鶏肉レシピ

鶏むね肉の切り方 繊維方向と柔らかさ比較実験

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BONIQ設定
材料
比較実験
比較実験結果
作った感想

BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。
日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

従来の調理法と比べて低温調理のメリットが一番分かる食材の代表といえば「鶏むね肉」である。
従来の調理法で火を入れすぎるとパサつき固くなりやすいが、60℃でBONIQする「60℃ 回復力を高める◎史上最強やわらか 蒸し鶏」は塩を入れるタイミング(低温調理後に塩を含ませる、後入れ法)も重要であり、完璧な火入れでこれ以上ないくらいしっとりジューシーに仕上げられる。
「史上最強」と謳ったからには完璧に仕上がるという自負があるが、実は一つ気にかかることがある。
それは、「出来上がり後の“切り方”によって柔らかさやジューシーさ、美味しさに違いが出るのではないか?」という疑問である。

というのは時々巷で話題に上がる、“生”の鶏むね肉をカットして炒めたりする場合「肉の繊維を断ち切ってカットする方が柔らかく仕上がる」というものや、はたまた、「肉の繊維に沿ってカットする方が肉の水分が失われずジューシーになる」という逆のものまである。
これらの説はあくまで「“生”の鶏むね肉をカットして調理する場合」について言われていることであるが、筆者はまだ検証しておらず、正解は今のところわからない。ただ、カットする方向によって仕上がりに何らかの違いが出ることは十分あり得る。
そこで今回は「BONIQで“調理済みの”鶏むね肉は、切り方によって食感に違いが出るのかどうか」を比較実験する。

低温調理済みの鶏むね肉を
実験①繊維の方向別に3ブロックに分け、“繊維を断ち切る方向に”スライスする。
実験②繊維の方向別に3ブロックに分け、“繊維に沿った方向に”スライスする。
実験③鶏むね肉を端から順にスライスする。

3つの切り方でその違いを探る。

BONIQ設定

60℃
1:50(1時間50分)
※参照:低温調理 加熱時間基準表(鶏肉)

材料


<実験①~③>
・鶏むね肉(国産)  各1枚(厚さ2.5cm、300g→皮を剥ぐと約280g)
・塩  各2.5g(鶏むね肉の重量の0.8~0.9%)

《手順》


比較実験

鶏むね肉の皮を剥ぎ、フリーザーバッグに入れてBONIQ(60℃ 1時間50分)で低温調理する。
BONIQの設定時間終了タイマーが鳴ったらバッグを取り出し、塩を投入する。
氷水でバッグごと急冷し、塩を含ませる。

実験①鶏むね肉を繊維の方向別に3ブロックに分け、“繊維を断ち切る方向に”スライスする。
実験②鶏むね肉を繊維の方向別に3ブロックに分け、“繊維に沿った方向に”スライスする。
実験③鶏むね肉を端から順にスライスする。

その後比較試食を行う。

フリーザーバッグの密封方法:https://youtu.be/N-t1ox7mox0




比較実験結果


まずはじめに、実験①「繊維を断ち切ってスライス」と実験②「繊維に沿ってスライス」は繊維の方向を考えながらカットするのが複雑である。“生”であればもっと繊維の方向が良く見えるのかもしれないが、低温調理済みのものは繊維が見えにくい。3つのブロックに分けるのは難解である。

実験①と実験②を比べてみると、わずかな違いであるが①「繊維を断ち切る」方が確実に柔らかく、②「繊維に沿う」方がやや噛みごたえがある。
実験①は柔らかすぎるといっても良いくらいで、うまい表現が見つからないが“ふわっとした感じ”さえある。上の断面画像を見ると、①の繊維を断ち切った方が断面が滑らかになる。
実験②は繊維に沿ってカットすると地滑りのように繊維同士が滑って流れるので、身が崩れそうになりカットが難しい。見た目もあまりきれいではなく、②のメリットはあまりない。
実験①の柔らかさは非の打ち所がないのだが、①も②もカットの大きさがバラバラになるので、盛り付けた時に見栄えがよくないのはマイナスである。

実験③「端から順にスライス」は食べる場所により実験①の柔らかさと実験②の噛みごたえが混在している。混在こそしているが、これはこれで完成されたクオリティーであると思う。

だがせっかく実験をしたのだからあえて挙げるとすれば、「(繊維方向ごとに3ブロックに分けた場合の)画像<A>の部分を繊維を断ち切る方向にカットし、残りは今まで通り端から順にスライス」すれば複雑にならずおおむね均一な柔らかさを実現でき、カットの大きさも揃えられて見栄えも良く盛り付けられる。
究極のさらに究極を目指す人は、この切り方を試してみてはいかがだろうか。

《作った感想》
これまでも「60℃ 回復力を高める◎史上最強やわらか 蒸し鶏」はもう数えきれないほど作ってきており絶対に美味しい自信はあったのですが、時々話題に上がる「鶏むね肉の繊維を断ち切る v.s. 繊維に沿う どちらが美味しいか」論争が気になっていました。あくまで「生」の鶏むね肉をスライスしてから加熱する場合の話だったのですが、BONIQの「蒸し鶏」の場合も全く無関係ではないし少しでも美味しいと思ってもらえる高みを目指したいと思い、今回の実験に至りました。
結果、繊維を断ち切れば柔らかくなることはよく分かったのですが、複雑になりすぎたり見栄えが良くなくなって美味しそうでなくなってしまえば本末転倒です。
そこで編み出したのが「(繊維方向ごとに3ブロックに分けた場合の)画像<A>の部分を繊維を断ち切る方向にカットし、残りは今まで通り端から順にスライス」する新しいカットになります。
こんなマニアックな実験を面白がってくれる方がいましたら幸いです。

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

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小野寺 桂子
大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・アスリートフードマイスター3級・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。
小野寺 桂子

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材料一覧

  • <実験①~③>
  • ・鶏むね肉(国産)  各1枚(厚さ2.5cm、300g→皮を剥ぐと約280g)
  • ・塩  各2.5g(鶏むね肉の重量の0.8~0.9%)

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