豚肉レシピ

77℃ 塩豚vs.調理後塩含ませ豚 比較実験

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BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。

日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。

豚バラなどの部位にたっぷりの塩をすり込み、数日寝かせて作る“塩豚”。数日保存できて便利というわけで、近頃さまざまな塩豚の活用レシピなども出ている。「肉が柔らかくなり、臭みが抜け旨みが凝縮する」らしい。これは本当か?
従来の調理法、すなわち鍋で茹でたりそのまま焼いたりする時に、“塩豚”は保存がきいて塩味も均一にできるから便利というのは理解できる。しかし低温調理の場合は?

というのは、“保存ができる”、“肉が柔らかくなる”というのを狙うのであれば、買ってきた豚バラをすぐBONIQで低温調理(設定77℃ 8時間30分)し、0.8~1%程の塩を含ませておけば、こちらも冷蔵で最低5日間、冷凍で3か月間は保存できる(完全に加熱殺菌し、かつ調理後すぐに4℃以下に冷却した場合)。(参考:「77℃ 豚ばらの低温調理 温度比較実験」)

温度・時間設定・塩のタイミングの3つを守れば、とろとろ柔らかでジューシーに仕上がるのは実証済みである。

塩のタイミングについては、「57℃ ローストビーフ低温調理 塩タイミング比較」で牛ももを使い、塩を入れるタイミングで低温調理後の仕上がりがどう違うのかを実験したものがある。
1日塩漬け(この時は肉の重量の1%の塩で行った)したローストビーフよりも、低温調理後に塩を含ませたものの方がジューシーで圧倒的に柔らかく仕上がった。
旨みの点でも“塩漬け”のものが特別旨みがアップしているというわけではなかった。
例えば専門店の“熟成肉”のように、温度や湿度を完璧にコントロールすれば、肉を腐敗させずに微生物の働きによって旨みを引き出せるというのは理解できる。しかし、家庭用冷蔵庫で肉を数日塩漬けしたところで旨みはアップするのだろうか?

そこで次の2つのパターンで比較実験を行う。
豚バラを
①3日塩漬け→ BONIQ(77℃ 8時間半)
②BONIQ(77℃ 8時間半)→ フリーザーバッグに塩を入れて含ませる(1時間半) 

はたして、旨みや柔らかさの点でどのような違いが出るのか?

BONIQ設定

77℃
8:30(8時間30分)

材料


・国産豚バラ(ブロック/塊肉) 各300g
・塩
①塩豚:9g (肉の重量の3%)
②低温調理後、豚に塩を含ませる場合:2.7g (肉の重量の0.9%)

当レシピの栄養素

栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量
低糖質レベル (一食:糖質5g以下)
カロリー 434 kcal -
糖質 0 g -
タンパク質 13.4 g  体重 x 1.2g ~ 1.5 g
脂質 40.1 g -
食物繊維 0 g 20 g 以上
カリウム 223 mg  3500 mg 以上
カルシウム 3.7 mg 650 mg 以上
マグネシウム 14.5 mg 350 mg 以上
鉄分 0.6 mg 7.5 mg 以上
亜鉛 1.6 mg 10 mg 以上

《手順》

①塩豚の場合

豚バラの全面に3%の塩をすり込む。
キッチンペーパーを巻きラップでぴったりくるんで冷蔵庫で3日間寝かせ、塩豚を作る。
キッチンペーパーとラップは毎日新しいものに取り換える。
3日後フリーザーバッグに塩豚を入れ、BONIQ(77℃ 8:30(8時間30分))で低温調理する。

②低温調理後フリーザーバッグに塩を入れ、豚に塩を含ませる場合

豚バラをフリーザーバッグに入れ、BONIQ (77℃ 8:30(8時間30分))で低温調理する。
終了タイマーが鳴ったら取り出し、バッグに塩を投入して豚に塩を含ませる。(1時間半)


比較実験結果まとめ

実食の際は77℃の湯せんに5分程浸けて温め、違いを比較した。


比較画像を見ればわかるように、「①塩豚」は「②調理後塩含ませ豚」と比べると大きさが2/3程になっている。それだけドリップが流出しているということか。

①は噛み応えがあり、パサつくという程ではないがジューシーさは少ない。ギリギリ塩辛くはなく、美味しいには美味しい。
②は圧倒的に柔らかくジューシーで、脂の甘みと旨みがムンムン広がりとろっとしていて間違いなく美味しい。

①は塩分が強く肉が旨みを主張しているのに対し、②は塩分が柔らかく脂が旨みを主張している。

個人的には「②調理後塩含ませ豚」に軍配か?と一瞬考えた。
いや、①は何かに似ている。ベーコンである。日本の一般的なベーコンは加熱製品であるのでそのまま食べられるが、香ばしく焼いた方が圧倒的に美味しくなる。

①も焼いた方が良さが生きるのでは?と考え、スライスして焼くことにした。

パサつきは全くなく、脂がジュワっと出てきてものすごくジューシーである。肉の旨みも噛めば噛むほど出てくる。一般的なベーコンに比べても柔らかく、肉も脂も旨みがすごい。
「①塩豚」は低温調理後そのまま食べるのではなく、ベーコンのようにスライスなり小さくカットし、香ばしく焼いて使うとその旨みと長所が生きると感じた。

そのまま食べても美味しい「②調理後塩含ませ豚」も同じように焼いてみたが、こちらも脂がジュワっと出てきてものすごくジューシーで旨みもすごかった。当たり前だが豚肉のステーキのように豚っぽさがあるので、スライスするかブロックのまま焼いてタレなどをかけても良いと思う。

どちらも豚バラと塩だけで作ったにも関わらず、それぞれ全く違った仕上がりである。
「肉が柔らかくなり、臭みが抜け旨みが凝縮する」と言われる“塩豚”であるが、77℃で低温調理後に焼くと、②より噛み応えがあるがベーコンより柔らかくなる。臭みについては②も感じられないので塩豚が特別臭みが抜けたのかはわからないが、肉の旨みが噛めば噛むほど出てくる仕上がりになった。

低温調理した塩豚は、ベーコンのような使い方で様々な料理に活用できそうだということが分かった。

《作った感想》
塩の量と入れるタイミングが違うだけで、全く別ものになったのが驚きでした。
①②どちらが優れているということはなく、どちらもそれぞれの良さがあります。
今回の比較実験の結果、それぞれがいろいろな料理に活用できる道が広がりました。
また、塩豚を使ってベーコンにも挑戦できたらと考えています。

BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス

肉類は基本的にタンパク質が豊富に含まれており、タンパク質は体のさまざまな器官を維持するために必要な栄養素です。
筋肉や皮膚だけでなく、健康な髪の毛や爪の合成などにもタンパク質が関与しています。

今回の塩豚レシピに使用した豚肉の部位は「豚バラ肉」です。
豚バラ肉には見た目からして、脂質も多く含まれています。ピンク色の肉と肉の間に白い層が見えますが、この部分はほとんどが脂質です。
脂質は何かと敬遠されがちですが、脳の働きをスムーズに保つためや、肌の保湿、エネルギー源としても重要な栄養素です。

疾病等で脂質の制限がない場合であれば、適度な摂取は健康のために必要な栄養素なのです。

<牛肉・豚肉・鶏肉の低温調理 塩のタイミング比較実験シリーズ>
58℃ ローストビーフ低温調理 塩投入比較
60℃ 鶏胸肉 低温調理 塩タイミング比較実験
63℃ 豚ヒレの低温調理 塩タイミング比較実験
77℃ 塩豚vs.調理後塩含ませ豚 比較実験

質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^

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【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。


また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防

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小野寺 桂子
大学卒業後にフレンチを学びにル・コルドン・ブルー・ロンドンへ留学。 その後、La Maison Courtineパリにて料理人をした後、フレンチの鉄人坂井氏がプロデュースの大阪の名門フレンチ ラ・ロシェルにて従事。食育インストラクター・アスリートフードマイスター3級・日本ソムリエ協会公認ソムリエ。お酒にマッチするBONIQレシピを提案させていただきます。
小野寺 桂子

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  • 77℃
  • 8:30(8時間30分)

材料一覧

  • ・国産豚バラ(ブロック/塊肉) 各300g
  • ・塩
  • ①塩豚:9g (肉の重量の3%)
  • ②低温調理後、豚に塩を含ませる場合:2.7g (肉の重量の0.9%)

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