・BONIQ設定
・材料
・一食あたりの栄養素
・比較実験
・比較実験結果
・作る際のポイント
・作った感想
・BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
鶏レバーの低温調理。
低温調理でなめらか濃厚、クリーミーに仕上がる鶏レバーは人気食材の1つ。これまで「60℃~ 鶏もも肉の火入れ 温度時間比較実験」や「57℃~ 砂肝の低温調理 火入れ温度比較実験」、「38℃~ サーモンの火入れ温度比較実験」、「45℃~ 生タコ(水タコ)の低温調理 比較実験」や「41℃~ ぶりの低温調理 火入れ温度比較実験」で「何℃で加熱するとどのような状態になるのか」を検証してきたように、鶏レバーも具体的に一体何度でどのような状態になるのか?を検証してみる。
鶏レバーの食感はとろけるなめらかな食感が好きな人もいれば、硬さがあり食べ応えがある食感が好きな人もいるだろう。
目安となる加熱チャートがあれば、今後理想の状態に仕上げやすくなる。また、さまざまなレシピやメニューに合わせて汎用できる。そこで以下の5パターンで検証を行い、仕上がりの違いを比較する。
①57℃ 2:25(2時間25分)
②60℃ 1:10(1時間10分)
③63℃ 0:45(45分)
④66℃ 0:40(40分)
⑤70℃ 0:40(40分)※鶏レバーの厚みが1.5cmであったことから、「低温調理 加熱時間基準表(鶏肉)」に従って加熱時間を決定。
BONIQ設定
①57℃ 2:25(2時間25分)
②60℃ 1:10(1時間10分)
③63℃ 0:45(45分)
④66℃ 0:40(40分)
⑤70℃ 0:40(40分)
※参照:「低温調理 加熱時間基準表(鶏肉)」
材料
<実験①~⑤>
・鶏レバー(厚み1.5cm) 各200g
・オリーブオイル 各大さじ1
・牛乳 適量(各鶏レバーがひたひたに浸かるくらいの量)
・黒こしょう 少々当レシピの栄養素
栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量 低糖質レベル ★★★(一食:糖質5g 以下) カロリー 72 kcal - 糖質 0.2 g - タンパク質 7.6 g 体重 x 1.2g ~ 1.5 g 脂質 4.2 g - 食物繊維 0 g 20 g 以上 カリウム 132 mg 3500 mg 以上 カルシウム 2 mg 650 mg 以上 マグネシウム 8 mg 350 mg 以上 鉄分 3.6 mg 7.5 mg 以上 亜鉛 1.3 mg 10 mg 以上 塩分 0.1 g - ※上記はレシピの40gあたりの栄養価を計算しています。
《手順》
比較実験
鶏レバーの血筋、血の塊、脂肪部分を取り除き、一口大にカットする。
ザルにあけて流水でよく洗い、ボウルに入れて牛乳に浸し、ラップをかけて冷蔵庫で1~2時間冷やしたら洗い流す。
フリーザーバッグに鶏レバー、オリーブオイル、黒こしょうを入れる。
それぞれの温度、時間でBONIQで低温調理をする。
BONIQ終了タイマーが鳴ったらバッグを取り出し、氷水で急冷する。(余熱で火が入るのを防ぐため)
食味や食感を比較する。
フリーザーバッグの密封方法:https://youtu.be/N-t1ox7mox0
比較実験結果
画像上段:左から①57℃、②60℃、③63℃
画像下段:左から④66℃、⑤70℃
①57℃ 2:25(2時間25分)
〝ふわふわ〟〝とろとろ〟としており、とろけるタイプのプリンのような食感。
生っぽさはなく、鉄っぽさもあまり感じなかった。
フォアグラのような風味があり口の中で溶ける。
まさに低温調理ならではの生のような火入れで、レバーの〝ふわっ〟ととろけるほどやわらかい食感を安全に食べることができる。
加熱後に氷水で冷却し、レバ刺し風にするのも良さそう。
②60℃ 1:10(1時間10分)
57℃よりもやわらかく溶けそうなほど形が崩れやすい。
加熱後すぐは濃厚チーズケーキのような食感のくちどけ。
しかし、加熱後に氷水で冷却して冷蔵庫で半日保存したものは、保存している間に溶けてしまった。
レバーは油脂分が多いため、オリーブオイルとの調理では溶けやすいためかと思われる。
オリーブオイルではなく、醤油などの調味料と一緒に加熱すれば溶けないかもしれない。
③63℃ 0:45(45分)
60℃より〝ねっとり〟としており、レバーの甘みを感じる。あん肝のような食感。
ペーストやムースにするにはまだ緩い感じ。
あん肝のような食感を活かして、氷水で冷却後、軍艦巻きにしてポン酢をつけて食べると良さそう。
④66℃ 0:40(40分)
かすかにレバーの〝もそっ〟とした食感がある。〝しっかり火が通っている〟と感じる安心感もある。
ペーストにするならば、66℃の硬さのほうが粘度あるペーストになる。
⑤70℃ 0:40(40分)
食感がしっかりしていて、少々鉄っぽい風味を感じる。
硬さがあり食べ応えがあるため、しっかり味を付けて煮るような調理法には良いだろう。
生姜煮やソース煮、レバーペーストにする場合は好みによって66℃~70℃が良さそう。
《作る際のポイント》
鶏レバーの厚みが1.5cmであったことから、「低温調理 加熱時間基準表(鶏肉)」に従って加熱時間を決定、検証を行いました。
鶏レバーの下処理については牛乳のほか塩を使う方法などがあり、お好みの下処理法で試してみると良いでしょう。
【追記】
鶏レバーの下処理の仕方で臭みや味わい、食感にどれだけの違いが出るのか?7つのパターンで比較実験を行いました。
「65℃ 鶏レバーの臭み抜き(下処理) 比較実験」をご参照ください。
《作った感想》
鶏レバーの低温調理。
レバ刺し風にする場合は57℃、生姜煮やソース煮、レバーペーストにする場合は66℃~70℃で加熱すると良いでしょう。
好みや作る料理によって火入れ加減を簡単にコントロールできるのも低温調理の大きなメリットですね。
あえて温度を変えて複数パターンを用意し、食べ比べしてみても面白いです。
BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
レバーと言えば鉄分が豊富な食材の代表格です。
鶏レバーには100g中9mgの鉄分が含まれており、1日に必要な鉄分の大半をカバーすることができます。(成人男性の推奨量は7~7.5mg、成人女性は月経ありで10.5~11mg・月経なしで6~7mg)*
ただし、鶏レバーには大量のビタミンAが含まれています。適量のビタミンAは体に有用で、粘膜の保護や免疫力の向上に欠かせない栄養素です。しかし、ビタミンAは過剰摂取が続くと頭痛や食欲不振、体に炎症が出る場合もあります。
妊娠中の方は鉄分補給源としてレバーを選ぶこともあると思いますが、ビタミンAの過剰症は胎児に奇形をもたらす場合もあるので注意が必要です。
1日に必要なビタミンAは成人男性で900μg前後、女性で700μg前後と言われているのに対し、鶏レバー100gには14,000μgとけた違いに多く含まれています。豚レバーには13000μgですが、牛レバーだと1100μgと少な目です。*
今回の実験で算出した栄養価は「鶏レバー40gあたり」の数値ですが、週に1、2度のこの程度の量の摂取であれば過剰症は心配ありません。しかし、レバーが好きで毎日食べたいという方は少量ずつを食べるか食べる頻度を少なくすることをおすすめします。
*厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
<低温調理 火入れ温度比較実験シリーズ>
60℃~ 鶏もも肉の火入れ 温度時間比較実験
57℃~ 砂肝の低温調理 火入れ温度比較実験
38℃~ サーモンの火入れ温度比較実験
45℃~ 生タコ(水タコ)の低温調理 比較実験
41℃~ ぶりの低温調理 火入れ温度比較実験
35℃~ ぶりの低温調理 火入れ温度比較実験
<鶏レバーの低温調理レシピ>
70℃ 皮膚や粘膜を丈夫に◎鶏レバー 赤ワイン煮
70℃ 目や皮膚の健康を保つ◎鶏レバーの甘辛煮
65℃ 免疫機能に◎鶏レバー オイスターソース煮
65℃ 鉄分チャージ◎滑らか濃厚 レバーペースト
63℃ 鶏レバー:フォアグラのような滑らかさ
<鶏レバーの低温調理 比較実験シリーズ>
57℃~ 鶏レバーの低温調理 火入れ温度比較実験
65℃ 鶏レバーの臭み抜き(下処理) 比較実験
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防
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