・BONIQ設定
・材料
・一食あたりの栄養素
・比較実験
・比較実験結果
・作った感想
・BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。
日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。栄養価が高いと言われるブロッコリーであるが、茹でると栄養の多くが失われると言われている。例えばビタミンCに関しては、茹でた場合は生の54%も失われるとも言われる。
そこでBONIQの出番であるが、低温調理では耐熱袋に入れて調理するため、水溶性の栄養はほとんど流出しないはずである。
例えば「50℃〜 コブサラダ:低温調理4種で満足度大!」でブロッコリーを「85℃ 15分」で低温調理したところ、驚くほど甘みが引き出された。茹でたものよりも明らかに旨みが凝縮しており美味しく仕上がった。
しかし・・・
茹でた時のようなきれいな緑色にはならず、やや茹で過ぎた時のように変色してしまった。適度な歯ごたえを残した良い状態にも関わらずである。
いくら美味しいからと言っても、料理にとって見た目はとても重要である。やはり鮮やかな緑色の方が食欲をそそるし、見た目にも美しい。
そこで、”旨みが凝縮した美味しい味”と”美しい色”を両立したブロッコリーができないものか?ブロッコリーなど青野菜に含まれる緑色の正体は“クロロフィル”である。クロロフィルは40℃を超える加熱では、時間が長くなればなるほど褐色に変色するとされる。(他には酸も変色の原因になる。)
つまり加熱時間が短ければ短いほど、ブロッコリーを鮮やかな緑色に保つことができるというわけである。果たして温度を上げてより短時間で低温調理すれば、“凝縮した旨み”と“鮮やかな緑色”を両立させることができるのか?
「85℃ 15分」のブロッコリーは甘みと旨みが凝縮していたが、これが85℃という“温度”によるものなのか、15分という“加熱時間”によるものなのか、袋内で調理するため“水にさらさない”、という低温調理の特質によるものなのかわからない。温度を上げてもこの美味しさは保たれるのか?
それぞれ時間は設定せず温度のみを設定し、ブロッコリーに火が通ったところで引き上げることにする。
実験1. 85℃ 15分 を基準として、
実験2. 87℃
実験3. 89℃
実験4. 91℃
実験5. 93℃
実験6. 95℃クロロフィルの変色を抑える役割で0.6%の塩と共に低温調理を行う。
BONIQ設定
実験1. 85℃ 0:15(15分)
実験2. 87℃
実験3. 89℃
実験4. 91℃
実験5. 93℃
実験6. 95℃材料
・ブロッコリー(国産)
・塩 ブロッコリー重量の0.6%当レシピの栄養素
栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量 低糖質レベル ★★★(一食:糖質5g以下) カロリー 33 kcal - 糖質 0.8 g - タンパク質 4.3 g 体重 x 1.2g ~ 1.5 g 脂質 0.5 g - 食物繊維 4.4 g 20 g 以上 カリウム 360 mg 3500 mg 以上 カルシウム 38 mg 650 mg 以上 マグネシウム 26 mg 350 mg 以上 鉄分 1 mg 7.5 mg 以上 亜鉛 0.7 mg 10 mg 以上
《手順》
比較実験
ブロッコリーを一口大の小房に切り分け、洗って水気を切る。
それぞれ耐熱袋にブロッコリー、塩を入れる。それぞれの温度で低温調理する。(袋を湯せんに沈めながら空気を抜いて密封する。)
BONIQ設定時間終了のタイマーが鳴ったら、ブロッコリーに竹串を刺して硬さを確かめ、調理が終われば袋ごと氷水で急冷する。
その後それぞれを比較する。
※袋内に気泡が残らないよう湯せんに入れながらしっかり空気を抜き、密封する。(参考:動画「低温調理用バッグの密封方法」、記事「ベストなバッグ密封の仕方 比較実験」)
※食材全体が湯せんに浸かるようにする。浮いてくる場合は耐熱性の瓶や重しを乗せて完全に沈める。
※高温・長時間調理時は湯せんにカバーをする。(鍋:ラップ、コンテナ:フタ)
比較実験結果
それぞれ、以下のような結果となった。
竹串を刺すとやや引っかかりながらも突き刺さる硬さ、すなわち食べると歯ごたえを残している程度(サラダなどにちょうど良い硬さに)になったところでそれぞれ引き上げると、
それぞれ所要時間は・・・
実験1. 85℃ 15分
実験2. 87℃ 14分
実験3. 89℃ 13分
実験4. 91℃ 11分
実験5. 93℃ 9分
実験6. 95℃ 8分
であった。
色については・・・
「実験1. 85℃ 15分」と「実験2. 87℃ 14分」 は褐色に変色しつつある。そのまま料理として盛るには気が引ける。
「実験3. 89℃ 13分」はギリギリ緑色を保っている。
「実験4. 91℃ 11分」、「実験5. 93℃ 9分」、「実験6. 95℃ 8分」はさっと塩ゆでした時ほどは鮮やかな緑色にはならないが、ちゃんと緑色である。
味については・・・
「実験6. 95℃ 8分」よりも実験1の低温の方が、より旨みが感じられる気がする。しかしそれはかなりわずかな差であり、何回も食べ比べ確認したところでようやく気付いた。
実験1~4では味の違いがほとんどわからない。
まとめると、
緑色のきれいさ:6>5>4>3>2>1
味の美味しさ:1、2、3、4>5>6
味の方の差はわずかなので、この場合は視覚的なものの方が美味しさの感じ方に影響するのではないかと考えた。
従って、きちんと緑色が保たれて味も間違いない「実験4. 91℃ 11分」が、サラダなど色がそのままわかる料理にはベストであり、ギリギリ緑色を保ちつつ味は間違いない「実験.3 89℃ 13分」が白和えやマヨネーズ和えなど、他の食材や調理料の色が入る料理には向いていると感じた。
「実験1. 85℃ 15分」「実験2. 87℃ 14分」は煮込みや酸が入るピクルスなど、変色していても気にならない料理であれば問題ない。
また、何か他の食材と同時調理する場合はその食材の温度に合わせ、「実験5. 93℃ 9分」「実験6. 95℃ 8分」も可能であると思う。
《作った感想》
以前「50℃〜 コブサラダ:低温調理4種で満足度大!」でブロッコリーを「85℃ 15分」で調理した時、せっかく色とりどりのきれいなサラダの中にブロッコリーの色だけが残念でした。
味は間違いなく美味しいのですが、やはり料理は見た目も重要。
そこで今回の実験を試みました。
私は「実験3. 89℃ 13分」か「実験4. 91℃ 11分」あたりがベストだと考えていますが、どのような料理に使うかによって、また他に同時調理する食材がある場合など、臨機応変に温度と時間も設定すれば良いということがわかりました。
栄養素や旨みをお湯に流してしまうのはもったいない。
お肉や魚だけでなく、野菜もBONIQでの調理がおすすめです!
BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
ブロッコリーは野菜の中でもかなり栄養価が高い優れた食材です。
100g摂取することで1日分のビタミンCを摂れ、そのほかにも抗酸化作用が強いビタミンE、むくみ改善に役立つカリウム、正常な血液を作る助けをする葉酸などが豊富に含まれています。
また、ブロッコリーは「ファイトケミカル」という強い抗酸化作用がある栄養成分を200種類ほど持っている野菜といわれています。
ビタミンやミネラルの中には水溶性の成分が多く、熱いお湯で茹でるとせっかくの栄養素が半減してしまうことも。直接水の中で茹でない低温調理は、栄養素や美味しさを逃さず摂取できる良い方法でもあります。
<野菜の低温調理 比較実験シリーズ>
80℃ 1番美味しいのは?さつまいも 比較実験
60℃ トマトの低温調理 温度比較実験
85℃ じゃがいもの低温調理 温度比較実験
80℃ とうもろこしの低温調理 温度比較実験
80℃ とうもろこしの格上げ 焼き方比較実験
95℃ ほうれん草のアク抜きは可能?比較実験
85℃~ ブロッコリー低温調理 温度比較実験
80℃ とうもろこし麹ペースト 比較実験 Vo.1
60℃ とうもろこし麹ペースト 比較実験 Vo.2
70℃ 1番おいしい枝豆の低温調理 比較実験
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防
最新記事 by 小野寺 桂子 (全て見る)
- 低温調理のルール 〜6つのポイント〜 - 2020年6月3日
初心者、悩み中です。
①真空作業
ブロッコリーのような凹凸が多いものをジップロックに入れて真空にする作業が、うまくできません。。どう頑張っても空気が抜けきれず、困っています。コツがあれば教えてください。
ちなみに89度になる直前に「水圧で真空に」と思って作業開始したところ、手が熱くて泣きそうでした。そもそもこの真空にする作業は低温または水の状態でやってしまってよいのでしたでしょうか。
②なぜ浮くのか。
ブロッコリーを89度に入れたら、浮いてしまいました。この原因はなんでしょうか。
かなり空気を抜いたつもりになっていても、まだ空気が入っているからなのか、
そもそも食材の特性なのか、
はたまた鍋(パスタ鍋を使用。6リットルくらいの容量)の大きさの問題なのか、、、、
原因がよく分からず悩んでいます。
アドバイスをいただけると嬉しいです。
いまのところ、ブロッコリーを茹でる時間は苦痛でしかないです。。
お問い合わせありがとうございます!
野菜やきのこなどはどうしても軽く浮いてきてしまいます。
1)始めに、手でバッグごと食材をくるくる押して空気を抜いておく。
2)湯せんが温まってからだとやりづらいため、BONIQをセットしたお水の状態でフリーザーバッグを真空状態に仕上げておく。熱かったり時間が経過して焦ってしまうこともありません。
3)設定温度に達してフリーザーバッグを湯せんに投入する際、トングなどでグッと湯せんの中に押し込んで(空気が残っていれば)空気を抜くこと、そして、湯せん投入時に上から耐熱性のある瓶などで上から押さえる。
という方法を試してみてくださいませ。
なお、以下もご参考ください^^
ベストなバッグ密封の仕方 比較実験
https://boniq.jp/recipe/?post_type=recipe&p=19616
コメント失礼します。
ブロッコリーがどうしても浮いてしまい、結局13分間ずっと押してた、笑。
どうすればいいですか?
お問い合わせありがとうございます!
野菜などの軽いものはどうしても浮いてきてしまいますが、下記記事を参考に、上から耐熱性のある瓶などで押さえるようにしてみてくださいませ。
また、大きいサイズのフリーザーバッグの方がやりやすいかと思いますので、合わせてご参考くださいませ。
https://boniq.jp/recipe/?p=19616