比較実験

低温調理済の冷凍肉 解凍方法比較実験

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BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。

日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

以前に行った「冷凍肉そのまま低温調理可能?比較実験」では“生の”鶏むね肉や牛ヒレ肉を冷凍し、解凍しないでそのままBONIQできるのか?また、ベストな解凍方法を比較した。
結果は、生冷凍肉は“冷蔵庫解凍してからBONIQ”するのが一番間違いないが、“冷凍のままBONIQする”でもじゅうぶん美味しく仕上がる、という結果が出た。

それでは“BONIQで調理済の肉”を冷凍した場合ではどうか?
解凍方法によってどのように違いが出るのか?解凍しないでそのままBONIQで温めた場合はどうか?を今回比較実験する。

BONIQ(60℃)した“鶏むね”を、塩を入れて含ませた状態で冷凍する。その後
実験① 冷蔵庫で解凍
実験② 流水で解凍
実験③ 冷凍のままBONIQ(60℃)で解凍

BONIQ(57℃)した“牛ヒレ”を、塩を入れて含ませた状態で冷凍する。その後
実験④ 冷蔵庫で解凍し、
実験⑤ 流水で解凍し、
実験⑥ 冷凍のまま、
BONIQ(57℃)で再び温める

でそれぞれ実験を行い、仕上がりを比較してみる。

※BONIQ後に塩を含ませるのは、低温調理後にフリーザーバッグに塩を入れて肉に含ませた方が、最初から塩で下味をするよりも柔らかくジューシーに仕上がる、という実験結果によるものである。(参照:「60℃ 鶏胸肉 低温調理 塩タイミング比較実験」)

※冷凍および解凍は家庭用冷凍庫・冷蔵庫で行う。

BONIQ設定

実験①~③ 60℃ 1:50(1時間50分)
実験④~⑥ 57℃ 3:00(3時間)

→参照:低温調理 加熱時間基準表

材料


<実験①~③>
・鶏むね肉  各1枚(下処理後、厚さ2.5cm/ 250g)
・塩  各2.3g(肉の重量の0.9%)

<実験④~⑥>
・オーストラリア産牛ヒレ肉  各1枚(下処理後、厚さ2.5cm/ 50g)
・塩  各4.5g(肉の重量の0.9%)

《手順》

比較実験①②③

同じ大きさ、厚さに整えた鶏むね肉をフリーザーバッグに入れ、BONIQ(60℃ 1時間50分)する。
終了タイマーが鳴ったらバッグを取り出して塩を投入し、バッグごと氷水につけて急冷する。
完全に冷えたら、冷凍庫に移して冷凍する。

実験① 冷蔵庫で解凍
実験② 流水で解凍
実験③ 冷凍のまま

蒸し鶏のような料理の場合「冷たい~生暖かい状態」で提供するため、実験①と②はそのままカットする。
実験③は冷凍のまま60℃の湯せんに投入し、解凍できたら引き上げてカットする。
これらを比較する。

比較実験④⑤⑥

同じ大きさ、厚さに整えた牛ヒレ肉をフリーザーバッグに入れ、BONIQ(57℃ 3時間)する。
終了タイマーが鳴ったらバッグを取り出して塩を投入し、バッグごと氷水につけて急冷する。
完全に冷えたら、冷凍庫に移して冷凍する。

実験④ 冷蔵庫で解凍
実験⑤ 流水で解凍
実験⑥ 冷凍のまま

実験⑥は冷凍のまま57℃の湯せんに投入し解凍できた時点で、実験④と⑤も湯せんに入れて温める。
10分後取り出してカットし、これらを比較する。

比較実験結果


その結果は・・・

BONIQした“鶏むね肉”について
実験① 冷蔵庫解凍は約10時間
実験② 流水解凍(水温22℃)は約25分
実験③ 冷凍のままBONIQでは、60℃の湯せんに投入して10分
で解凍できた。

BONIQ後のドリップの量を比較すると
①25g ②30g ③25g と、②の流水解凍がやや多いものの、その量の差はわずかである。しかし、ドリップの濁り具合が違う。①の冷蔵庫解凍がクリアな色であり、②③は濁っている。味の違いはほんのわずか①に旨みが強いような気もするが、どれも臭みなどはなくどれが良い悪いというわけではない。

食べてみると、ドリップの量がわずかに多かった②が特にパサつくなどという感じはない。
正直、①②③の違いがほとんど分からない。しいて言えば②がやや肉の繊維を感じる気もするが、比較しなければわからないレベルであり、どれも柔らかくジューシーで間違いのない仕上がりである。③は食べる前にBONIQ60℃の湯せんに浸けているためやや肉の温度が高いが、肉の硬さやジューシーさなど味わいにはそれほど影響していない。

次にBONIQした“牛ヒレ肉”について
実験④ 冷蔵庫解凍は約6時間
実験⑤ 流水解凍は約15分
実験⑥ 冷凍のままBONIQでは、57℃の湯せんに投入して8分
で解凍できた。

BONIQ後のドリップの量を比較すると
④6g ⑤9g ⑥7g と、やはり②の流水解凍がやや多いものの、その量の差はわずかである。
食べてみると、こちらもドリップの量がわずかに多かった⑤が特にパサつくなどという感じはない。どれも臭みなどもなく、柔らかくジューシーに仕上がっている。
どれも違いがほとんど分からない。

今回の結果をまとめると

鶏むね肉では
仕上がりのクオリティ ①冷蔵庫解凍≒②流水解凍≒③冷凍のまま
スピード ③>②>①

牛ヒレ肉では
仕上がりのクオリティ ④冷蔵庫解凍≒⑤流水解凍≒⑥冷凍のまま
スピード ⑥>⑤>④

であり、「流水解凍」のメリットは少ないが可能は可能である。家庭で楽しむ分には問題ない。
翌日提供することが分かっている場合は前日から「①④冷蔵庫解凍」が良いし、急ぎの場合は「③⑥冷凍のままBONIQ」が一番早く仕上がる。

《作った感想》
冷凍肉そのまま低温調理可能?比較実験」のように「生の肉を冷凍&解凍&低温調理」よりも、「低温調理済みの肉を冷凍&解凍」する方が、どの方法で解凍してもあまり違いが出ないように感じました。
冷凍のままBONIQで解凍&温めできるのは、大発見。とても便利です。
次は”生肉を冷凍→調理” V.S. ”調理済みを冷凍→解凍温め”のどちらが良いのかも確かめてみたいと思います。

<冷凍食材の低温調理 比較実験シリーズ>
冷凍魚そのまま低温調理可能?比較実験
冷凍肉そのまま低温調理可能?比較実験
低温調理済の冷凍肉 解凍方法比較実験
低温調理済冷凍・冷蔵肉 温め時間モニタリング

<比較実験の結果を元に、冷凍魚を使ったレシピ>
65℃ 冷凍メカジキ そのまま中華煮

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

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小野寺 桂子
大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・アスリートフードマイスター3級・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。
小野寺 桂子

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  • <実験①~③>
  • ・鶏むね肉  各1枚(下処理後、厚さ2.5cm/ 250g)
  • ・塩  各2.3g(肉の重量の0.9%)
  • <実験④~⑥>
  • ・オーストラリア産牛ヒレ肉  各1枚(下処理後、厚さ2.5cm/ 50g)
  • ・塩  各4.5g(肉の重量の0.9%)

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