BONIQマニアにおくる、低温料理の疑問あれこれの検証。
日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しく柔らかくジューシーになる!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
自分で実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。ある日、急ぎで冷凍メカジキを流水解凍していてふと思いついた。流水解凍するくらいなら、低温調理で“解凍”と“調理”が同時に行えるのではないか?と。
そこで次のように比較実験を行う。冷凍メカジキを用い、
①冷蔵庫で解凍+塩
②室温で解凍+塩
③流水で解凍+塩
④冷凍のまま+塩それぞれフリーザーバッグに入れて、BONIQ 65℃で30分。
ドリップが出ないように冷蔵庫でゆっくり解凍する①が4つの中で一番正当な方法と言われているが、ゆっくり解凍するには最低でも6~7時間はかかる。
①と短時間で仕上がる②③との仕上がりの差は本当にあるのか?、また④は“冷凍のままでも時短で美味しくできる”という説は本当か?低温調理でも当てはまるのか?を検証してみる。BONIQ設定
65℃
0:30(30分)材料
・冷凍メカジキ(ベトナム産) 1枚につき約85g
・塩 0.7g(めかじき重量の0.8~0.9%)当レシピの栄養素
栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量 低糖質レベル ★★★(一食:糖質5g以下) カロリー 120 kcal - 糖質 0.1 g - タンパク質 15.6 g 体重 x 1.2g ~ 1.5 g 脂質 5.7 g - 食物繊維 0 g 20 g 以上 カリウム 366 mg 3500 mg 以上 カルシウム 3 mg 650 mg 以上 マグネシウム 23 mg 350 mg 以上 鉄分 0.4 mg 7.5 mg 以上 亜鉛 0.6 mg 10 mg 以上
《手順》
①冷蔵庫で解凍+塩
冷凍メカジキを冷蔵庫の中でゆっくり解凍し、塩と共にフリーザーバッグに入れる。
BONIQ(65℃ 30分)で低温調理する。
フリーザーバッグの密封方法:https://youtu.be/N-t1ox7mox0
②室温で解凍+塩
冷凍メカジキを室温(約20℃)に置いて解凍し、塩と共にフリーザーバッグに入れる。
BONIQ(65℃ 30分)で低温調理する。
③流水で解凍+塩
冷凍メカジキを流水(約16℃)で解凍し、塩と共にフリーザーバッグに入れる。
BONIQ(65℃ 30分)で低温調理する。
④冷凍のまま+塩
冷凍メカジキを塩と共にフリーザーバッグに入れる。
BONIQ(65℃ 30分)で低温調理する。
《まとめ》
ドリップの量を比較してみると・・・
ドリップの出方は他に比べ①「冷蔵庫で解凍」がやや少ない気がする。他はあまり違いがないか。
食べてみると、やはり①が一番ふっくらしっとり仕上がっている。
②「室温で解凍」、③「流水で解凍」④、「冷凍のまま」の3パターンは、しっとり感で言えばその差はわずかであった。
④が若干パサつきがあるような気もするが、個体差なのかわからないくらいである。ソースをかけるものなど、料理によっては全くわからないであろう。
しかし④は、外側は塩辛く感じるのに対し、噛むと中まで塩が充分浸透しておらず、塩味のムラが感じられた。
そこで、そのまま室温で冷ましながら1時間塩味を含ませ、65℃(約5分)で温めてみたところ、塩味が中まで浸透し塩ムラはなくなった。
解凍、調理を含む全ての所要時間は、
①冷蔵庫解凍:解凍7時間+低温調理30分=7時間30分
②室温解凍:解凍1時間15分+低温調理30分=1時間45分
③流水解凍:解凍5分+低温調理30分=35分
④冷凍のまま:低温調理30分+塩含ませ1時間+温め5分=1時間35分
仕上がりのクオリティ ①>②③≒④
スピード ③>④>②>①
つまり、時間が充分にあるなら①冷蔵庫解凍のものを低温調理するのが理想であるが、急ぎの場合は③流水解凍が一番早く仕上がり、クオリティにも問題ない。
調理してから食べるまでに時間がある場合は④冷凍のままが便利。②は室温に置いておくだけなので手間が少ないが、夏場は注意が必要である(溶けすぎてドリップが流出したり、雑菌が増えたりするリスクがある)。
《作った感想》
以前より、冷凍の食材と解凍を同時にできないかと模索していました。
この結果を踏まえ、今後、冷凍のままで簡単に美味しくできるレシピなども開発したいと考えています。
今回は冷凍メカジキを使いましたが、肉や野菜など他の食材ではまた違う結果になるかもしれません。
ますます奥深い低温調理の世界、さらなる研究に取り組みたいと思います。
BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
魚類にはDHA・EPAと呼ばれる脂肪酸が含まれています。魚油の成分であるEPAには血栓予防作用があり、DHAは記憶力低下の防止や認知症の改善、知能発達などに効果的と言われています。メカジキにはDHAが豊富です。
また、ビタミンDも多く含まれており、メカジキを150g摂取するだけで成人男性に必要な1日の摂取量をカバーすることができるほどです。
ビタミンDは成長促進のために必要なビタミンで、特に骨や歯にカルシウムの沈着を促すビタミンです。日光に当たることでヒトは皮膚付近でビタミンDを生成することもできますが、太陽の下に出ることが少なくなった現代人には不足しがちなビタミンです。
メカジキは適度な量の脂質を含んでいるので低温調理の仕上がりもしっとりジューシー。なかなか食べる機会がない魚かもしれませんが、スーパーや鮮魚店で出会えた時にはぜひBONIQで低温調理をお試しください。
<冷凍食材の低温調理 比較実験シリーズ>
冷凍魚そのまま低温調理可能?比較実験
冷凍肉そのまま低温調理可能?比較実験
低温調理済の冷凍肉 解凍方法比較実験
低温調理済冷凍・冷蔵肉 温め時間モニタリング
<比較実験の結果を元に、冷凍魚を使ったレシピ>
65℃ 冷凍メカジキ そのまま中華煮
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
レシピ動画もご覧ください
【冷凍魚そのまま低温調理可能?比較実験】BONIQ設定 - 65℃ 0:30(30分)
ASMR(NO MUSIC)
【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防
最新記事 by 小野寺 桂子 (全て見る)
- 低温調理のルール 〜6つのポイント〜 - 2020年6月3日
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