・BONIQ設定
・材料
・比較実験
・比較実験結果
・作った感想
BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。
筆者が子供の頃に生まれて初めて作った料理は「スクランブルエッグ」であるが、他にも「目玉焼き」や「卵焼き」、「ゆで卵」などは子供が挑戦できる料理ではないだろうか。
しかし大人になり料理人になった今言えることは、卵料理はシンプルであるがゆえ火入れが繊細で奥深い。ゆで卵ひとつとっても、いつも同じ状態で仕上げられるとは限らない。BONIQを使ってお湯の温度と時間をコントロールすれば、より安定して卵を理想の状態に仕上げられるはずである。
今回は野菜料理などによく使用する温度であり、野菜と卵を同時調理できることを想定して95℃に設定し、時間ごとに比較を行う。BONIQ 95℃で3分~14分の12パターンで比較実験を行う。
BONIQ設定
95℃
0:03~0:14(3分~14分)材料
・卵(重さ59~61gのもの) 各1個
《手順》
比較実験
ゆで卵をむきやすくするため、冷蔵庫から出したての卵の下部(尖っていない丸い方)にピンで穴を開ける。
95℃でそれぞれの時間(3分~14分)低温調理する。
BONIQの設定時間終了タイマーが鳴ったら取り出し、すぐに氷水に入れて冷やす。
その後比較試食を行う。
比較実験結果
「3分」、「4分」、「5分」は黄身がドロドロ過ぎて「ゆで卵」ではない。
「5~6分」辺りからギリギリ殻がむける。白身はやや固まってきているものの、黄身がドロドロなので流れ出てしまう。白身は「ゆで卵」、黄身は「生卵」という状態でアンバランス。
「7分」は殻はむきやすくなった。白身は柔らかいが固まっており、黄身の外側のみが固まり始めるがほぼ“生”である。黄身の味も“生”に近い。
「8分」は白身は固まり、黄身の真ん中は流れ出る。超半熟。この流れ出る部分は“生”である。
「9分」は白身はプルっと、黄身の真ん中はやや流れ出る半熟の状態。ねっとり美味しい。
「10分」は白身はプルっと、黄身の真ん中は流れ出ない。白身と黄身のバランスが◎しっとり美味しい。
「11分」は白身もだいぶ固くなり、黄身の透明感がなくなりややモソっとした食感。
「12分」、「13分」は白身、黄身ともに固くなり、黄身はモソモソする。固ゆで卵。
「14分」は白身、黄身ともに固くなり、黄身はパサつく。
まとめると、
95℃では「8分まで」は黄身が“生”であり、生卵特有の生臭みを感じる。
「7~8分」辺りは味付けをすれば生臭みを感じにくくなるので、味付け卵や煮卵に向いていると思う。
「12分」以上になるとパサつきが出てくる。
「9分」と「10分」は白身は固すぎず、黄身はパサつきなどもなくしっとりしていて生臭みもない。
食べ方や好みにもよるところが大きいが、筆者自身「ゆで卵」としては「9分」と「10分」が断トツで美味しいように思う。
《作った感想》
以前ブラッスリー(フランスのビストロよりもカジュアルな店)で働いていた頃の話ですが、空き時間に普段は料理をしないサービスの人でオムレツ競争をしました。誰が一番きれいな形に作れるかを競うのです。
そして出来上がったものは・・・形の綺麗さはそれぞれですが、なんと言ってもオムレツの味が全く違うことにびっくりしました。もちろん使ったのは材料も分量も全く同じ卵液です。でき上がりがゆる過ぎると生臭かったり、形をきれいにしようとするあまり時間をかけすぎると、外側が固まってモソモソした食感で旨味が半減したり・・・。
つまり、火入れだけで卵の食感だけでなく味も大きく変わってくるのです。
今回はオムレツではなく「ゆで卵」ですが、ゆで卵も火入れでかなり味が変わることがわかりました。60g前後の重さの卵を使用していますが、卵は大きさによって火入れがずいぶんと変わるので、この比較実験を目安として普段お使いの卵でお好みの仕上がりを探してみてくださいね。
<卵 比較実験シリーズ>
90℃ 半熟煮卵の低温調理 漬け時間比較実験
95℃ ゆで卵の低温調理 火入れ時間比較実験
65℃~ 温泉卵 低温調理後の硬さ比較実験
<ゆで卵の低温調理レシピ>
91℃ えびとブロッコリーのデリ風サラダ
95℃ やみつき!超半熟 韓国風味付け煮卵
65℃,91℃ 鶏ささみ・卵・ブロッコリーのサラダ
91℃ 低温調理 チョップドサラダボウル
95℃ 低温調理 離乳食 野菜と卵黄のマッシュ
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防
最新記事 by 小野寺 桂子 (全て見る)
- 低温調理のルール 〜6つのポイント〜 - 2020年6月3日
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