BONIQマニアにおくる、低温調理の疑問あれこれの検証。
日々低温調理をしていると、食材がこんなに美味しくなるのか!という感動がある一方、本当にこれで良いのか?もっとベストな方法があるのではないか?という疑問も同時にわいてくる。
最近では低温調理のメソッドに関する情報が増えつつあるが、それが本当に正しいのか?
実際調理をする中で出てきた疑問を検証してみる。以前に行った「58℃ ローストビーフ低温調理 塩投入比較」や「60℃ 鶏胸肉 低温調理 塩タイミング比較実験」は、「塩で下味をして低温調理」と「低温調理後に塩を入れて含ませる」など、どのタイミングで塩を入れれば、肉がジューシーに美味しく仕上がるかを実験したものである。
その結果、「低温調理後、塩をバッグに入れて含ませる」が一番歯切れがよく、ジューシーであるという結果になった。
今回は“豚肉”でも同じように、「低温調理後、塩を含ませる」の理論が成立するのか?ちなみに魚(サーモン)で行った時は逆の結果となったのである。(参照:「50℃ ブライニングは有効?比較実験 サーモン編」)
「振り塩(生魚の身に塩を振って10分ほど置き、出てきた水分をペーパーで拭うこと。)」をして低温調理を行ったものが、「低温調理後、塩を含ませる」よりも臭みが抜け、ふっくらとした身に仕上がったのである。はたして豚肉ではどのようになるだろうか?
豚肉の中でもパサつきやすい部位である”豚ヒレ”を使い、
①塩を振って1日寝かせる → BONIQ
②塩をふってすぐBONIQ
③BONIQ → バッグに塩を入れて肉に含ませる(2時間)の3つの方法で比較実験を行う。
今までのローストビーフや鶏むね肉の実験から、③が一番水分含有量が多く仕上がると予想される。
しかし、①はハムやベーコンを作る時に塩漬けしておくように、脱水により旨みを凝縮させるという考え方もできる。
②は一般的に低温調理で行われている方法である。BONIQ設定
63℃
2:00(2時間)→参照:低温調理 加熱時間基準表
材料
<実験①~③>
・豚ヒレ肉(国産) 各1本(厚さ3cm/ 150g)
・塩 各1.3g(肉の重量の約0.9%)当レシピの栄養素
栄養素(1人分) 1日の推奨摂取量 低糖質レベル ★★★(一食:糖質5g 以下) カロリー 195 kcal - 糖質 0.5 g - タンパク質 33.3 g 体重 x 1.2g ~ 1.5 g 脂質 5.6 g - 食物繊維 0 g 20 g 以上 カリウム 646 mg 3500 mg 以上 カルシウム 5 mg 650 mg 以上 マグネシウム 41 mg 350 mg 以上 鉄分 1.4 mg 7.5 mg 以上 亜鉛 3.3 mg 10 mg 以上 ※豚ヒレ 1本あたりの栄養価を計算しています。
《手順》
比較実験①②③
すべて同じ大きさ、厚さに整えた豚ヒレ肉を
①塩を振って1日寝かせる → BONIQ
②塩を振ってすぐ、BONIQ
③BONIQ → バッグに塩を入れて肉に含ませる(2時間)
全てBONIQは63℃ 2時間行う。
比較実験結果
その結果は・・・
「③BONIQ → バッグに塩を入れて肉に含ませる」が一番ジューシーでしっとり柔らかい!歯切れも良く、肉汁がじゅわっと口の中に広がってしっかり旨みを感じる。
「①塩を振って1日寝かせる → BONIQ」は押してみると一番弾力がある。塩でやや脱水されているからか噛みごたえもあるが、噛んでいくとしっかり旨みを感じる。柔らかいハムのようである。
「②塩を振ってすぐ、BONIQ」はやや硬さを感じる。①③と比べるとやや歯切れが悪い気がするが、ジューシーさはしっかりある。
まとめると、
ジューシーさ ③>②>①
柔らかさ ③>①>②
総合した美味しさ ③>①>②
ローストポークなどにするならば間違いなく③の方法がおすすめ。
バッグに塩を入れて肉に含ませるというのはフライパンやオーブンで焼く従来の方法ではできない、低温調理の強みを生かした塩の入れ方であり、圧倒的にジューシーで柔らかくなる。
だが間違ってはいけないのは、①②③の比較はとてもハイレベルの戦いである。すごく差があるわけでもないので、決してどの方法がダメということではない。脱水して旨みを凝縮させるハムのようなイメージでならば①で塩漬けする方法(その場合もっと塩分を増やすと良い)も良し、②は一番工程が少なく短時間で仕上がるというメリットがある。
《作った感想》
「牛もも」の比較実験では明らかな差が出たものの、今回の「豚ヒレ」ではわずかな違いとなりました。総合的に見ると「鶏むね」「牛もも」と同様の結果ということになります。
こちらを踏まえ、究極のローストポークを考案したいと思います。
BONIQ管理栄養士による栄養アドバイス
豚ヒレ肉は豚肉の部位の中でもヘルシーかつ柔らかい部位です。
豚肉はたんぱく質やビタミンB1が多い食材です。
たんぱく質は鶏肉や牛肉にも多く含まれていますが、ビタミンB1は豚肉がはるかに高く含んでいます。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変換するために欠かせない栄養素です。豚肉の部位の中でもヒレ肉に多く含まれていますよ。
<牛肉・豚肉・鶏肉の低温調理 塩のタイミング比較実験シリーズ>
58℃ ローストビーフ低温調理 塩投入比較
60℃ 鶏胸肉 低温調理 塩タイミング比較実験
63℃ 豚ヒレの低温調理 塩タイミング比較実験
77℃ 塩豚vs.調理後塩含ませ豚 比較実験
質問・疑問・要望・作った感想をコメントいただけたら嬉しいです^^
【注意】
低温調理では高温による殺菌ができないため、食の安全に留意する必要があります。
レシピ記載の温度・時間設定をご参考いただき、例として大きく温度設定を変更するなどはされないようご注意ください。
なお、レシピ記載の設定をお守りいただいた上であっても、食材や調理環境などによっても安全面のリスクが異なるため、最終的には自己責任となりますことご了承ください。
取扱説明書や低温調理ガイドブック、各種の低温調理における情報などをご覧いただいた上で、安全に配慮した調理をお願いいたします。詳細はこちらの【低温調理のルール 〜6つのポイント〜】を参照くださいませ。
また食中毒に関して、下記のサイトもご一読ください。
特にお年寄りやお子様、免疫力の弱っている方は当サイト推奨温度設定に従わずに、下記厚生労働省サイトの指示に従い全てのお肉で【中心温度75℃ 1分以上】の加熱をしてください。
→ 食肉に関する注意点:厚生労働省 食中毒予防
最新記事 by 小野寺 桂子 (全て見る)
- 低温調理のルール 〜6つのポイント〜 - 2020年6月3日
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