・BONIQ設定
・材料
・一食あたりの栄養素
・比較実験
・比較実験結果
・作った感想
・BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
「62℃ 鶏もも カットタイミング比較実験(前塩)」の続編。
鶏もも肉を低温調理する際、カットせずに1枚のまま低温調理をした場合と、カットしてから低温調理をした場合で、その仕上がりに違いはあるのか?
前編「62℃ 鶏もも低温調理 カットタイミング比較実験(前塩)」で、以下の2つの方法からカットのタイミングによる仕上がりの違いを探った。
実験1. カットしない1枚のまま鶏もも
実験2. 一口大にカットした鶏ももその結果、ジューシーさを優先するなら「実験1」、味の染み込み具合を優先し、煮汁を利用するなら「実験2」、という結果になった。
(参照:「60℃ 鶏胸肉 低温調理 塩タイミング比較実験」)先の実験では「鶏もも+塩」を耐熱袋に入れて低温調理し(「前塩」とは肉に塩をして低温調理すること。「後塩」は低温調理後の肉に塩を含ませること。肉に塩をするタイミングが違う。)、その違いを比較したが、今回は「鶏もものみ」を低温調理し、「低温調理後、袋に塩を加えて肉に塩を含ませる」“後塩”の方法で実験を行う。(参照:「60℃ 鶏胸肉 低温調理 塩タイミング比較実験」)
「カットせずに1枚のまま低温調理をした場合」と「カットしてから低温調理をした場合」でその仕上がりに違いはあるのかを探る。
以下の2パターンでそれぞれの仕上がりの違いを比べてみる。
実験1. カットしない1枚のままの鶏もも
実験2. 一口大にカットした鶏もものみ肉をそれぞれ62℃ 1時間45分(加熱基準表の「厚さ3cm鶏肉」に準じて)BONIQで低温調理する。その後、袋に塩を加え、肉に塩を含ませる(後塩)。
先の実験結果も合わせ、鶏ももを低温調理する際、以下の4つの方法のうちどれがベストな仕上がりになるのか?
また、それぞれの違いから、どのような料理に向いているか?を検証する。実験A. 「カットしない1枚のままの鶏もも+塩」を低温調理
実験B. 「一口大にカットした鶏もも+塩」を低温調理
実験C. 「カットしない1枚のままの鶏もものみ」を低温調理、後から塩を含ませる
実験D. 「一口大にカットした鶏もものみ」を低温調理、後から塩を含ませるBONIQ設定
62℃
1:45(1時間45分)※参照:「低温調理 加熱時間基準表(鶏肉)」
材料
<BONIQする材料>
・鶏もも肉 2枚(280g/枚。厚み3cm)当レシピの栄養素
栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量 低糖質レベル ★★★(一食:糖質5g 以下) カロリー 231.6 kcal - 糖質 0 g - タンパク質 16.6 g 体重 x 1.2g ~ 1.5 g 脂質 17.2 g - 食物繊維 0 g 20 g 以上 カリウム 290 mg 3500 mg 以上 カルシウム 5 mg 650 mg 以上 マグネシウム 21 mg 350 mg 以上 鉄分 0.6 mg 7.5 mg 以上 亜鉛 1.6 mg 10 mg 以上 塩分 1.2 g - ※上記はレシピの100gあたりの栄養価を計算しています。
《手順》
比較実験
実験1. カットしない1枚のまま鶏もも肉
実験2. 一口大にカットした鶏もも肉
それぞれ耐熱袋に入れる。
(鶏ももは筋と余分な脂を切り落として使用する。)
BONIQで62℃ 1:45(1時間45分)低温調理をする。
BONIQ設定時間終了タイマーが鳴ったら袋を開けて塩を入れ、肉に含ませる(5分間)。
その後比較試食を行う。
<BONIQセット時>
※肉、魚(生食用を除く)は種類と厚みに応じて加熱設定を変更する。参照:「低温調理 加熱時間基準表」
※食材全体がきちんと湯せんに浸かるよう、十分な水量を用意する。
※高温・長時間調理時は蒸発による水位減少を防ぐため、最大水量を用意する。
<BONIQ投入時>
※袋内に気泡が残らないよう湯せんに入れながらしっかり空気を抜き、密封する。(参考:動画「低温調理用バッグの密封方法」、記事「ベストなバッグ密封の仕方 比較実験」)
※食材全体が湯せんに浸かるようにする。浮いてくる場合は、
・BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナラック、トレーを使用して完全に沈める。
・鍋:耐熱性の瓶や重しを乗せて完全に沈める。
※高温・長時間調理時は、湯せんにカバーをして水位減少を防ぐ。
・BONIQ 低温調理コンテナ:コンテナルーフを使用する。
・鍋:ラップを使用する。
・BONIQ 低温調理用耐熱袋「BONI BAG」(湯せん、冷凍、冷蔵可能)はこちら
・BONIQ 低温調理コンテナ&コンテナアクセサリー(ラック、トレー、フタ、ジャケット)はこちら
・BONIQ 深型ホーロー鍋はこちら
比較実験結果
耐熱袋に出たドリップの量を比べてみると、
実験1「カットしない1枚のままの鶏もものみ(後塩)」:24g
実験2.「 一口大にカットした鶏もも(後塩)」:38g
と、「実験2」は「実験1」の約1.5倍ドリップ量が多い。
先の実験、「62℃ 鶏もも カットタイミング比較実験(前塩)」ではドリップは
実験A. 「カットしない1枚のままの鶏もも + 塩」を低温調理:24g
実験B. 「一口大にカットした鶏もも+塩」を低温調理:36g
であったので、ほぼ同じ。微妙に数字が違う部分は、おそらく個体差の範囲だろう。
つまり、「前塩」「後塩」どちらでもドリップ量は変わらず、「1枚のまま低温調理」するか、「カットしてから低温調理」するか、でドリップの流出量が変わる。
実際に食べてみると(実験1も一口大にカットして試食行った)、「実験1」よりも「実験2」の方が、塩味の染み込みが良く、しっかり肉に味が付いている。
どちらも“低温調理ならではのやわらかジューシーな仕上がり”でその美味しさは間違いない。「実験2」の方がドリップの流出量は多いが、塩味が乗っている分美味しく感じ、プリッとした歯応えも良かった。
このことから、単に「ドリップの流出が少ければ良い」ということではなく、ドリップが流出しても「塩味がきちんと乗り、旨味とジューシーさを感じられ歯応えが良いこと」が美味しさを左右するのではないかと感じた。
先の実験(A・B)と本実験(C・D)の4種を比べると、
実験A. カットしない1枚のままの鶏もも + 塩をBONIQ(前塩)
実験B. 食べやすい大きさにカットした鶏もも + 塩をBONIQ(前塩)
実験C. カットしない1枚のままの鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる(後塩)
実験D. 食べやすい大きさにカットした鶏もものみをBONIQ、後から塩を含ませる(後塩)
では個人的には「実験D」が一番塩味が乗っていてジューシーで美味しく感じたが、塩だけを入れて行なった結果であり、実験Dだけがベストということはない。「カットするかしないか」、「調味料は先に入か後か」は料理によって向き不向きがある。
「1枚のままBONIQ」の実験A・Cは前塩でも後塩でもドリップの流出が少ないので、肉自体のしっとりジューシーさを楽しむ料理に向いている。例えば、「実験A」は調味料と共に低温調理する「鶏の照り焼き」、「実験C」は低温調理した鶏に塩を含ませた後、皮目をパリッと、中はやわらかジューシーに焼く「鶏もものステーキ」である。
「カットしてからBONIQ」の実験B・Dは、前塩でも後塩でもドリップの流出は多いが、味の乗りが早い。
「実験B」はカットした状態で調味料と共に低温調理する、「トマト煮」や「パスタソース」、「鶏出汁スープ」などにすると良いと思う。
「実験D」は、低温調理後に調味料やたれと絡める料理に向いていると思う。例えば「焼き鳥」や「親子丼」である。
《作った感想》
前編に合わせて、4つの方法で鶏ももの低温調理におけるカットタイミングの比較実験を行いました。
どれももちろん美味しく、また、細かな方法の違いではありますが、いざ比べてみると“明らか”な結果が見つけられました。
ぜひこの結果を元に、作る料理に合わせて鶏もものカットのタイミングと塩をするタイミングを選択して、お好みの仕上がりを見つけてみてくださいね。
BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
鶏もも肉(皮付き)は100gあたり204kcal、100g中にタンパク質16.6g、脂質14.2gを含みます。
ヘルシーな印象が強い輸入牛のもも肉の赤身で100gは253kcal、タンパク質を28g、脂質を14.1g含むため、皮付きの鶏もも肉でも牛の赤身より低脂質でカロリーが低いと言えます。鶏の皮は脂質を多く含むので、脂質が気になる方は皮を取り除けば、より高タンパク質・低脂質な食材となります。
鶏もも肉にはビタミンKが多く含まれます。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」*ではビタミンKは成人で1日150μgの摂取が推奨されていますが、鶏もも肉100gで53μgと1日の1/3以上を満たすことができます。
ビタミンKは「止血ビタミン」とも呼ばれており、傷ができた時のかさぶたの生成に関わる栄養素です。ビタミンKが不足すると、ちょっとのけがでも血が止まらなくなってしまったり、打ち身で起きる内出血が止まらず大事につながることもあります。
他にもカルシウムの骨への定着を高める働きや、骨の質を改善する働きもあるため、骨粗しょう症の予防にも役立つ栄養素です。
本来ビタミンKは人体の腸内細菌が生成してくれる分もあり不足しにくい栄養素ではあるのですが、加齢によりその働きが弱まります。止血も、骨の強度を高めることも高齢になるほど重要な働きになるため、ビタミンKは若いうちから習慣的に補うようにしましょう。
*厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
<鶏もも肉の低温調理 比較実験シリーズ>
60℃~ 鶏もも肉の火入れ 温度時間比較実験
65℃ 鶏ももステーキ 皮の焼き方比較実験
62℃ 鶏もも カットタイミング比較実験(前塩)
62℃ 鶏もも カットタイミング比較実験(後塩)
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防
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