ピチット」を使用)  2枚

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