比較実験

36℃ 生 v.s. 低温調理サーモン 比較実験

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(1)


BONIQ設定
材料
一食あたりの栄養素
比較実験
比較実験結果
作った感想
BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。

日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

「刺身」と聞けば、「生魚を切ったもの」が想像できる。
しかし、極上の「刺身」や「(江戸前)鮨」はただ単に生魚を切ったものではない。ネタ自体が上質なのは言うまでもないが、それを塩や昆布で締めたり、包丁の入れ方であったり、見た目ではわからないような職人技が散りばめられており、それそのものが完成された一つの料理なのである。
職人技とはいかないがお家でひと手間加え、刺身を格上げできればと考えた。

筆者自身、子供の頃はサーモンの刺身、生サーモンが好きであったが、歳を重ねるにつれあまり食べなくなった。サーモンマリネやカルパッチョなど、塩や酢で締めて調味したものは今でも好きであるが、刺身となるとサーモンの脂がダイレクトに感じられ、やや生臭いと感じるからである。それを覆い隠すように、ドボドボとしょうゆをつけて食べるのはあまり好みではない。
しかし、前回行った実験「38℃〜 サーモンの火入れ温度比較実験」にてアトランティックサーモンに振り塩をした後、38℃ 30分で調理を行ったところ、驚くほど美味しくなったのである。全く臭みがなく、歯切れがよく、旨みが引き出されていた。これを刺身と呼んで良いなら、「サーモンの刺身」の概念を覆したほどである。生寄りであるが生ではない新しい食感・味わいである。この味わいは“振り塩”の効果なのか、38℃という温度のおかげなのか、はたまた両方なのか。
実験では40℃のものはたった2℃高いだけで、もはや生とは言えない食感になっていた。38℃以上のものは“刺身”とは呼べないだろう。ではもっと低い36℃ではどうか?34℃ではどうか?
魚を加熱した場合のタンパク質の凝固温度はおよそ40~50℃と言われているが、前回の実験で38℃でも若干ではあるがタンパク質が凝固し始めていたので、実際はサーモンのタンパク質凝固温度はもっと低いのではないか。
そこで次の6パターンの比較を行う。

実験1. 生
実験2. 洗い  → 生 ※洗い:刺身をさっとぬるま湯で洗って氷で引き締める下処理
実験3. 振り塩 → 生 ※振り塩:塩を振ってしばらく置き、出てきた水分を拭き取る下処理
実験4. 振り塩 → BONIQで34℃ 30分
実験5. 振り塩 → BONIQで36℃ 30分
実験6. 振り塩 → BONIQで38℃ 30分

実験3は低温調理をしなくても、振り塩だけで臭みを抜いて旨みが引き出すことができるのかを検証。
実験4~6は振り塩後の低温調理で、この温度差でどのように身質が変わるのか。
実験2の“洗い”はコイなどの川魚や白身魚を引き締めたい時に行う下処理であるが、スーパーなどで買った刺身をお家で格上げする方法として紹介されていたもので、せっかくなのでこちらも効果の程を検証してみる。

はたして刺身として一番美味しいのはどれか?

BONIQ設定

実験4. 34℃ 0:30(30分)
実験5. 36℃ 0:30(30分)
実験6. 38℃ 0:30(30分)

材料


<実験1~6>
・アトランティックサーモン(生食可)  各70g
※仕上がりにかたよりがないよう、全て背側からカットしたものを使用。

<実験3~6>
・塩  各0.6g(サーモンの重量の約0.9%)

<ほか、調理器具など>
・ボウル/容器(実験2、4~6用)
・氷(実験2、4~6用)
・キッチンペーパー(実験2~6用)

当レシピの栄養素

栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量
低糖質レベル (一食:糖質5g以下)
カロリー 165.9 kcal -
糖質 0.1 g -
タンパク質 14.1 g 体重 x 1.2g ~ 1.5 g
脂質 11.3 g -
食物繊維 0 g 20 g 以上
カリウム 252 mg 3500 mg 以上
カルシウム 5.6 mg 650 mg 以上
マグネシウム 19.6 mg 350 mg 以上
鉄分 1.5 mg 7.5 mg 以上
亜鉛 0.3 mg 10 mg 以上

《手順》

比較実験
実験1. 生

サーモンを約7mmの厚さに切る。

実験2. 洗い 生

サーモンを約7mmの厚さに切ってボウルに入れ、ぬるま湯を入れて3秒洗う。
氷水に落として身を引き締めたら、引き上げて水気を拭く。

実験3. 振り塩 生

サーモンに振り塩(サーモン重量の0.9%)の塩を全面に振り、冷蔵庫で10分置く。
出てきた水分をペーパーで拭き取る。
約7mmの厚さに切る。

実験4~6. 振り塩→BONIQで34 / 36 / 38℃ 30分

サーモンに振り塩(サーモン重量の0.9%)の塩を全面に振り、冷蔵庫で10分置く。
出てきた水分をペーパーで拭き取る。
サーモンを耐熱袋に入れて密封し、それぞれの温度で30分低温調理を行う。
BONIQの設定時間終了タイマーが鳴ったら袋を取り出し、袋ごと氷水に漬けて冷却する。
サーモンを約7mmの厚さに切る。

<BONIQセット時>
※肉、魚(生食用を除く)は種類と厚みに応じて加熱設定を変更する。参照:「低温調理 加熱時間基準表
※食材全体がきちんと湯せんに浸かるよう、十分な水量を用意する。
※高温・長時間調理時は蒸発による水位減少を防ぐため、最大水量を用意する。

<BONIQ投入時>
※袋内に気泡が残らないよう湯せんに入れながらしっかり空気を抜き、密封する。(参考:動画「低温調理用バッグの密封方法」記事「ベストなバッグ密封の仕方 比較実験」
※食材全体が湯せんに浸かるようにする。浮いてくる場合は耐熱性の瓶や重しを乗せて完全に沈める。
※高温・長時間調理時は湯せんにカバーをする。(鍋:ラップ、コンテナ:フタ)

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比較実験結果

それぞれ、以下のような結果となった。


すべてしょうゆなどをつけずに実食したが・・・
「実験1. 生」は噛んでいると後味に生臭みがやってくる。

なるほど、「実験2. 洗い 生」は実験1よりもやや臭みが抜けている。“洗い”の効果は間違いなくあったと思うが、サーモンを切ってぬるま湯で洗ってさらに氷水に落とし、ペーパーで拭くという工程の多さを考えると、あまりおすすめはしない。

それよりも、塩を振って出てきた水分をペーパーで拭いて切るだけの「実験3. 振り塩 生」の方が、塩の効果でよっぽど臭みが抜けて旨みが出ている。実験1の生よりも身が引き締まっており、これだけで美味しく感じられる。

「実験4~6. 振り塩 → BONIQで34 / 36 / 38℃ 30分」では「実験4. 34℃」は「実験3. 振り塩 生」とかなり似ており、臭みはほとんどなく旨みが引き出されている。おそらくこれは34℃の温度というよりも、振り塩の効果であると思う。実験3との違いと言えば実験4の方がほんのわずかにやわらかいくらいである。実験3が充分美味しいので、これでは34℃で30分かけて低温調理する意味はあまりなさそうである。

「実験5. 36℃」と「実験6. 38℃」はどちらも臭みがほとんどなく、甘みと旨みが引き出されていて驚くほど美味しい。二つの決定的な違いは身の質とやわらかさである。「実験5. 36℃」よりも「実験6. 38℃」は“火が入った感”が強く、やわらかいので慎重に切らないとやや身が崩れそうになる。前回の「38℃〜 サーモンの火入れ温度比較実験」の際は、38℃のものが刺身としてふさわしいと思ったが、実験5と比較するとやはり“刺身”とは言えず、この新しい味わい・食感は何か他の料理で生きるのではないかと感じた。

以上の結果から、サーモンの刺身として一番おすすめしたいのは

臭みがほとんどなく、甘みと旨みを引き出した
「実験5. 振り塩 → BONIQで36℃ 30分」
であり、低温調理しない方法では、臭みが抜けて身が引き締まった
「実験3. 振り塩 生」
が短時間で仕上がり、お家の刺身を格上げする方法として秀逸であった。

本レシピは「生食」となりますので、保存ができません。必ず「低温調理のルール ~6つのポイント~」をお守りいただき、すぐにお召し上がりください。
(生食=「低温調理 加熱時間基準表(魚)」を満たしていない、低温で加熱調理したもの。)

《作った感想》
前回の実験時に38℃サーモンを食べた時、旨みがしっかり引き出されて美味しく、なんとも言えない新食感に驚きました。お刺身として食べたら面白いのでは!?と考えましたが、少し温度が違うだけでかなり食感などが変わることを考え、もっと詳細に調べようと思い今回の実験に至りました。

結果、お刺身としては「振り塩→BONIQで36℃ 30分」が一番おすすめ!
サーモンだけでなく他の魚にも有効なのか、検証してみたいと思います。

BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

サーモンにはオメガ3脂肪酸が多く含まれています。オメガ3脂肪酸とは不飽和脂肪酸のうちDHA、EPA、αリノレン酸のことを指し、サーモンにはDHAとEPAが豊富に含まれています。
オメガ3脂肪酸は、脂肪酸でありながら血中の脂質濃度を正常化させる働きがあります。悪玉コレステロールの数値を下げ、善玉コレステロールの数値を上げたり、中性脂肪を減らし脂肪肝も予防することができます。
また、血管に脂質がたまることを予防できることから高血圧の予防にもなる栄養素です。

ただし、オメガ3脂肪酸は熱に大変不安定で、加熱することで分解されてしまう脂肪酸でもあります。揚げ物などの高温調理になればなるほど、サーモンに含まれているDHA、EPAは壊れていってしまうので注意が必要です。
今回の36℃での低温調理では加熱によるオメガ3の分解はほぼ無いといっても良いでしょう。

<サーモンの低温調理 比較実験シリーズ>
50℃ ブライニングは有効?比較実験 サーモン編
38℃~ サーモンの火入れ温度比較実験
36℃ 生 v.s. 低温調理サーモン 比較実験

質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

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小野寺 桂子
大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・アスリートフードマイスター3級・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。
小野寺 桂子

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コメント

    • れいれい
    • 2020.01.17

    検証レシピ、毎回楽しみにしています
    ボニークのレシピを、温度帯でまとめて見れるようにしてもらいたいです
    63度レシピとか、65度レシピとか。
    そうしたら、まとめて何品か作る時にわかりやすいと思います

    • BONIQ
      • boniq
      • 2020.01.17

      お問い合わせありがとうございます。
      比較実験レシピは特にBONIQならではですので、お楽しみいただけて嬉しいです!
      温度帯別のレシピは、サイト最上部の黒色バーの「設定温度別」からご覧いただけますのでぜひご参考ください!

BONIQ設定

  • 実験4. 34℃ 0:30(30分)
  • 実験5. 36℃ 0:30(30分)
  • 実験6. 38℃ 0:30(30分)

材料一覧

  • <実験1~6>
  • ・アトランティックサーモン(生食可)  各70g
  • ※仕上がりにかたよりがないよう、全て背側からカットしたものを使用。
  • <実験3~6>
  • ・塩  各0.6g(サーモンの重量の約0.9%)
  • <ほか、調理器具など>
  • ・ボウル/容器(実験2、4~6用)
  • ・氷(実験2、4~6用)
  • ・キッチンペーパー(実験2~6用)

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