・BONIQ設定
・材料
・一食あたりの栄養素
・比較実験
・比較実験結果
・作った感想
・BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。
日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。通常、魚の内蔵は傷みが早いので加熱しても食べられないものが多いが、サンマやイワシは新鮮なものであれば内蔵(ワタ)も食べられる。なぜならばこれらには胃が無く体内にエサが残っていないために細菌が繁殖しにくいからであり、ワタまで美味しく食べることができるのである。
これまで低温調理でオイルサーディンを作ろうといろいろ調べてきたが、ほとんどの市販されているものや出回っているレシピでは頭とワタが取り除かれている。「サンマのコンフィ」は頭とワタが付いているものも少数あるが、イワシはほとんど見当たらない。なぜだろうか?苦くて臭くなるとか?というのは「頭ワタ付きさんま煮は臭くなる?比較実験」では、
サンマの「頭・ワタあり」vs.「頭・ワタ無し」
を“しょうゆ煮”で比較したものであるが、「95℃ 7時間」で頭や骨も食べられるようになり、「頭・ワタあり」は臭みもなく「頭・ワタなし」よりもさらに旨みが出て断然美味しいという結果になった。
上の実験は“しょうゆ煮”なので、もしかしたらオイルサーディンのように油の中で加熱する“コンフィ”とは結果が違ってくるのかもしれないが、それでも「頭・ワタあり」の方が美味しくなる可能性は大いにある。
それに、たくさんのイワシの頭とワタを取るには手間がかかる。
以上のような理由から頭とワタを取らずに、より簡単で美味しくオイルサーディンはできないか?そこで、「さんま」と「いわし」に振り塩をした後、オリーブオイルと共に
実験① サンマ “頭・ワタなし”
実験② サンマ “頭・ワタあり”
実験③ イワシ “頭・ワタなし”
実験④ イワシ “頭・ワタあり”
をBONIQ95℃ 7時間で行う。実験①②は「“しょうゆ煮”と同様に“コンフィ(油煮)”でも頭・ワタ付きサンマは臭くならず美味しくなるのか?」の答え合わせであり、
実験③④はイワシの場合はどうなるのか?この結果が簡単美味しいオイルサーディンへの指標となる。
BONIQ設定
材料
<実験①②>
・サンマ 各1尾(約160g)
・塩 適量(振り塩用)
・エクストラバージンオリーブオイル 各大さじ2
・塩 頭と内臓落とした後のサンマ重量の0.6%<実験③④>
・イワシ 各2尾(約100g)
※大きさによる。なるべく大きめのものを。
・塩 適量(振り塩用)
・エクストラバージンオリーブオイル 各大さじ2
・塩 頭と内臓落とした後のいわし重量の0.6%
※臭みがどう出るのかを調べるため、あえてニンニクやハーブなどは入れずに行う。当レシピの栄養素
栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量 低糖質レベル サンマ = ★★★(一食:糖質5g以下)、イワシ = ★★★(一食:糖質5g以下) カロリー サンマ = 410.1 kcal、イワシ = 261.1 kcal - 糖質 サンマ = 0.1 g、イワシ = 0.2 g - タンパク質 サンマ = 18.1 g、イワシ = 19.2 g 体重 x 1.2g ~ 1.5g 脂質 サンマ = 35.6 g、イワシ = 19.2 g - 食物繊維 サンマ = 0 g、イワシ = 0 g 20 g 以上 カリウム サンマ = 201 mg、イワシ = 271 mg 3500 mg 以上 カルシウム サンマ = 28 mg、イワシ = 74 mg 650 mg 以上 マグネシウム サンマ = 28 mg、イワシ = 30 mg 350 mg 以上 鉄分 サンマ = 1.4 mg、イワシ = 2.1 mg 7.5 mg 以上 亜鉛 サンマ = 0.8 mg、イワシ = 1.6 mg 10 mg 以上 塩分 サンマ = 1 mg、イワシ = 0.8 mg - ※上記はサンマ、イワシそれぞれ100gあたりの栄養価を計算しています。
《手順》
比較実験
サンマとイワシにそれぞれ振り塩をし、冷蔵庫で30分おく。
実験①③ → サンマ/イワシの頭を落とし、内臓を取る。血合いを流水でよく洗う。
実験②④ → そのまま流水で洗う。
ペーパーで水気を拭いて、それぞれフリーザーバッグに入れる。
BONIQ 95℃ 7時間で低温調理を行い、その後室温まで冷まし比較試食を行う。
比較実験結果
結果は・・・
まず「実験① サンマ “頭・ワタなし”」はクリアな旨味であるのに対し、「実験② サンマ “頭・ワタあり”」は濃厚な旨味が出ている。特に臭みなどは無い。しかし・・・ワタの部分がかなり苦い。他の部分もなんだか苦く感じる。苦さが旨味を覆い隠してしまっているのではないか。
例えば塩焼きのサンマであれば、苦味のあるワタも美味しくいただけるし、ワタありが良いか無しが良いかは好みの問題である。しかしこのオリーブオイルと塩でコンフィにしたサンマのワタはかなり苦く、味全体を支配しているように感じる。
「実験③ イワシ “頭・ワタなし”」はこちらもサンマ同様クリアな旨味であり、「実験④ イワシ “頭・ワタあり”」はより濃厚な旨味が出ていてコクがある。 臭みも出おらず、②のサンマほど苦くない。③より④の頭・ワタありの方が味的には良いのだが、かなり身が崩れやすい。③も崩れやすいが、④は頭がある分余計に扱いづらい。そっとヘラですくってフリーザーバッグからお皿に移そうとしたが、頭がぼろりと取れて皮が剥がれてしまう。これでは見た目がとても悪い。販売されているオイルサーディンは小さいイワシがきれいに整然と並んでいるが、頭やワタがついたままそのような美しい仕上がりにできるのか?
もう少し短い設定時間でBONIQすれば綺麗な状態で仕上がるのか、それで骨まで食べられるのか?
まとめると、
旨味:サンマ ②あり>①なし、イワシ ④あり>③なし
苦味:サンマ ②あり>①なし、イワシ ④あり>③なし
総合的な美味しさ:サンマ ①なし>②あり、イワシ ④あり>③なし
コンフィにした場合、サンマもイワシも「頭・ワタ付き」の方が間違いなく濃厚な旨味が出る。
しかしサンマの場合は苦くなりすぎるので、やはりワタは取り除いた方が良いと思う。
イワシの場合はそこまで苦くならなかったので「ワタ付き」を推したいが、結論づけるにはまだ早い。もっと短い設定時間で骨まで食べられ、見た目も綺麗に仕上げられるかが課題である。
《作った感想》
前回の「頭ワタ付きさんま煮は臭くなる?比較実験」ではしょうゆ煮にしたサンマは、「頭・ワタあり」は臭みもなく「頭・ワタなし」よりもさらに旨みが出て断然美味しくなりましたが、今回のサンマのコンフィはワタから苦味が出てしまうという結果になりました。なぜしょうゆ煮の場合は苦味が出なかったのか?酒やみりんを使っていることと関係があるのか?さらに調べが必要です。
またイワシの方は「頭・ワタ付き」が味は美味しいものの見た目がボロボロになってしまったので、見た目も綺麗に仕上げられるのか?それで骨まで食べられる美味しいコンフィができるのか?さらに研究をすすめたいと思います。
BONIQ栄養士による栄養アドバイス
サンマは100gあたり318kcal。たんぱく質を18.1g、脂質を25.6g含みます。
ビタミンDが豊富で100gあたり19μg含みます。ビタミンDは厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」において、成人1日に8.5μg摂取することを目安としていることから、サンマを50g食べるだけで1日に必要なビタミンDをカバーできることになります。
イワシは100gあたり169kcal、たんぱく質を19.2g、脂質を9.2g含みます。サンマよりも低脂質ですね。
イワシにもビタミンDが豊富で、100gあたりでなんと32μg含みます。
ビタミンDはカルシウム吸収率を高めたり、骨の成長を助ける栄養素です。
人体は日光に当たることによってビタミンDを皮膚で生成できるため日本人には不足しにくい栄養素ですが、高齢者や屋外に出ることが少ない人には意識して摂取してほしい栄養素です。
ビタミンDが不足すると、骨が軟らかくなってしまい姿勢が悪くなったり、骨が曲がったり折れたりしやすくなります。
高齢者の場合は骨粗鬆症のリスクにもなるため、日ごろからの栄養摂取による予防が大切です。
サンマもイワシも青魚です。青魚にはEPAやDHAが豊富に含まれています。
低温調理器で調理した後、オイルの中にもDHAやEPAが溶け出ています。ぜひこのオイルも無駄なく摂取してください。
<さんまの低温調理 比較実験シリーズ>
頭ワタ付きさんま煮は臭くなる?比較実験
95℃ 骨まで柔らかくなる?さんま 比較実験
<いわしの低温調理 比較実験シリーズ>
85℃ 骨まで柔らかくなる?いわし 比較実験
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防
最新記事 by 小野寺 桂子 (全て見る)
- 低温調理のルール 〜6つのポイント〜 - 2020年6月3日
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